2016.11.24 | ニュース

てんかん部分発作が4割減少、新薬ビムパットの効果は?

日本と中国の692人が参加
from Epilepsy research
てんかん部分発作が4割減少、新薬ビムパットの効果は?の写真
(C) kengmerry - Fotolia.com

てんかんは日本で100万人近くが持っていると言われます。治療薬はありますが、なかなか発作がなくならない人もいます。新薬のラコサミド(商品名ビムパット)の効果を調べる研究が行われました。

中国と日本で行われた、ラコサミドの効果を調べる研究を紹介します。

この研究では、16歳から70歳のてんかん患者で、薬を使って治療中にもかかわらず部分発作てんかん発作の一種、ここでは二次性全般化発作を含む)が起こっている人が対象とされました。

692人が対象となり、ランダムに3グループに分けられました。

  • ラコサミドを1日あたり400mg飲むグループ
  • ラコサミドを1日あたり200mg飲むグループ
  • 偽薬を飲むグループ

以前から続けている薬だけの時期と、治療後の時期を比較して、部分発作の頻度が減少する効果があるかを調べました。

 

次の結果が得られました。

ベースラインと維持期を比較して、28日間に部分発作で始まる発作の頻度の変化量の中央値はラコサミド200mg/日の群で-3.33(範囲-754.3から165.2)、ラコサミド400mg/日の群で-4.50(-97.5から28.2)、偽薬群で-1.22(-93.0から39.8)だった。ベースラインと維持期の比較において、28日間の部分発作で始まる発作の頻度の減少割合はラコサミド200mg/日の群(29.4%、95%信頼区間18.7-38.7%、P<0.001)、ラコサミド400mg/日の群(39.6%、30.5-47.6%、P<0.001)で有意に偽薬にまさっていた。

治療前後で、偽薬を飲むグループに比べてラコサミドを飲むグループではどちらも高い割合で、部分発作の頻度が減っていました。治療前と比べて28日間の部分発作の頻度は、ラコサミド200mgを飲んだ人の半数が29.4%以上、ラコサミド400mgを飲んだ人の半数が39.6%以上減っていました

副作用について次の結果がありました。

ラコサミドで治療された全患者のうち10%以上で報告され、偽薬と2%以上の頻度差があった治療由来有害事象は、ふらつき(25.9% vs 9.2%)、傾眠(10.2% vs 3.8%)だった。

副作用の可能性があると見られた症状などで、特に多かったのはふらつきと傾眠でした。

 

ラコサミドが部分発作の回数を減らしたというデータが得られました。ラコサミド(商品名ビムパット)は日本では2016年7月に「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」を適応として承認され、すでに使えるようになっています。

てんかんと一口に言っても何十もの種類があります。種類に合わせてさまざまな薬が使い分けられていますが、中には既存の薬で効果が出にくい人もいます。新薬が選択肢に加わることで、ほかの薬では不十分な人が助かるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Efficacy and safety of adjunctive lacosamide for the treatment of partial-onset seizures in Chinese and Japanese adults: A randomized, double-blind, placebo-controlled study.

Epilepsy Res. 2016 Nov.

[PMID: 27669155]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。