2015.07.27 | ニュース

ヘルペスウイルスが難治性てんかんを起こした?ウイルスの治療で改善

アメリカから、免疫抑制状態で発症した難治性てんかんの症例報告

from Infection

ヘルペスウイルスが難治性てんかんを起こした?ウイルスの治療で改善の写真

脳卒中や髄膜炎による脳の障害が原因で、てんかんが起こることがあります。アメリカの研究班から、免疫抑制薬の使用中に、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染による脳炎が原因で難治性のてんかんが発症したと見られる例が報告されました。

◆肝臓移植後に免疫抑制薬を使用中

この49歳の患者は、肝臓移植を受けたあと、免疫抑制薬を使っていました。免疫抑制薬を使い始めてからてんかん発作が起こるようになりました。

 

◆ヘルペスウイルスの治療で改善

脳MRIで、脳の障害を疑わせる脳浮腫が見られ、脳脊髄液を調べたところ単純ヘルペスウイルス1型の感染が疑われました。抗ウイルス薬で治療したところ、1年後までにてんかん発作がなくなりました

研究班は、「慢性単純ヘルペスウイルス脳炎は難治性てんかんの一因」であると述べています。

 

てんかんの原因や治療にはわかっていない部分も多いですが、さまざまな角度から研究が積み重ねられています。こうした珍しい例も、原因解明に向けて何かの手がかりになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Chronic herpes simplex type-1 encephalitis with intractable epilepsy in an immunosuppressed patient.

Infection. 2015 Jul 18 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26187268]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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