さいきんせいずいまくえん
細菌性髄膜炎
細菌が原因となり、脳を包む髄膜に生じる重症感染症
8人の医師がチェック 38回の改訂 最終更新: 2017.12.06

Beta 細菌性髄膜炎のQ&A

    細菌性髄膜炎の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    細菌感染が原因で起こる髄膜炎です。細菌による直接的なダメージだけでなく、細菌が産生する物質のせいで感染した人の免疫が異常に活性化され、さらに重症化してしまいます。

    細菌性髄膜炎は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    日本では年間1500人程度の発症と推測されています。これまでは小児がその7割程度を占めていましたが、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンや肺炎球菌ワクチンが日本でも導入されるようになり、ようやく減ってきているようです。

    細菌性髄膜炎は、他人にうつる病気ですか?

    細菌性髄膜炎を引き起こす細菌には様々なものがありますが、その一つに髄膜炎菌という菌がいます。この髄膜炎菌は、軽い接触で感染することはありませんが、唾液に触れるなど濃厚接触した場合はうつる可能性があります。患者と同居していたり、同じものを回し飲みしたりした場合は、感染のリスクは高いと考えます。

    その他の細菌で起こる髄膜炎では、あまり考えなくてよいでしょう。

    細菌性髄膜炎の原因としてどのような菌が多いのですか?

    年齢によって大きく異なりますので、以下年齢別に記します。

    (一般的な区分とは大きく異なりますが、このような年齢の区分になるのは、免疫系の発達の関係です。)

    • 1ヶ月未満:B群レンサ球菌、大腸菌
    • 1-3ヶ月:B群レンサ球菌、インフルエンザ菌
    • 4ヶ月-5歳:肺炎球菌、インフルエンザ菌
    • 6歳-49歳:肺炎球菌、インフルエンザ菌
    • 50歳-:肺炎球菌、インフルエンザ菌、B群レンサ球菌

    細菌性髄膜炎は、どんな症状で発症するのですか?

    他の髄膜炎と同じく、最初は風邪のような症状です。発熱、嘔気、嘔吐、頭痛などの症状が見られます。

    三徴とも呼ばれる代表的な症状は、発熱、項部硬直、意識障害です。これらの症状が全て揃うのは半分にも満たないので、全て揃っていないから髄膜炎ではないとは決していえません。

    細菌性髄膜炎が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    細菌性髄膜炎では、頭蓋内圧亢進およびそれに伴う意識障害を来しやすいので注意します。けいれんもみられることがあります。また、障害が脳実質に及べば失語や麻痺などの症状が出ることがあります。

     

    細菌性髄膜炎のその他の症状にはどのようなものがありますか?

    菌の種類によっては皮疹がみられることがあります。

    重篤な症状としては聴力障害がみられることがあり、重度の場合は人工内耳を植えこまなければならないこともあります。また、血管炎による脳梗塞がみられ、後遺症が残ることも多いです。脳梗塞の後遺症としては麻痺や高次脳機能障害(人間らしいことをするための頭の機能の障害)が挙げられます。

    細菌性髄膜炎は、どのように診断するのですか?

    問診・診察を行い、血液検査を提出します。その後頭部CTを施行し、頭蓋内圧亢進所見がないことを確かめた後に、腰椎穿刺を行い、採取した髄液を検査します。細胞数が多核球優位に非常に増加しており、糖の値が著しく低ければこの病気で間違いありません。

    細菌性髄膜炎の、その他の検査について教えて下さい。

    細菌性髄膜炎の治療においては、原因菌を同定することが重要になります。血液培養・髄液培養の検査は必ず行いますが、こういった培養検査でも菌が検出されないことがあります。その場合には髄液のPCR検査などさらに特殊な検査を行うことがあります。

    細菌性髄膜炎と診断が紛らわしい病気はありますか?

    細菌性以外の他の髄膜炎は考えなければなりませんが、髄膜炎の中でも最重症なのは細菌性髄膜炎であることから、細菌性髄膜炎が疑わしければすぐにその治療に入ることが原則です。

    細菌性髄膜炎の治療法について教えて下さい。

    細菌感染による病気なので、抗菌薬の投与が治療の基本となります。最近は耐性菌といってある種の抗菌薬に耐性を示す、すなわち効かない菌が増えてきているので、できるだけいろんな菌に効く抗菌薬を使います。

    細菌性髄膜炎の治療には抗菌薬以外に何を使うのですか?

    細菌性髄膜炎では副腎皮質ステロイドの併用が推奨されます。というのも、細菌性髄膜炎は細菌による直接的以外にも、細菌が産生する物質などにより免疫が異常に活性化することで重症化します。そのために免疫を抑える副腎皮質ステロイドが有効となります。基本的には抗生物質投与前に注射で使います。

    細菌性髄膜炎では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    必ず入院して治療を行います。抗菌薬の投与期間は解熱後7-10日と言われています。1週間や2週間で治る病気ではなく、数ヶ月単位の入院が必要になることが多いです。

    細菌性髄膜炎の予防に関して、出来ることはありますか?

    細菌性髄膜炎を引き起こす代表的な最近は肺炎球菌とインフルエンザ菌です。それぞれワクチンが開発されており、ワクチン接種により発症を予防できます。

    細菌性髄膜炎は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    細菌性髄膜炎の死亡率は医学の発達した現代でもなお20 %と非常に高率です。また、生存者でも約30%に後遺症を認めます。後遺症としては難聴や麻痺、高次脳機能障害などです。


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