2017.05.12 | ニュース

骨がもろくなる骨粗鬆症、男性も薬で骨折を防げる?

文献の調査から
from Journal of the American Geriatrics Society
骨がもろくなる骨粗鬆症、男性も薬で骨折を防げる?の写真
(C) peterjunaidy - Fotolia.com

加齢などにより骨は弱くなっていきます。病的に骨がもろくなった骨粗鬆症の状態では骨折しやすくなります。閉経後の女性ではホルモンのバランスを調整する薬も重要になりますが、男性ではどうでしょうか。

アメリカの研究者らが、文献の調査により、男性の骨粗鬆症または骨密度が低い状態に対する治療が骨折を防ぐ効果をまとめ、専門誌『Journal of the American Geriatrics Society』に報告しました。

骨粗鬆症は閉経後の女性で特に多く発生します。閉経によって女性ホルモンのバランスが大きく変わることが骨密度に影響します。この場合、女性ホルモンを補充するなどの治療法があります。ビスホスホネートなどの薬剤も主な選択肢です。

この研究は男性を対象としています。男性の骨粗鬆症は女性とは成り立ちが違うため、治療も別に検討する必要があると考えられます。

この研究は、過去の文献から関係する研究を検索して集め、結果をまとめたものです。

 

22件の研究結果が見つかりました。次の結果が得られました。

[...]対照群よりも椎体骨折のリスクが有意に低いことが、アレンドロン酸(相対リスク0.328、95%信頼区間0.155-0.692)とリセドロン酸(相対リスク0.428、95%信頼区間0.245-0.746)について示されたが、カルシトニン(相対リスク0.272、95%信頼区間0.046-1.608)またはデノスマブ(相対リスク0.256、95%信頼区間0.290-2.238)については示されなかった。治療カテゴリーとしてのビスホスホネートに対して、メタアナリシスにより対照群よりも有意に椎体骨折のリスクが低く(相対リスク0.368、95%信頼区間0.252-0.537)、椎体以外の骨折のリスクも低い(相対リスク0.604、95%信頼区間0.404-0.904)ことが示された。ビスホスホネートが有意に椎体以外の骨折のリスクを減らすというメタアナリシスの結果は、感度分析においては頑健でなかった。

見つかったデータから、アレンドロン酸とリセドロン酸(どちらもビスホスホネート)によって椎体骨折背骨が潰れる骨折)が少なくなると見られました。ビスホスホネートによって椎体骨折以外の骨折も少なくなるという結果がありましたが、統計解析の条件を変えると結果が変わる可能性もあると見られました。

ほかにカルシトニン(ホルモン剤)とデノスマブ(分子標的薬)についてのデータも見つかりましたが、どちらも椎体骨折を防ぐことは統計的に確かめられませんでした。

 

骨粗鬆症または骨密度低下がある男性に対してビスホスホネートが骨折を防ぐというデータを紹介しました。

ビスホスホネートは骨粗鬆症治療薬として古くから使われている薬で、豊富なデータがあります。ここでも改めて効果が確かめられました。副作用としてごくまれに発生する顎骨壊死(がっこつえし)などには注意が必要とされます。

一方、カルシトニンとデノスマブについては効果が確かめられませんでした。

日本で承認されているカルシトニン製剤は「骨粗鬆症における疼痛」が効能・効果とされています。

デノスマブについては、日本でもデノスマブ製剤のプラリア®が骨粗鬆症を効能・効果として承認されていますが、販売開始されたのは2013年です。今後研究が積み重なることにより統計的に効果を確かめられることもありえます。また、デノスマブを使う治療の効果を期待しやすい人に対象を絞り込むことで、より明確に効果を得られる可能性もあります。プラリアは6か月ごとの注射で効果を発揮するなどの特徴もあり、もしビスホスホネートと同程度に効果的ならば、独自の役割を担う可能性があります。重大な副作用としては顎骨壊死などがごくまれに発生します。

ここで紹介した研究の時点では、まずビスホスホネートを選ぶことが確実と言えます。デノスマブの役割は将来変わる可能性もありますが、まだ最初に選べるだけの証拠がないと言えます。

新薬の位置付けについて多くの医師や薬剤師の間で合意が定着するまでには何年もの時間がかかります。ビスホスホネートの役割を確かめると同時に、デノスマブの現状も確かめられたことで、予測できない部分も考えに入れて治療法を選ぶための役に立ちます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Osteoporosis Treatment Efficacy for Men: A Systematic Review and Meta-Analysis.

J Am Geriatr Soc. 2017 Mar.

[PMID: 28304090]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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