2015.06.16 | ニュース
カルシウムサプリメントを飲んでも意味はない?
骨粗しょう症治療薬の概観
from Journal of internal medicine
(C) Halfpoint - Fotolia.com
高齢者に多い大腿骨近位部骨折や椎体骨折は寝たきりなど大きな問題につながることも多く、骨折を防ぐことが中高齢者の健康上の課題になります。骨粗しょう症の治療薬としてさまざまな薬剤が使われていますが、効果と副作用にはそれぞれ特徴があります。ニュージーランドの研究者から、これまでの骨粗しょう症治療薬の特徴を比較した報告が出されました。
◆既存の研究を概観
この報告の著者は、現在までに使われている主な治療薬として、カルシウムサプリメント、
◆各種の治療薬を比較
それぞれの特徴として以下のような点が挙げられています。
- カルシウムサプリメント
- 骨折を防ぐ効果のエビデンスは非常に弱い
- 腎結石、心筋梗塞などを増やすという報告がある
- ビタミンD製剤
- 効果なしとしたメタアナリシスがある
- ビタミンDが不足している人に対して有効という報告がある
- ビスホスホネート製剤
- 骨折を防ぐという報告がある
- 副作用の疑いとして胃食道逆流、インフルエンザ様症状、腎障害、顎骨
壊死 、大腿骨非定型骨折などの報告がある
- デノスマブ
- エストロゲン製剤、SERM
- エストロゲン製剤は骨折を防ぐが、
心血管疾患 、乳がんのリスクを増やすという報告がある - SERMは乳腺・
子宮内膜 にはエストロゲン拮抗作用、骨にはエストロゲン様作用があると考えられている - SERMとエストロゲン製剤を組み合わせることで骨密度を増やしたという報告がある
- エストロゲン製剤は骨折を防ぐが、
- 副甲状腺ホルモン製剤
- 骨折を防ぐという報告がある
- 毎日注射する必要がある
- ストロンチウム
- 骨折を防ぐ効果がわずかにあるという報告がある
- 皮膚症状を起こすことがあり、また心筋梗塞を増やす疑いがある
ここでまとめられたとおり、骨粗しょう症治療薬にはさまざまな種類のものがあり、人によって適した治療薬を使い分けることが望ましいと考えられます。
なお、骨粗しょう症の治療については多くの報告があり、MEDLEYニュースでもいくつかを紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。
「骨粗しょう症治療は過剰医療なのか?」
執筆者
参考文献
Efficacy, effectiveness and side effects of medications used to prevent fractures.
J Intern Med. 2015 Jun
[PMID: 25495429]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。