Beta 髄膜炎のQ&A
髄膜炎とはどういう病気ですか?
髄膜とは脳や脊髄を覆っている膜です。この髄膜に感染などなんらかの理由で炎症が起きている状態です。
髄膜炎の原因について教えて下さい。
最も多いのは感染で、細菌/ウイルス/真菌が代表的です。細菌の中でも、結核菌は別に取り扱われることが多いです。
その他、自己免疫性疾患や薬剤、癌などが原因になることもあります。
髄膜炎は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?
細菌性髄膜炎は日本全国で1500人程度と推計されていますが、それ以外の髄膜炎については正確な統計はありません。
髄膜炎と脳炎は違うのですか?
髄膜だけでなく脳実質にも炎症が及べば脳炎と呼びます。
実際には両者の区別を厳密につけることが出来ない場合もあり、髄膜脳炎という言い方をすることもあります。
髄膜炎の代表的な症状にはどういうものがありますか?
三徴と呼ばれる典型的な症状は、頭痛、項部硬直、意識障害です。
項部硬直という言葉は聞き慣れないかと思います。「項」は訓読みでは「うなじ」、要するに頸の後ろの部分です。その部分がこわばったようになり、曲げづらくなります。
髄膜炎の、その他の症状について教えて下さい。
髄膜炎の初期症状は、風邪と同じようなものです。発熱、頭痛、嘔気、嘔吐などの症状がみられます。項部硬直がみられるのがこの病気の特徴でしょう。その他、髄膜炎の原因によって多彩な症状があらわれます。
髄膜炎が重症化すると、どのような症状が起こりますか?
症状が進んでくると、意識障害やけいれんといった症状がみられるようになってきます。申し上げるまでも無いですが、こういった症状がみられるようになれば迷わず病院を受診して下さい。
髄膜炎は、どのように診断するのですか?
最初に行うことは問診と全身の診察です。どういった症状がいつからあるのかを把握した上で全身を診察し、項部硬直や神経学的な異常がないかをくまなく診察していきます。その後、髄膜炎が疑われるようであれば、血液検査を行い、さらに頭部CTを施行します。これで頭蓋内圧亢進の所見が無いことを確認した後に、腰椎穿刺を行い、髄液の検査を行います。
髄膜炎の検査方法である、腰椎穿刺・髄液検査とは何ですか?
背中に針を刺して、髄液という液体をとってきます。髄液とは、脳や脊髄のまわりにある液体で、脳や脊髄、髄膜に炎症があれば髄液中の細胞数の上昇などの異常がみられます。この異常のパターンで、髄膜炎の原因が何であるかの予想を大体つけることができます。また、細菌が原因であれば、髄液を培養することで髄膜炎を起こしている細菌が分かります。髄膜炎の診断でなくてはならない検査です。
髄膜炎の検査方法である、腰椎穿刺は痛みを伴いますか?
背中にある程度の太さのある長い針を刺すので、怖がる方が多いのですが、実際はしっかり局所麻酔薬(痛み止め)を使ってから刺すので痛みはそれほど大したものではありません。
背中という自分の目の見えない所に針を刺されるので、その恐怖心が大きいと思いますが、実際は「意外と大したことがなかった」とおっしゃる方が多いです。
髄膜炎の、その他の検査について教えて下さい。
造影MRIで異常がみられることがあります。必要に応じて行います。
また、血液検査の一環として、血液培養という検査を行います。血液の中に細菌がいないかを確かめる検査で、同時に少なくとも2ヶ所から血液をとることが多いです。
髄膜炎と診断が紛らわしい病気はありますか?
急性の細菌感染症では高熱や意識障害が出ることがあるので、髄膜炎と似たような症状になります。その他、急性の脳症(インフルエンザ脳症)も髄膜炎のような症状をきたします。
脳実質に病変がおよぶと脳炎と呼び、症状だけからは髄膜炎と区別することはできず、MRIなどの画像検査が必要になります。
髄膜炎の治療法について教えて下さい。
原因によって治療方針は大きく異なります。基本方針は、髄膜炎を起こしている病気を治療する、ということになります。詳しくは各病気を参照して下さい。
髄膜炎では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?
原因によって詳細は異なりますが、基本的には入院による治療が必要になることが多いです。
髄膜炎は繰り返しますか?
原因によりますが、一部のウイルス性髄膜炎では再発しやすいことが知られています。自己免疫性疾患が原因の髄膜炎でも繰り返すことがあります。