オメガ3脂肪酸は心血管疾患による死亡を防げない? | MEDLEYニュース
2018.08.16 | ニュース

オメガ3脂肪酸は心血管疾患による死亡を防げない?

文献の調査から
from The Cochrane database of systematic reviews
オメガ3脂肪酸は心血管疾患による死亡を防げない?の写真
(C) Tyler Olson - Fotolia.com

魚などの食品にも含まれるω3(オメガ3)脂肪酸は、高脂血症の治療薬に利用されるなど、健康に対する作用を期待されています。オメガ3脂肪酸が心臓や血管の病気を、またそれらの病気による死亡を防ぐかどうかについて、これまでの研究データの調査が行われました。

オメガ3脂肪酸とは

オメガ3脂肪酸とは、いくつかの物質の総称です。オメガ3脂肪酸のうち、イコサペント酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などの長鎖オメガ3脂肪酸(LCn3)は、魚の油などに多く含まれています。また、α-リノレン酸(ALA)は、植物油などに多く含まれています。

オメガ3脂肪酸の健康に対する作用については多くの研究があり、活用の例としても、オメガ3脂肪酸の一種であるイコサペント酸をもとにした製剤が高脂血症の治療薬として実際に使われています。

 

オメガ3脂肪酸の心血管疾患に対する効果の調査

イギリスのイースト・アングリア大学の研究班が、オメガ3脂肪酸の効果について、過去の研究データの調査を行い、結果を『Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。2004年にも同様の調査結果が報告されていますが、より新しい研究データを取り込んで更新するよう、改めて調査が行われました。

この調査は、オメガ3脂肪酸と心血管疾患心筋梗塞脳卒中など)の関係に着目しました。そこで、魚または植物由来のオメガ3脂肪酸の摂取量を増やすことにより、死亡や心血管疾患などを防ぐ効果があるかを調べました。
調査では研究データベースを検索し、過去の研究から報告されているデータを集めました。収集する対象は、12か月以上にわたって、オメガ3脂肪酸を補充する、または、食事によるオメガ3脂肪酸の摂取量を増やすようアドバイスすることを試した研究としました。

 

調査の結果

条件に合った79件の研究が採用されました。

 

長鎖オメガ3脂肪酸の効果について、39件の研究から集まった92,653人のデータでは、長鎖オメガ3脂肪酸の摂取量を増やしても、死亡率には差がないか、あってもわずかという結果でした。

同様に、心血管疾患による死亡に限っても差は確認できませんでした。心血管イベント(心筋梗塞脳卒中などの診断またはそれによる死亡)、冠動脈疾患による死亡、脳卒中不整脈についても差は確認できませんでした。

長鎖オメガ3脂肪酸による深刻な害は見つかりませんでした。

 

αリノレン酸の効果について、5件の研究から集まった19,327人のデータでは、αリノレン酸の摂取量を増やすことによる死亡率の差は確認できませんでした。心血管疾患による死亡についても差は確認できませんでした。
冠動脈疾患による死亡に限ると、12か月から40か月の研究期間において、αリノレン酸の摂取量を増やした人1000人あたり1人程度の割合で、冠動脈疾患による死亡が減るという計算結果になりましたが、データは不確かなものと判定されました。

αリノレン酸による深刻な害は見つかりませんでした。

 

オメガ3脂肪酸は心血管疾患を防ぐのか

オメガ3脂肪酸について、実際に効果を試した研究のデータをまとめた結果を紹介しました。この報告では、長鎖オメガ3脂肪酸が死亡や心血管疾患を防ぐ効果はほとんどなく、αリノレン酸についてはデータが不確かとされていました。

ただし、一般的には、死亡率に差がなかったとしても、「何の効果もない」とは限りません。また、この研究は死亡や心血管疾患に着目していますが、ほかの面での健康への作用については検討していません。そのように、この報告によってオメガ3脂肪酸の効果がすべて否定されるわけではなく、不明な点は残っています。

オメガ3脂肪酸は多くの面で注目されていますが、現実的にどのような効果を期待できるかを考える上では、実際に試した研究のデータが参考になります。

執筆者

MEDLEY編集部

参考文献

Omega-3 fatty acids for the primary and secondary prevention of cardiovascular disease.

Cochrane Database Syst Rev. 2018 Jul 18. [Epub ahead of print]

[PMID: 30019766]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。