ずいまくえん

髄膜炎

脳と脊髄を包んでいる髄膜が、炎症を起こしている状態。場合によっては神経の重い後遺症が残ったり死に至ったりすることもある

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17人の医師がチェック 198回の改訂 最終更新: 2017.06.15

髄膜炎の基礎知識

髄膜炎について

  • 脳や脊髄脳から脊椎の中へ向かって通っている太い神経。脳と体の各部位を行き来する指令を伝える役割をもつを包んでいる髄膜に炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが存在する状態
    • 細菌感染症を起こす微生物の1つ。ウイルスと比較して10-100倍の体の大きさをもつウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効である真菌病気の原因となる微生物のうち、かびの仲間のこと。細菌に対する薬である抗菌薬は効果がなく、真菌感染症には抗真菌薬が用いられるなどに感染したことが原因となる場合が多い
    • まれに、アメーバやマラリアのような原虫単核細胞の微生物のうち、真核生物のものをいう。アメーバやマラリアなどや寄生虫が原因となることもある
    • 膠原病複数の臓器に炎症がみられる病気の総称。有名なものとしては関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどがあるなどの自己免疫本来は外敵を倒すために働くはずの免疫が、何らかの異常によって自分の体を攻撃してしまう状態性疾患でも起こることがある
    • がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるの影響で起こることがある
  • 病原体によって分類される(詳細はそれぞれの疾患を参照)
    • 細菌などに感染すると、免疫を担当する細胞(白血球)が細菌と戦うが、その結果として死んだ細胞や細菌が集まったものが膿である性髄膜炎(細菌性髄膜炎):細菌の感染が原因。結核性髄膜炎もここに含まれる
    • 無菌性髄膜炎:細菌感染以外(ウイルス、がん、膠原病など)が原因で起こる
      ウイルス性髄膜炎は多くのウイルスが原因となるが、特にムンプス髄膜炎単純ヘルペス脳炎が有名である
  • 髄膜の炎症が脳まで達すると脳炎という状態になる
  • 化膿性髄膜炎は症状が重くなることが多く、脳に障害を起こしたり、死に至ることもある

髄膜炎の症状

  • 主な症状
    • かぜのような軽い症状(初期)
    • 発熱
    • 嘔吐
    • 頭痛
  • 細菌などに感染すると、免疫を担当する細胞(白血球)が細菌と戦うが、その結果として死んだ細胞や細菌が集まったものが膿である性髄膜炎の場合は重症となりやすく、以下の症状が現れ、脳の障害に至ることもある
    • 首が曲がらない
    • 意識がもうろうとする
    • けいれん
      など

髄膜炎の検査・診断

  • 血液検査:炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが起こっているかや全身の炎症がどの程度なのかなどを調べる
  • 髄液検査背中側から背骨の間に針を刺して、髄液と呼ばれる液体を採取する検査。脳や脊髄に異常がないかを確認するために行う:背中に針を刺して脳脊髄液脳や脊髄の周囲を満たしている体液を採取する検査
    • 髄液脳や脊髄の周囲を満たしている体液の中にどの程度炎症物質やタンパク質があるのかを調べる:髄膜炎であるかどうかを調べる
    • 髄液の中にウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効である細菌感染症を起こす微生物の1つ。ウイルスと比較して10-100倍の体の大きさをもつがいるかを調べる
      ・髄液の中に細菌がいるのかを顕微鏡で調べる
      ・髄液を用いて細菌の培養細菌、真菌やウイルスなどを、検査のために育てて増殖させること。少ない量だと確認できない病原体が、培養によって検出できるようになるやウイルスの培養検査感染症における検査の一種で、菌がいるかどうかの判断や、感染している菌の種類を特定するためのものを行う
      ・髄液を用いてウイルスの抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりする価を調べる
  • 画像検査
    • CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査検査
      ・髄膜炎以外の病気がないか調べる
      ・髄液検査が適切に行えるかどうかを判断するために行われることもある
    • MRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査検査
      ・髄膜炎が進行することによる細菌のかたまり(膿瘍細菌に感染し、膿(うみ)が体の一部にたまっている状態。抗生物質による治療では不十分で、膿を抜く(排膿)必要となる場合がある)ができていないかを調べる

髄膜炎の治療法

  • 主な治療は薬物治療
    • 細菌感染症を起こす微生物の1つ。ウイルスと比較して10-100倍の体の大きさをもつが原因となっている場合(化細菌などに感染すると、免疫を担当する細胞(白血球)が細菌と戦うが、その結果として死んだ細胞や細菌が集まったものが膿である性髄膜炎)
      抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がない
       ・最初はさまざまな細菌に効く抗菌薬を使う
       ・原因となっている細菌が分かり次第、最も適した抗菌薬に切り替える
    • 細菌以外が原因となっている場合(無菌性髄膜炎)
      ウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効であるには抗菌薬は効かない
      ・水分の補充など体力の回復を促しながら治癒病気が、それ以上の治療を必要としない状態になること。完治とほぼ同じ意味を待つ
      ・一部の種類のウイルス(ヘルペスウイルス一般的なウイルスの一つ。顔や性器の水ぶくれ(水疱)を引き起こす1型と2型や、水痘や帯状疱疹を引き起こす3型など様々な種類がある水痘帯状疱疹ウイルス水痘(みずぼうそう)や帯状疱疹の原因となるウイルス、サイトメガロウイルス)が原因と考えられる場合には、抗ウイルス薬と呼ばれる薬が使われることもある

髄膜炎に関連する治療薬

カルバペネム系抗菌薬

  • 細菌の細胞壁合成を阻害し殺菌的に抗菌作用をあらわす薬
    • 細胞壁という防御壁をもつ種類の細菌は、細胞壁が作れないと生きることができない
    • 細胞の細胞壁合成に深く関わるペニシリン結合タンパク質(PBP)というものがある
    • 本剤は細菌のPBPに結合し細胞壁合成を阻害することで抗菌作用をあらわす
  • 本剤がもつ抗菌作用の範囲は幅広く多くの細菌に対して抗菌作用が期待できる
カルバペネム系抗菌薬についてもっと詳しく

セフェム系抗菌薬

  • 細菌の細胞壁合成を阻害し細菌を殺すことで抗菌作用をあらわす薬
    • 細胞壁という防御壁をもつ細菌はこれがないと生きることができない
    • 細菌の細胞壁合成に深く関わるペニシリン結合タンパク質(PBP)というものがある
    • 本剤は細菌のPBPに作用し細胞壁合成を阻害することで細菌を殺す作用をあらわす
  • 妊婦にも比較的安全に投与できるとされる
  • 開発された世代によって第一世代〜第四世代に分けられる
    • 各世代で、各種細菌へ対して、それぞれ得手・不得手がある
    • 世代が同じであっても薬剤によって各種細菌に対して得手・不得手の違いが生じる場合がある
セフェム系抗菌薬についてもっと詳しく

髄膜炎の経過と病院探しのポイント

髄膜炎かなと感じている方

髄膜炎は大きく病状に幅のある病気です。症状が微熱と軽い頭痛程度で、かぜと間違えられて、それでもいつの間にか自然に治っているという場合もそれなりの割合であると考えられています。軽いものであればこのように、診断もつかないうちに治ってしまいます。一方で重症のものでは意識がもうろうとして動けなくなってしまったり、全身がけいれんしたりといった場合もあります。

ご自身が髄膜炎でないかと心配になった時、意識がはっきりとしていればまずはお近くの内科や小児科クリニックの受診をお勧めします。その上でもし髄膜炎が強く疑われるということになれば、最初にかかった医療機関から診療情報提供書前の病院で行われた検査や治療、経過をまとめて、他の医療機関へ引き継ぐための資料。俗に「紹介状」と呼ばれているものを指す紹介状前の病院で行われた検査や治療、経過をまとめて、他の医療機関へ引き継ぐための資料。正式名称は「診療情報提供書」)をもらった上で専門病院を受診する形になることが多いでしょう。

髄膜炎の診断のためには腰椎穿刺背中側から背骨の間に針を刺して、髄液と呼ばれる液体を採取する検査。脳や脊髄に異常がないかを確認するために行うといって、背中から針を刺して背骨背骨のこと。頚椎、胸椎、腰椎に分かれるの内側にある髄液脳や脊髄の周囲を満たしている体液を採取することが必要です。レントゲンX線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査などの画像検査で髄膜炎を診断することはできませんが、他の病気でないことを確かめるために頭部CTX線(放射線)を用いて頭の中の状態を調べる検査。脳出血や水頭症の確認などに使われることが多いの撮影が必要になることがあります。

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髄膜炎でお困りの方

髄膜炎の治療は、細菌性髄膜炎かそれ以外かで大きく分かれます。細菌性髄膜炎は重症感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称の一つで、抗生物質微生物が産生する細胞の増殖や機能を阻害する物質。抗菌薬・抗ウィルス薬・抗がん薬を含むの点滴を行います。それ以外の髄膜炎には一部を除き効果的な薬がないため、対症療法病気による症状自体を抑えるための治療。病気の根本の原因を治す治療(根本治療)と区別されるを行います。また内服薬飲み薬のことでは治療できないため、そして悪化すると命に関わる病気であるため、入院が必要となります。

髄膜炎については、診断がつき次第その場で治療が開始されますし、治療の方法にもバリエーションが少ないため、どのような治療を受けるか迷う余地は少ない病気と言えます。

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