きゅうせいかいはくずいえん(ぽりお)
急性灰白髄炎(ポリオ)
ポリオウイルスの感染による神経感染症。軽症で自然治癒する場合も多いが、麻痺の後遺症が残る場合もある
4人の医師がチェック 28回の改訂 最終更新: 2017.12.06

急性灰白髄炎(ポリオ)の基礎知識

POINT 急性灰白髄炎(ポリオ)とは

ポリオウイルスによる感染症です。ポリオウイルスに感染しても、多くの場合は発病しないと言われています。感染者の5%ほどが発病し、1-2%が髄膜炎に至り、その一部が麻痺を起こし後遺症が残ると言われています。ポリオにかかった時の症状は風邪のような症状で、発熱・頭痛・のどの痛みなどになります。ポリオに対してはワクチンが存在しており、日本ではワクチンが定期接種となっているためポリオウイルス感染者はほとんど存在しません。 診断のためには、便や血液中にポリオウイルスが存在するかを調べる検査を行います。有効な治療方法は存在しないため、予防接種などで感染を予防することが非常に大切です。ポリオを疑った場合は感染症内科にかかって下さい。

急性灰白髄炎(ポリオ)について

  • メカニズム
    • 病原体はポリオウイルス
    • ポリオウイルスがヒトの口の中に入り、のどや腸の中で増殖する
    • ポリオウイルスに感染しても、90-95%は症状が出ないと考えられている
    • 体内に侵入したウイルスは、リンパ管や血液を介して脊髄、脳に感染する
  • ポリオウイルスは感染者の便を介して他人に感染する
    • 感染しても多くの場合には症状がでない(発症しない)
    • 感染者の5%でかぜのような症状が現れる
    • 感染者の1〜2%では上記の症状に引き続き、無菌性髄膜炎を発症する
    • 感染者の0.1〜2%で弛緩性の麻痺が現れ、麻痺は後遺症としてのこる場合がある
  • 日本はじめ多くの国ではワクチンの接種が普及して、感染率は低い
    • 海外の流行地で感染した人から、国内にウイルスが持ち込まれることがある
    • 乳幼児は免疫力がないため、特に注意が必要
  • ポリオウイルスの感染による神経感染症
    • 弛緩性の麻痺(筋に力が入らなくなる)などの症状が現れ、後遺症として麻痺がのこることがある

急性灰白髄炎(ポリオ)の症状

  • 主な症状
    • 感染してから数日から1か月後に、だるさ、くびの後ろや背中の痛みなどの症状が現れる
    • かぜ様症状(発熱、頭痛、のどの痛み、吐き気、嘔吐)のみで自然治癒することもある
    • ウイルス脊髄に感染して重症になると、手足に弛緩性麻痺が現れる
    • 弛緩性麻痺は一生残ることもあり、また呼吸困難で亡くなることもある 

急性灰白髄炎(ポリオ)の検査・診断

  • ウイルス分離:糞便の中にウイルスがあるか調べる
  • 血液検査:血液中にウイルスがいるかを調べる

急性灰白髄炎(ポリオ)の治療法

  • 治療法は確立されておず、対症療法(症状を和らげる治療)が行われる
  • 呼吸障害に対して
    • 気管内挿管を行って人工呼吸器を用いて呼吸をサポートする
    • 気管内挿管が長期的になる場合は、気管切開を行う
  • 弛緩性麻痺に対して
    • リハビリテーションによる、残存機能を活かした身体機能訓練や生活設計など
  • 予防法
    • 予防接種(ワクチン)
    • とくに流行国へ渡航するときには、追加の予防接種、手洗いの励行

急性灰白髄炎(ポリオ)の経過と病院探しのポイント

急性灰白髄炎(ポリオ)が心配な方

急性灰白髄炎ポリオ)では、発熱や頭痛、嘔吐、下痢といった症状が出た後、まれに脊髄に炎症が生じ、手足の麻痺の原因となります。ポリオは、渡航者やその人を発端とした感染などを除き、国内では数十年間感染が報告されていない感染症です。中近東およびアフリカで流行が確認されており、便を介して人から人へ伝染するため注意が必要です。以前に使用されていたポリオウイルスの生ワクチンの作用によって、数百万回のワクチン接種に1回の頻度でポリオ発症が報告されていましたが、現在ではワクチンが生ワクチンから不活化ワクチンに切り替わっており、ワクチンによる発症の心配はありません。

診断は血液検査や便の検査で行いますが、特殊な検査であるために血液・便を専門の検査機関へ送った上で検査が行われます。結果が出るまでに数日から1週間ほど時間がかかり、それを待っていると治療が遅くなってしまいます。したがって、旅行歴や症状から仮の診断がついた時点で、入院の上で治療を始めることが多いです。

急性灰白髄炎そのものが国内では珍しいこともあり、専門の医師でないと診断をつけることが困難です。手足の麻痺というと通常は感染症というよりも別の病気との区別を優先する必要があるため、受診先は神経内科や脳神経外科が良いでしょう。その場合、直近でポリオの流行地域へ行っていたことがあれば、いつからいつまでどこに旅行をしていたかを医師に伝えてください。

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急性灰白髄炎(ポリオ)でお困りの方

ポリオの予防接種は、現在では不活化ワクチンに切り替わっていますが、2012年以前は生ワクチンで行われていました。この背景には、生ワクチンの方が不活化ワクチンよりもポリオの予防効果が高いこと、生ワクチンによるポリオ発症のリスク自体が極めて低く、世界的なポリオ感染のリスクが高い間は生ワクチンを接種していた方が国全体で見たときにポリオ流行のリスクが相対的に低いことなどがありました。しかし国内での感染が長期間報告されていないことを始め、世界でもポリオの流行地域が徐々に狭まってきていることも鑑みて、2012年からはワクチンの副作用でポリオに感染してしまうことのない不活化ワクチンが利用されるようになりました。

2012年以前の生ワクチン接種にともなってポリオを発症してしまった方には、予防接種法に基づく救済制度(金銭補償)が設けられています。しかし救済制度を受けたところで麻痺が元通りになるわけではありません。ポリオを始めとする神経麻痺については様々な研究が行われていますが、再生医療のように根本的に麻痺が治る治療が開発されて広まるまでにはまだ多くの時間を要するところでしょう。まずはポリオになる前の発症予防が、国の取り組みとして重視されています。

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