単純ヘルペス脳炎の基礎知識
POINT 単純ヘルペス脳炎とは
単純ヘルペスウイルスが脳に炎症を起こした病気です。体内に潜んでいた単純ヘルペスウイルスが免疫力の低下を契機に再感染したことが原因であることが多いです。主な症状は、発熱・頭痛・意識障害・錯乱・けいれんなどになります。 血液検査・髄液検査・脳波検査・頭部MRI検査を行って診断します。治療は抗ウイルス薬を用いて行います。単純ヘルペス脳炎が心配な人や治療したい人は、神経内科や感染症内科を受診して下さい。
単純ヘルペス脳炎について
単純ヘルペス脳炎の症状
- 主な症状
- 発熱
- 頭痛
意識障害 - 錯乱
- 異常行動
- けいれん
発作
- まれに出現することがある症状
- 幻覚
- 記憶障害
失語 症
単純ヘルペス脳炎の検査・診断
- 主な検査
- 血液検査:
炎症 の程度やヘルペスウイルス の有無などを調べる 髄液検査 :腰椎穿刺 を行い、髄液 に異常がないか調べる- 診断のために重要な検査
- ヘルペスウイルスの
抗体 や遺伝子を調べる
脳波検査 、頭部MRI 検査:脳の状態を詳しく検査する- ヘルペス脳炎では前頭葉、側頭葉に異常が見られることが多い
- 血液検査:
単純ヘルペス脳炎の治療法
- 主な治療
- 抗
ウイルス 薬ヘルペスウイルス に対してアシクロビルを使用する- ヘルペス脳炎は非常に重い後遺症が残りうるので、病気を疑ったら検査の結果を待たずに治療を開始する
ステロイド薬 を使用することもある対症療法 - 抗けいれん薬
- 解熱薬
- 水分、
ミネラル 摂取のための点滴
- 抗
- 長期的な経過
- 重症な場合には呼吸がうまくできなくなるため、人工呼吸器が必要になる場合もある
単純ヘルペス脳炎の経過と病院探しのポイント
単純ヘルペス脳炎が心配な方
単純ヘルペス脳炎は、ヘルペスウイルスが脳で炎症を起こす病気です。発熱や、つじつまの合わない言動が生じたり、重症の場合には呼びかけに反応がなくなって全身のけいれんを起こしたりする重症の病気です。
診断のためには腰椎穿刺といって、背中から針を刺して背骨の内側にある髄液を採取することが必要です。ご自身が単純ヘルペス脳炎でないかと心配になった時、もしかかりつけの内科クリニックがあれば、まずはそこで相談してみることをお勧めします。もし本人の意識障害が強くて受診の同意が得られず、それでも明らかに周囲からみて様子がおかしいような場合には救急車での対応が必要となることもあるでしょう。
レントゲンやCTで単純ヘルペス脳炎を診断することはできませんが、他の病気でないことを確かめるために頭部CTを撮影することはあり得ます。頭部MRIは診断に有用ですが、やはり最も大切な検査は腰椎穿刺です。
単純ヘルペス脳炎については、診断がつき次第その場で治療が開始されますし、治療の方法にもバリエーションが少ないため、どこでどのような治療を受けるか迷う余地は少ない病気かもしれません。治療の基本は、点滴による抗ウイルス薬です。悪化すると命に関わる病気ですので、他の症状をみながら必要に応じて人工呼吸器や抗けいれん薬などを用いた集中治療を行います。