2016.01.30 | ニュース

子どもが失神、息があったらこう寝かせて!「回復体位」とその効果

553人の経過から

from Archives of disease in childhood

子どもが失神、息があったらこう寝かせて!「回復体位」とその効果の写真

意識がなくなった人を救命するために最初にするべきことは、口やのどがふさがって呼吸が止まるのを防ぐことです。回復体位は、呼吸をしているが意識がない人の応急処置で、救急治療を待つ間に空気の通り道を確保するよう工夫された寝かせ方です。その効果が報告されました。

◆意識を失った子どもは回復体位にされていたか?

意識がない人を仰向けに寝かせていると、嘔吐などで呼吸が止まる危険があります。対策として、横向けに寝かせ、首を軽く後ろに反らせることでのどを広げるようにして、さらに身動きしても姿勢が変わらないよう膝を軽く曲げ、下側の腕を前に投げ出し、上側の腕を曲げて肩を支える「回復体位」が知られています。

研究班は、ヨーロッパの6か国の小児救急施設で意識を失って治療された18歳以下の子ども553人について、保護者によって回復体位が取らされていたかどうかと、経過のデータをまとめました。

 

◆26.2%で回復体位に、入院が減少

次の結果が得られました。

意識消失の原因として最も多く見られた診断はけいれん発作(278人、50.3%)、血管迷走神経性失神(124人、22.4%)だった。保護者は145件で子どもを回復体位にしていた(26.2%)。回復体位は入院率の有意な減少と独立に関連していた(調整オッズ比0.28、95%信頼区間0.17-0.48、P<0.0001)。

意識を失った原因のうち特に多かったものは、けいれん発作と血管迷走神経性失神でした。子どもが回復体位にされていたのは全体の26.2%で、その場合には入院が少なくなっていました

 

回復体位を覚えておけば、万一のときに役に立つかもしれません。

なお、意識がなく呼吸も止まっている場合には、人工呼吸や心肺蘇生が必要になります。公共機関による講習なども行われていますので、関心のある方はぜひ身に付けてください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Recovery position significantly associated with a reduced admission rate of children with loss of consciousness.

Arch Dis Child. 2016 Jan 25. [Epub ahead of print]

[PMID: 26811367]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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