2015.09.25 | ニュース

脂肪酸で、てんかんが治る?

21匹のイヌを対象に評価

from The British journal of nutrition

脂肪酸で、てんかんが治る?の写真

てんかんの適切な治療薬を用いても、中には発作が残る人もいます。今回、研究チームはてんかんに対してある種類の脂肪酸が発作の頻度を減らす効果について報告しました。

◆食事による21匹のイヌのてんかんの発作頻度を比較

研究チームは、てんかんがあり抗てんかん薬治療を受けている21匹のイヌを比較調査の対象としました。

最初の3ヶ月間、エサとして食べると体内で分解されてケトン体を作る種類の中鎖脂肪酸を含む食事(MCTD)と、通常の食事のどちらかをそれぞれのイヌに与え続けました。その後の3ヶ月間以上は、それぞれの食事を切り替えて与えました。

そして食事の違いによる、てんかんの発作頻度を比較することで評価を行いました。

 

◆脂肪酸を摂るとてんかんの発作が改善した

調査の結果、以下のことが分かりました。

発作の頻度は、イヌに通常食を食べさせたとき(2.67回/月、0.33-22.92回/月、P=0.020)と比較して、MCTDを食べさせたとき(2.31回/月、0-9.98回/月)の方が有意に低下した。つまり、21匹のイヌのうち、3匹は発作が無くなり、7匹は発作頻度が50%以上減少し、5匹は発作頻度が50%未満しか低下せず(38.87%、35.68-43.27%)、6匹には変化がなかった。

つまりこの研究では、MCTDという特定の脂肪酸が含まれた食事を食べると、通常の食事を食べたときよりも、てんかんの発作が起きる頻度が低下することが示されました。21匹中3匹のイヌは発作が完全になくなりました。

 

MCTDの作用について、研究チームは「このデータは、ケトン体を作る食事に関連する抗てんかん作用を示す[...]」とも述べています。動物実験の結果がそのまま人間に当てはまるとは限りませんが、適切な抗てんかん薬を服用しても十分な効果が現れない場合に、ケトン体を作るような脂肪酸を含んだ食事を摂ることでどのような作用があるのか、詳しく調べることによって治療法の手がかりが見つかるかもしれません。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

A randomised trial of a medium-chain TAG diet as treatment for dogs with idiopathic epilepsy.

Br. J. Nutr., 2015. Sep. 4.

[PMID: 26337751]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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