2020.10.08 | コラム

2歳までに20回以上! 赤ちゃんの予防接種スケジュールの上手な立て方

赤ちゃんに接種させるワクチンの種類が多くて大変なママはぜひ一度お読みください

2歳までに20回以上! 赤ちゃんの予防接種スケジュールの上手な立て方の写真

1. 予防接種(ワクチン)のスケジュールを考えてみよう

上手にワクチンのスケジュールを立てるためには、どんな種類のワクチンがあるのかを知っておかなければなりません。以下が全てのワクチンを記したスケジュールになります。

 

【ワクチンスケジュールの例】

[PDF版はこちら]

 

これはワクチンスケジュールの1つの推奨例になります。丸付き数字のタイミングで1回目、2回目、3回目と注射を受けられればスムーズにスケジュールをこなすことができると思います。

もちろん事情によって予定通り注射を受けられないこともあるでしょう。その場合も出来るだけ、矢印の示す期間内に予防接種を受けるようにして下さい。

ダウンロードしたり印刷したりして、有効に使って下さい。

 

2. 予防接種(ワクチン)を打つ回数は減らせない?

ワクチンには、1回打って済むものもあれば複数回打たなくてはならないものもあります。上のワクチンスケジュールをご覧になれば分かるように、生まれてから2歳までは特に本当に多くのワクチンを打たなければなりません。

ワクチンは決められた期間の中でも早めに打つことが望ましいです。というのも、どうせ注射するのであれば、できるだけ早く感染から守ってあげるほうが良いからです。

 

◎ワクチンスケジュールを上手にこなしていく作戦:同時接種

ワクチンを1本ずつ打っていくと、毎週のように医療機関にかかる必要があります。それでは、子どもも親御さんも大変です。この問題は日本だけでなく全世界共通の悩みなので、これを解決する作戦が考えられました。

それは同時接種と言って、1回の通院でたくさんのワクチンを打ってしまおうというものです。これは一見可哀想なことをしているように見えます。しかし、トータルで打つ注射の数が増えているわけではありませんし、何度も通院するストレスを減らすことができます。

同時接種することで得られる価値は以下になります。

  • 早く感染を予防できるようになる
  • 通院する手間が減る
  • 通院することで受ける赤ちゃんのストレスが減る

この中では、できるだけ早く感染にかからない体を作ってあげるということが特に重要になります。

ワクチンで防げた病気になって苦しむ我が子の姿は誰もが見たくないものです。上手にスケジュールを立てて、早く打ち終わるようにしてあげましょう。

 

◎同時接種では色んな種類のワクチンを同時に打てる

ワクチンはどんな種類にものも打つことができます。考えられるワクチンの組み合わせは様々ですが、基本的にどれとどれを一緒に打ってはいけないということはありません。

  • 生ワクチンと生ワクチン
  • 生ワクチンと不活化ワクチン
  • 不活化ワクチンと不活化ワクチン
  • 定期接種のワクチンと任意接種のワクチン
  • 飲むワクチンと注射のワクチン

のいずれでも同時に予防接種ができます。

 

◎同時接種では何本でも同時に打てる

また、ワクチンは同時に何本でも打つことができます。一度に3本でも4本でも打つ事ができます。注射する場所は3cm以上の距離をとって打つ必要がありますが、ワクチンの本数に制限はありません。

 

◎ワクチンを延期したほうが良いシチュエーション

それでは最後に、ワクチンを打てない状況にはどういったものがあるのか考えてみます。

一般的にワクチンを打てない状況は2つです。

  • 熱を出すなど体調が悪い
  • 前回打ったワクチンから決められた期間経っていない

これらの状況に当てはまる場合は、ワクチンを打つのを控える必要があります。なかなか判断が難しいと思いますので、分からない時はいつもワクチンを打ってもらっているかかりつけのお医者さんに相談すると良いでしょう。

 

◎ワクチンの接種は決められた回数より少ないと予防できない

ワクチンは決められた回数をきちんと打ちましょう。決められた回数よりも少ない回数しか打たなかった場合は、予防効果が大きく下がります。

何度も通院することは大変だとは思いますが、きちんと予防する力を得るためにも決められた回数の予防接種を行いましょう。

 

3. 予防接種(ワクチン)の価値は思っているより高い

ワクチンはそのほとんどが注射ですので痛みを伴います。大人でも注射は嫌なのに、赤ちゃんが注射を受けるストレスはかなり大きいものになります。

それなのにどうして小さい赤ちゃんがワクチンを受けなくてはならないのでしょうか?

◎ワクチンは感染から守ってくれる

感染症になると身体はしんどくなるものです。身体が小さくまだ免疫力がしっかりとついていない赤ちゃんであればなおさらですし、ときに命に関わります。

また、水ぼうそうになったあとに帯状疱疹の痛みが出てくるように、感染した後の後遺症に悩まされることも少なく無いです。

残念ながら全ての感染症に対してワクチンがあるわけではなく、一部の感染症にしかワクチンはありません。しかし、結核のように特に予防することが重要な感染症に対してはワクチンが存在しているのが現在の状況です。

ワクチンは免疫の作用を上手に利用して感染症にかかりにくくしてくれますので、ワクチンのある感染症はすべて予防しておくことが望ましいです。

 

◎ワクチンの弊害はないのか?

ワクチンの恩恵によって感染にかかりにくくなることを述べましたが、ワクチンには弊害はないのでしょうか?

近年、ワクチンの副作用の問題がクローズアップされることがあります。どんなに現在の医療技術を集結させても、ワクチンの弊害をゼロにできないことは事実です。

ただ、本当にワクチンの影響で症状が出ているのかを、しっかりと吟味しなくてはなりません。ワクチンの副作用には免疫の問題が関わるので因果関係の特定が難しいですが、よほど大きな弊害でない限りはワクチンが感染を予防してくれる恩惠のほうが勝ります。

 

4. 予防接種(ワクチン)の種類によってスケジュールは変わるの?

ワクチンはいろいろな種類があります。それらを大きくグループ分けすると、生ワクチンと不活化ワクチンになります。

◎生ワクチンとは?

名前に「生」とついていますが、なにが「生」なのでしょうか?

予防したい病原体をそのまま注射して身体に入れることになります。

ここで、そのまま病原体を入れたら感染してしまうのではないかと心配になる人もいるかと思います。生ワクチンはその心配を解消するために、病原体の感染力を弱めています。

とはいえ感染力はゼロではないので、特に免疫の弱いことが指摘されたことのある場合は、接種することは避けたほうが良いです。

以下は一般的に避けたほうが良い人になります。

  • 免疫の弱っている病気を指摘されている人
  • 免疫を抑える薬を使っている人

これらに当てはまる人が、ワクチンを打つ場合は必ずお医者さんに相談して下さい。また、ずっとひどい風邪を引いていたりずっと下痢をしていたりする子どもは、ワクチンを打つ前に免疫の機能を確かめる必要があるかもしれません。医療機関を受診して相談してみてください。

最後に、生ワクチンで予防できる病気をリストに示します。

  • 麻疹(はしか)
  • 風疹(ふうしん)
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
  • 水痘(水ぼうそう)
  • ロタウイルス
  • 結核
  • ポリオ(飲むタイプのワクチン)

これらの病気は重症になると子どもが非常につらい思いをしますので、しっかりと予防しましょう。

 

◎不活化ワクチンとは?

不活化ワクチンは、病原体から感染力を完全に奪ったものになります。そのため、これを接種することで感染する心配はないですが、何回か打たないと予防効果が出てこないという特徴があります。

不活化ワクチンで予防できる病気は以下のとおりです。

  • 肺炎球菌
  • インフルエンザ桿菌
  • A型肝炎
  • B型肝炎
  • インフルエンザウイルス
  • 日本脳炎
  • 百日咳
  • ジフテリア
  • 破傷風
  • 髄膜炎菌
  • ポリオ(注射のタイプのワクチン)

これらの病気も、かかったら子どもも大変ですので、欠かさずワクチンを打ってください。

 

◎予防接種(ワクチン)を打ったらしばらくお休みが必要?

ワクチンは同時接種として一度に何本も同時に打つことができます。

しかし、ワクチンを一度打つと、しばらくの間は次のワクチンはお休みしなくてはなりません。このお休み期間はワクチンの種類によって変わってきます。ただし、異なるワクチン同士に関しては2020年10月より打つ間隔の制限がなくなりました(注射の生ワクチン同士に限っては4週間の接種間隔が必要。また、新型コロナワクチンに関連する場合は2週間以上の接種間隔が推奨)。

上に記したワクチンを上手に接種するスケジュールを参考にして下さい。このスケジュールから外れてしまうのであれば、調整のため、かかりつけのお医者さんに相談して下さい。

 

5. 予防接種(ワクチン)の副作用はどんなものがあるの?

予防接種を打つと副作用が出ることがあります。軽いものであれば注射した部位がかゆくなる程度ですが、重いものであれば全身に症状が出てきます。実際にどんなものが出るのでしょうか。

◎注射した部位の周囲に出る副作用

注射した部位に出る副作用は以下のとおりです。

  • 腫れる
  • 赤くなる
  • 痒くなる
  • 痛む

いずれも数日すれば自然に治ることがほとんどですので、これらはあまり心配はいりません。よほどひどく腫れ上がって心配があるようでしたら医療機関にかかって下さい。

 

◎全身に出る副作用

予防接種の副作用が全身に出ることがあります。

その場合は以下の症状が出ます。

  • 発熱
  • 注射したところ以外に皮疹(赤くなる、膨れる、痒くなる)が出る
  • 息苦しそうにしている
  • いつもより泣き方がひどい

これらの症状が出た場合は、まれに命にかかわることがあります。慎重に状況を見る必要がありますので、一度医療機関にかかるようにして下さい。

尚、「予防接種を打った日はお風呂に入らないほうが良いのか?」や「予防接種を打った部場所を揉んだほうが良いのか?」という疑問があると思いますが、特にお風呂に制限はありませんし揉む必要もありません。

 

6. 任意の予防接種(ワクチン)は打たなくて良い?

任意の予防接種も打った方が良いです。

ワクチンは感染を予防するだけでなく、運悪く感染にかかっても症状がひどくならないようにしてくれます。赤ちゃんは特に重症になりやすいですから、任意の予防接種も是非受けるようにしてあげて下さい。

任意の予防接種で予防できる病気は以下のものになります。

  • A型肝炎
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
  • 髄膜炎菌
  • インフルエンザウイルス

これらの感染症はひどい場合は後遺症が残ることもあるので、出来るだけかからないようにすることが望ましいです。

起こりうる後遺症は以下のものになります。

 

感染症

後遺症

A型肝炎

ごくまれに劇症肝炎

流行性耳下腺炎
(おたふくかぜ)

耳鳴り、難聴、めまい、
精巣が腫れる

髄膜炎菌

意識や手足の運動の障害

インフルエンザウイルス

意識もうろう、けいれん

 

また、きちんと予防接種する人が多くなると、日本が感染症の少ない住みやすい国になっていきます。実はこれも予防接種の大きな価値になります。

 

◎ワクチンを接種する費用

定期のワクチンを打つ場合は基本的に費用はかからないですが、任意のワクチンを接種する際は費用がかかります。目安としては1回5,000円から9,000円位になります。

しかし、いくらかかるかは医療機関によって違ったりするので、受ける前に問い合わせるほうが良いでしょう。

費用がかかるワクチンは打ちたくないという考えの方もいると思います。しかし、実際に感染症にかかった場合は、もっと費用がかかることもありますし、子どもがとてもしんどい思いをします。

是非、任意の予防接種も受けるようにしましょう。

 

7. 次のワクチンをいつ打つんだっけ?予定を忘れてしまわないために

ワクチンを何本も打つことになると、いつ打つんだったっけという事態にどうしてもなってしまいます。しかし、きちんとワクチンを打つことで子どもは感染から守られますので、忘れることなく予防接種していくことが大切です。

以下に、ワクチンを上手に接種していく方法を示します。

 

◎一度の通院で出来るだけ多くの種類のワクチンを打ちましょう

一度の通院で多くのワクチンを打つことで、通院の回数を減らせます。そうすることで、子どもだけでなく連れて行く家族の負担も減らすことができます。

また、通院回数が減ることでスケジュール管理が楽になります。次のワクチンの予定を忘れてしまうということを減らすことができます。

 

◎次のワクチンは週の単位で考えず、出来るだけ月の単位で考える

2週間後とか6週間後という予定はどうしても忘れてしまいがちです。ワクチンは月の上旬に打つといったように、月の単位で考えれば次の予定を忘れることも減らすことができます。

とはいえ、うっかり忘れてしまうのが人間です。カレンダーに予定を書き込んだり携帯のアラーム機能を使ったりして、うっかり忘れないように気をつけていきましょう。

 

*2016年7月21日初回配信のコラムです。2020年10月1日のロタウイルスの定期接種化を受けて一部内容を更新しました。
メドレー編集部

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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