ひゃくにちぜき
百日咳
小児に多い呼吸器系の感染症で、特有の咳発作が特徴
14人の医師がチェック 94回の改訂 最終更新: 2018.02.16

百日咳の基礎知識

POINT 百日咳とは

百日咳菌に感染して起こる咳の強く出る病気です。子どもに多い病気です。4種混合ワクチンの定期接種によって患者数は減っていますが、大人になってワクチンの効果が薄れた人に感染する場合があります。主な症状は、咳や鼻水や目の充血ですが、次第に咳が強くなっていきます。特に1歳以下の小さな子供では重症になって呼吸不全を起こすことがあるので注意が必要です。 血液検査や細菌検査(培養検査・遺伝子検査)を行って診断します。主に抗菌薬を用いて治療します。百日咳が心配な人や治療したい人は、小児科・内科・呼吸器内科・感染症内科を受診して下さい。

百日咳について

  • 小児に多い呼吸器系の感染症で、特有の咳発作が特徴
    • 短い咳が連続して、息を吸うタイミングでひゅーひゅーという音がする
  • 百日咳菌という細菌が、飛沫感染接触感染によってのどに感染する
    • 飛沫感染:菌の含まれた咳やくしゃみを吸い込むことで感染する
    • 接触感染:細菌が付着したものに触れることで感染する
  • 潜伏期間は通常7-10日間
  • 年間罹患数の推計値は2001年で1.5万人とされている
    • ワクチンの普及により日本での発生率は減りつつあるが、抗体が消失した成人を介した乳児への感染が問題となっている
    • 1歳未満の乳児、特に生後3カ月未満の新生児・乳児では死亡率も高い
  • 特有の咳が出なくなるまで、もしくは適切な抗菌薬治療を5日間受けるまでは出席停止となる
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百日咳の症状

  • 軽い咳・鼻水・流涙・結膜の充血などが1-2週間持続する
    • 発熱はないか、あっても軽度
  • その後徐々に咳の回数や程度が強くなり、特徴的な咳になる
    • 息を吸う間もなく、短く何度も咳き込む(スタッカート)
    • 勢いよく息を吸うため、笛の音のようなヒューという音が出る(笛音)
    • 「コンコンコンコンコンコンヒューコンコン…」と上記の咳を繰り返す(レプリーゼ)
    • 特徴的な咳は約2-6週間持続し、その後も長期間軽度の刺激で咳が出る状態が続く(「百日」咳と言われる由縁)
  • 激しい咳のために顔のむくみや点状出血、鼻血、白目の充血、頸部の皮下気腫、肋骨骨折気胸などがみられることがある
  • 3か月未満の新生児・乳児では典型的な咳はみられず、無呼吸・チアノーゼ・嘔吐などで発症することが多い
  • 肺炎や脳症、痙攣を合併することもある
  • 学童や成人では特徴的な咳はみられず、乾いた咳だけが続くことが多い
    • 百日咳にかかったことに気づかずに乳児と接触して、うつしてしまうことがある
症状の詳細

百日咳の検査・診断

  • 特徴的な咳があれば診断は難しくないが、パラ百日咳菌など似た症状を起こす疾患との区別のためには検査が必要
  • 血液検査:血液中に百日咳菌に対する抗体があるかを調べる       リンパ球の割合が多い白血球増加も特徴的で診断の参考となる
  • 培養検査:鼻咽頭(のどや鼻の奥)を綿棒でぬぐい、培養して菌の種類を調べる
    • 百日咳菌が検出されたら診断は確定するが、百日咳菌の培養は困難
  • PCR法(LAMP法):鼻咽頭を綿棒でぬぐい、そこに含まれる病原体DNAを増幅して診断する
  • 胸部X線レントゲン)検査:肺炎合併気胸肋骨骨折の有無などを評価する
検査・診断の詳細

百日咳の治療法

  • エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬を一定期間以上服用する
    • 発症から1-2週間以内であれば、特徴的な咳を抑える効果が高い
    • 患者の家族や患者と濃厚に接触した場合は、抗菌薬を予防的に飲むことがある(特に1歳未満、妊婦、免疫不全のある人)
  • 特徴的な咳が出ている間は、必要に応じて哺乳量や食事量を減らす
    • 経口摂取ができない場合には補液を行う
  • 気管支拡張薬を使用することもある
  • 乳幼児では重症化し、挿管人工呼吸管理が必要となることも多い
  • 予防接種:4種混合ワクチンとして4回の定期接種
    • 4種混合ワクチン:ジフテリア、百日咳、破傷風ポリオの4種
    • 生後3か月より接種可能
    • 1-3回目の間はそれぞれ20-56日間ずつあける 
    • 3-4回目の間は12-18か月あける(最低6か月)
  • マスクの装着や手洗い、消毒が予防に役立つ
治療法の詳細

百日咳に関連する治療薬

マクロライド系抗菌薬

  • 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
    • タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
    • 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
  • マイコプラズマやクラミジアなどの菌に対しても高い抗菌作用をあらわす
  • 服用する際、比較的苦味を強く感じる場合がある
マクロライド系抗菌薬についてもっと詳しく

百日咳の経過と病院探しのポイント

百日咳が心配な方

百日咳風邪のような上気道感染症の一つです。止まらない激しい咳が典型的で、これがあると診断がつきやすいのですが、ただの風邪のような症状で終わってしまうものも多いです。まず始めに理解しておきたいのは、百日咳は基本的に自然治癒する病気であり、もともと元気な方であれば特に深刻に捉える必要はあまりない病気であるということです。ただし、名前の通り(100日間とまではいかないものの)1-2か月ほど長く咳が続くことが多いです。

百日咳を疑うのは、周囲に百日咳の方がいる場合と、咳が長引いている場合です。通常の風邪でも咳が数週間から1か月ほど続くことがありますので、症状だけで百日咳を診断するのは難しい部分があります。若い方の大半は小児期にワクチンを接種していますので症状が特に軽く出て、そのような場合は検査を行わないかぎり風邪との区別は困難です。

百日咳ではないかと思ったときは、受診先は、お子さんならば小児科のクリニック、成人の方であれば内科や呼吸器内科が良いでしょう。百日咳は小児に多い病気ですが、成人もかかることがあります。小児科の医師は診断に慣れていますが、成人では症状が軽いこともあり、場合によっては百日咳の可能性が思い浮かびにくいこともあるかもしれません。お近くに百日咳の方がいるなど、ご自身の体調不良に心当たりがある場合は、最初に受診の目的や心配事をぜひ医師にお伝えください。

百日咳の診断は、症状と経過から推測して仮の診断をつける場合と、具体的な検査を行う場合があります。検査には完璧なものなく、細菌培養(鼻やのどをこすって菌を検出)やペア血清(血液検査の一種)といった検査法ですと診断がつくのに2週間以上時間がかかり、2週間かかってしまうとそのころに治療をしてももう遅い(効果がない)という問題があります。それでも周囲への感染を防ぐために検査を行い抗生物質を内服してもらうことがあります。シングル血清(血液検査の一種)ですと数日間で結果が出ますし、専門的な医療機関ではその日のうちに結果が出せる施設もあります。しかしこの検査法では検出率が低く、多くの百日咳患者が見逃されてしまうという別の問題を抱えています。

このようになかなか有効な治療が難しい百日咳なのですが、長引く咳症状(2週間程度が一つの目安になります)があれば、ご自身の治療のためというよりも、ご家族にうつさないために医療機関を受診して診察を受けるというのも一つの考え方です。

また百日咳では、学校保健安全法で出席停止期間が規定されています。「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまで」が出席停止期間です。成人にはこのような規定をする規則はないのですが、周囲への感染を避ける意味では学校保健安全法の期間をご参考になさるのが良いでしょう。

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