さいきんせいずいまくえん
細菌性髄膜炎
細菌が原因となり、脳を包む髄膜に生じる重症感染症
8人の医師がチェック 39回の改訂 最終更新: 2018.03.30

細菌性髄膜炎の基礎知識

POINT 細菌性髄膜炎とは

脳と脊髄の周囲を脳脊髄液という液体が流れており、その周囲は髄膜という膜で覆われています。この髄膜に細菌が感染することにより炎症が起こることを細菌性髄膜炎といいます。主な原因としては、中耳炎・副鼻腔炎・血液感染・椎体の感染・脳神経外科の手術後などが挙げられます。細菌性髄膜炎の症状は、発熱・頭痛・首の硬直・吐き気・嘔吐などになります。 背中に針を刺して脳脊髄液を採取して中に細菌がいるかどうかを調べる検査を行って診断をつけますが、細菌性髄膜炎が疑われた場合には直ちに治療を行います。点滴の抗菌薬とステロイドを用いた治療を行います。細菌性髄膜炎は緊急度の高い病気ですので、首が硬くて調子の悪い場合は直ちに救急科・神経内科・感染症内科を受診して下さい。

細菌性髄膜炎について

  • 細菌が原因となり、脳を包む髄膜に生じる重症感染症
    • 急性化髄膜炎とも呼ばれる
    • 治療しないと死亡するほど重症感染症
  • 菌が何かしらの原因で髄液内に入り込んで炎症を起こす
  • 主な原因菌
    • 乳幼児:B群溶連菌、大腸菌インフルエンザ菌など
    • 成人:肺炎球菌髄膜炎菌など
  • 病気のタイプ
    • 菌血症による血行性経路
    • 中耳炎副鼻腔炎などの感染巣からの直接侵入
    • 心臓、肺など他臓器の感染巣からの血行性
    • 脳外科手術後の感染
  • 結核性髄膜炎も細菌性髄膜炎の一種ではあるが、特殊な例として区別されることが多い
    • 細菌性髄膜炎は超緊急疾患であり、症状は急速に進行し放置すると死亡してしまう
    • 結核性髄膜炎は比較的症状がゆっくり進行する

細菌性髄膜炎の症状

  • 発症後24時間以内に病気の勢いはピークに達する
  • 主な症状
    • 発熱
    • 激しい頭痛
    • 首の硬直
    • 嘔吐
    • 光をまぶしく感じる
    • 混乱、意識障害

細菌性髄膜炎の検査・診断

  • 主な検査
    • 血液検査
    • 炎症の程度や全身状態を見極める
    • 髄液検査腰椎穿刺を行って調べる、診断のために不可欠な検査
    • 髄液に炎症があるのかを調べる
    • 髄液中の糖の量やタンパク質の量で細菌性髄膜炎かどうかを推測する
    • 髄液中にどんな形の細菌がいるのかを顕微鏡で調べる
    • 髄液中にいる細菌名を培養して調べる
    • 頭蓋内圧が亢進している場合は腰椎穿刺を行ってはいけない
      ・頭蓋内圧の亢進していることが疑われる症状は以下である
       ・視神経乳頭浮腫が存在する
       ・しびれや麻痺があり
       ・強い吐き気がある
       ・意識がもうろうとする    などである
    • CT検査
    • 造影CTで髄膜が厚くみえ、診断の手助けになる場合もあるが、CTでは異常がみつからない場合も多い
    • 髄膜炎が疑われる場合にはCTで異常がなくても積極的に髄液検査が行われる
    • MRI検査
    • 造影MRIで髄膜が厚くみえたり、一部の撮像法で異常を認め、診断の手助けになる場合もあるが、MRIでは異常がみつからない場合もある
    • 髄膜炎が疑われる場合にはMRIで異常がなくても積極的に髄液検査が行われる

細菌性髄膜炎の治療法

  • 主な治療法
    • 抗菌薬の点滴
      感染症治療は原因となっている細菌を特定して適切な抗菌薬を使用することが大原則であるが、細菌性髄膜炎に関しては細菌を特定するまで待っていると死んでしまうため、培養検査を施行したら可及的速やかに経験的な治療を始める
      ・細菌性髄膜炎の経験的な治療では、考えうる複数種類の菌を同時に治療する
      ・抗菌薬によっては脳脊髄まで到達しにくいものもあるので、抗菌薬の選択は専門家に相談して決める方が良い
    • 治療開始直前にステロイドの点滴を行うと良い(特に肺炎球菌が原因の場合)
    • その他、症状に応じて対症療法を行う
      ・解熱薬
      ・抗けいれん薬
  • 予防法
    • ワクチンの接種によって、一部の菌による細菌性髄膜炎は予防することができる
  • 疾患の予後
    • 感染症の中でも非常に重篤なものであり、死亡や重大な後遺症に繋がることがある
    • 早期治療が重要で、数時間の差が救命率に影響を及ぼす

細菌性髄膜炎に関連する治療薬

カルバペネム系抗菌薬

  • 細菌の細胞壁合成を阻害し殺菌的に抗菌作用をあらわす薬
    • 細胞壁という防御壁をもつ種類の細菌は、細胞壁が作れないと生きることができない
    • 細胞の細胞壁合成に深く関わるペニシリン結合タンパク質(PBP)というものがある
    • 本剤は細菌のPBPに結合し細胞壁合成を阻害することで抗菌作用をあらわす
  • 本剤がもつ抗菌作用の範囲は幅広く多くの細菌に対して抗菌作用が期待できる
カルバペネム系抗菌薬についてもっと詳しく

細菌性髄膜炎の経過と病院探しのポイント

細菌性髄膜炎が心配な方

細菌性髄膜炎は緊急性の高い病気です。高熱が出て自力では動けなくなったり、意識がもうろうとして周囲の方に抱えられて病院を受診したりすることもあります。「何か頭が痛くて熱があるな」というだけの症状であれば、(少なくともその時点では)あまり細菌性髄膜炎は疑いません。また半日で急激に症状が進行するような病気なので、数日間かけて徐々に悪化してきた、というときも、やはりあまり細菌性髄膜炎らしくありません。ウイルス性髄膜炎など他の種類の髄膜炎であればそのようなことも十分にあり得ます。

ご自身が細菌性を含む髄膜炎でないかと心配になった時は、お近くの病院の小児科、または救急科の受診をお勧めします。診断のためには腰椎穿刺といって、背中から針を刺して背骨の内側にある髄液を採取することが必要です。レントゲンやCTなどの画像検査で髄膜炎を診断することはできませんが、他の病気でないことを確かめるために頭部CTの撮影が必要になることがあります。

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細菌性髄膜炎でお困りの方

細菌性髄膜炎の治療は、抗生物質の点滴です。内服薬では治療できないため、入院が必要となります。

髄膜炎については、診断がつき次第その場で治療が開始されますし、治療の方法にバリエーションが少ないため、どのような治療を受けるか迷う余地は少ない病気と言えます。ただし急速に症状が悪化するため、迅速な対応が必要な病気です。命に関わることもある感染症ですので、重症化した場合の対応という意味では、ICU (intensive care unit), HCU (high care unit) などと呼ばれるような集中治療室がある病院だとより安心かもしれません。

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