2015.06.21 | ニュース

EPA、DHAの豊富な魚油が糖尿病を引き寄せる?

インスリン感受性が27%低く
from The American journal of clinical nutrition
EPA、DHAの豊富な魚油が糖尿病を引き寄せる?の写真
(C) lecic - Fotolia.com

魚油は体に良いと言われ、中でもクリル(オキアミ)のオイルはオメガ3多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含むことでサプリメントにも使われています。ところがこのクリルオイルが健康に悪い影響を与えるかもしれないという研究が示されました。太り気味の人がクリルとサーモンのオイルを飲んだあとで、血糖値に悪い方向の変化があったという結果が出ています。

◆過体重の男性にクロスオーバー試験

研究班は、次のようにクリルとサーモンのオイルの影響を調べました。

BMI25から30の過体重であって、ほかには健康な、年齢が平均±標準偏差で46.5±5.1歳の男性47人が、クリルとサーモンのオイル1gを5カプセル、または対照のキャノーラ油を8週間、および他方にクロスオーバーしたものを8週間のウォッシュアウト期間ののちに摂取した。

40代前後の健康な男性で、BMI(体重÷身長の2乗、22前後が健康的とされる)が25以上30未満の人47人が対象者となりました。

対象者は、クリルとサーモンのオイルを8週間または対照としてキャノーラ油を8週間飲み、その後8週間休んだあとで最初に飲んだものとは違うほうを8週間飲み、血糖値の変化を計測されました。

 

◆調整後で27%減

血糖値の変化について次の結果が得られました。

意外なことに、インスリン感受性(松田指数)はクリル・サーモンオイル群で対照群よりも14%低かった(P=0.049)。媒介分析によって、良い効果がありそうな血中EPAとDHA(すなわち、ω-3指数)を調整したあとでは、クリル・サーモンオイルの補充後のインスリン感受性低下はより強く見られた(対照群よりも27%低い、P=0.009)。

クリルとサーモンのオイルを飲んだあとでは、血糖値を下げるホルモンの働きを示す指数が14%低くなっていました。オイルに含まれるEPAとDHAの効果を除いて計算すると、この指数は27%低い結果となりました

研究班は、「したがって、過体重の成人にクリルオイルのサプリメントは糖尿病心血管疾患のリスクを悪化させることがありうる」と結論しています。

 

この変化が仮に確かなものだったとして、その原因がクリルかサーモンかといったことは、それを区別する試験をしなければわかりません。原因の物質を特定するのはさらに先の課題です。また、この結果がBMIのより小さい人にも当てはまるかどうかは確かめられていません。クリルオイルのサプリメントにどんな意味があるかは慎重に考えられる必要がありそうです。

なお、魚油についてはさまざまな研究があります。MEDLEYニュースでもいくつか紹介していますので、興味のある方はあわせてご覧ください。

「ニシンとサバが抗がん剤の効果を弱くする?」

http://medley.life/news/item/554375a5badd62fe00008c5d

「EPA、PUFA、オメガ3脂肪酸をよく摂る人は骨折しにくい?」

http://medley.life/news/item/556c22db42e56fd0035256d7

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Supplementation with a blend of krill and salmon oil is associated with increased metabolic risk in overweight men.

Am J Clin Nutr. 2015 May 27 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26016867]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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