まいこぷらずまはいえん
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマという細菌が起こす肺炎。症状に熱、咳、皮疹など。20代以下に多いが高齢者にもうつる。抗生物質が有効。重症例は稀。
16人の医師がチェック 126回の改訂 最終更新: 2018.06.05

マイコプラズマ肺炎の注意点:潜伏期間、予後、再発、ワクチンなど

マイコプラズマ肺炎はうつる病気です。このページではマイコプラズマ肺炎にかかった際に注意するべき点について解説します。

1. マイコプラズマ肺炎はうつるのか?

マイコプラズマ肺炎の原因はマイコプラズマニューモニエという細菌で、人にうつる感染症です。感染経路は接触感染飛沫感染です。肺結核麻疹はしか)のように空気感染飛沫核感染)はしません。マイコプラズマ肺炎の感染力は強くないです。

感染力が強くないとはいえ人にうつりますので、マイコプラズマ肺炎と診断された人やその周りの人は感染予防に努めてください。家族や友人がマイコプラズマ肺炎にかかったあとに自分も咳が出るようになったら、医療機関で診察を受けてください。

感染力はどの程度なのか?

マイコプラズマの感染力は高くありません。感染している人と同じ場所で長時間過ごすなど、「濃厚接触」と呼ばれる状況下になるとうつります。学校や会社で通常の生活を送る限りはあまり流行することはありません。

マイコプラズマ肺炎と診断された人やその周りの人は、手洗いやマスク着用を行うようにして下さい。

潜伏期間はあるのか?

マイコプラズマニューモニエに感染してから肺炎の症状が出るまでの期間(潜伏期間)は1-4週間ほどで、たいていの場合は2-3週間になります。潜伏期間には症状がありませんが、うつる可能性があります。

症状が出る1週間ほど前から感染力が出てくると言われています。そのため、咳をしている人に近づいた覚えがなくても、どこかでマイコプラズマ肺炎にうつされているということはよくあります。潜伏期間にはうつす側もうつされる側も特に気をつけることはできませんので、日頃からの手洗いの習慣流行期のマスク着用が役立ちます。

2. マイコプラズマ肺炎を予防するワクチンはあるのか?

ワクチンで予防できる感染症は限られています。以下がその代表例です。

ワクチンは現代感染症の中で非常に重要な役割を担っています。しかし、上のリストを見ても分かる通り、マイコプラズマ肺炎を予防するワクチンはありません。マイコプラズマ肺炎に関してはワクチン以外の方法で予防しなくてはなりません。

ワクチンは受けたほうが良いのか

少し話が横道にそれますが、感染を予防できるワクチンがあるのならば、受けられるものは受けたほうが良いです。

ワクチンに関しては副反応や有害事象について多くの報道があり、心配になられている人も多いことと思います。確かに、ワクチンを打つと低い確率ですが一定の割合で有害事象が起こります。しかし、実際の病気になった場合は、もっと多くの害が起こる可能性があり、重症の場合には死に至ることもあります。また、自分が感染症にならないことは周囲の人に感染症をうつさないということも意味します。

もちろんワクチンを打てば100%感染症が予防できるわけではありませんが、みんながエチケットとしてワクチンを受けるような世の中になれば、社会全体の免疫力が上がります。すると、免疫が弱い人のことを周囲の人達が守ってあげるような優しい社会ができあがるのです。

3. マイコプラズマ肺炎が流行しているときにはどうしたら良い?

マイコプラズマ肺炎は感染が流行することがあります。しかし、あまり感染力が強くないために、濃密に接触しない限り流行が起こることはないとされています。しばしば流行が起こるのは、家庭内や学級内などで長時間生活を一緒にした場合です。

予防方法は?

マイコプラズマ肺炎の原因微生物であるマイコプラズマニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)という細菌は普通の生活環境によくいるものです。感染経路は接触感染と飛沫感染で、結核麻疹はしか)のように飛沫核感染(空気感染)はしません。

また感染力も高くないことが分かっており、通常の感染予防を行うことが効果的です。通常の感染予防とは以下のことを指します。

  • 手洗いを行う
  • 流行期にはマスクを着用する

これらに気をつけることがマイコプラズマ肺炎の予防に繋がります。

出席停止?出勤停止?

マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法施行規則の第18条で第3種感染症に記載されている「その他の感染症」として出席停止の理由とされる場合があります。第3種感染症に選定された感染症になった場合は出席することができません。出席停止の期間は、学校医あるいは他の医師が感染の恐れがないと認めるまでになります。

一方で、出勤停止に関しては特に決まりごとはありません。周囲に感染を広めないことは大切ですので、感染性の高いうちは出勤しないほうが良いです。症状が現れてから1週間ほどがより多くの病原体を排出している時期と言われていますので、この時期は自宅安静にするほうが良いかもしれません。しかし何より大切なのは、医師の診察を受けて出勤可能かどうかの状況を判断してもらうことになります。

4. マイコプラズマ肺炎の予後は良いのか?完治する病気なのか?

マイコプラズマ肺炎は基本的には完治する病気です。治ればマイコプラズマは完全に体からいなくなり、治療を終えてからは症状も出なくなります。

ただし、ごくまれに肺にダメージ(後遺症)が残る場合もあります。肺に後遺症が残る場合は、その後も感染症になりやすくなるため注意が必要です。マイコプラズマ肺炎になってから数週間ほど経っても症状があまり改善しない場合は、医療機関を受診するようにして下さい。状況を鑑みてお医者さんはできるだけ後遺症を残さないような最適な治療を判断してくれます。

5. マイコプラズマ肺炎が自然治癒することはあるのか?

マイコプラズマ肺炎は自然治癒します。次のすべてに当てはまる人は抗菌薬抗生物質)を使わなくても悪化することは少ないです。

  • 65歳未満
  • 動いても息苦しさがない
  • 症状はすべて我慢できる程度
  • 症状は軽くなってきている

つまり、上のリストのすべてに当てはまる場合は、抗菌薬治療を行おうと躍起になる必要はありません。

一般的にマイコプラズマ肺炎に対して抗菌薬を使えば早く治ります。しかし、症状がつらいわけでもないのに抗菌薬を使ってもあまり効果が見込めません。一方で、症状が強い人や重症になるリスクの高い人(免疫が弱い人や肺に持病がある人など)は、抗菌薬を積極的に使って治療するべきです。

また、マイコプラズマ肺炎は進行すると肺の感染だけでなく全身に影響をおよぼすことがあります。まれに髄膜炎や脳炎などの重症の合併症が起こることがあるので、明らかにぐったりしている場合やいつもと雰囲気が異なる場合には医療機関を受診するようにして下さい。

6. マイコプラズマ肺炎は再発することがある?

マイコプラズマ肺炎に何回もかかることがあります。マイコプラズマはインフルエンザウイルスのように非常にありふれた病原体なので、また感染するということは珍しくありません。

体内で感染が起こると、免疫システムは次に感染が起こらないように予防する物質(抗体)を作ります。この抗体があれば次に同じ感染が起こりにくくなるのですが、抗体が体内に存在する時間が短いのがマイコプラズマ肺炎の特徴です。そのため、一度マイコプラズマ肺炎になっても再び感染が起こることがあります。麻疹はしか)やB型肝炎のように、一度抗体ができたら当分はかからない病気もありますが、マイコプラズマ肺炎のように抗体が長期間持続しない病気もあります。後者のような抗体を長く保持できない病気はインフルエンザが有名ですが、インフルエンザは抗体を長期間保持できないため毎年予防接種を受けることが推奨されています。

7. マイコプラズマ肺炎がなかなか治らないときはどうしたら良い?

マイコプラズマ肺炎は一般的には軽症で済むことが多いですが、なかなか治らないことがあります。マイコプラズマ肺炎が長引くときには、咳が根強く続くことが最も多い症状です。咳が長く続く場合であっても2-4週間ほどで改善していくことがほとんどですので、咳によって生活に支障がきたされる程でなければ様子を見て問題ありません。

しかし、肺炎の症状(咳、息苦しさ、熱など)の次に違う症状が出てきて、全身がぐったりとしてしまうような場合は要注意です。マイコプラズマ肺炎の影響が全身に及んで、肺以外に合併症が出現してしまった可能性があります。その場合はお医者さんに相談することが望ましいです。

8. マイコプラズマ肺炎になってから他の病気になることがある?合併症について

マイコプラズマ肺炎になると肺以外に症状が出ることがあります。これを合併症と言います。マイコプラズマ肺炎では全身に影響が出ることも多く、出現しやすい合併症を知っておくことは大切です。

上に挙げたようにマイコプラズマ肺炎の合併症は多様です。マイコプラズマ肺炎と診断されてから今までと違う症状が出てきた場合には、医療機関で相談してみると良いでしょう。特に体力のない子供や高齢者は、ひとたび感染が悪化すると重症になりやすいので注意して下さい。