2015.12.31 | ニュース

0歳児にポリオの生ワクチンは安全か?

ギニアビサウで7千人の検証
from Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America
0歳児にポリオの生ワクチンは安全か?の写真
(C) JenkoAtaman - Fotolia.com

2015年9月、WHOはアフリカ大陸からポリオの流行がなくなったことを宣言しました。流行防止に役立ってきたポリオワクチンですが、今後も使われるうえで安全性に問題はないのでしょうか。アフリカの国のギニアビサウで、ワクチンの影響を調べる研究が行われました。

◆生ワクチン接種と接種なしで比較

この研究は、0歳児にポリオ生ワクチンを接種したときの死亡率について調べました。

過去の研究で、0歳でポリオ生ワクチンを接種された男の子の死亡率が高かったとするものがあり、この研究では、より信頼度が高いとされる、ワクチンを接種する子どもとしない子どもをランダムに割り当てる方法で検証を行いました。

健康な新生児7,012人が対象となり、適格でなかった51人を除いて、予防接種としてBCGだけを受けるグループ(3467人)と、BCGに加えてポリオ生ワクチンを受けるグループ(3494人)にランダムに分けられました。

 

◆死亡率の差はない

次の結果が得られました。

12か月のうちに、BCG+OPV群の子ども73人と、BCG単独群の子ども87人が死亡した。死因はすべて感染症だった。BCG+OPV0群とBCG単独群を比較して、ハザード比は0.83(95%信頼区間0.61-1.13)、男の子では0.72(95%信頼区間0.47-1.10)、女の子では0.97(95%信頼区間0.61-1.54)だった。

研究期間のうちに死亡した子どもの数は、ポリオ生ワクチンを受けたグループで73人、受けなかったグループで87人であり、統計的な違いが見られませんでした。

 

日本の予防接種ではこの研究で検討された生ワクチンではなく、不活化ワクチンが使われています。生ワクチンではきわめてまれに、ワクチンが原因の麻痺が起こりうるとされていますが、不活化ワクチンはその原因になりにくいと言われています。

生ワクチンでも、死亡率に影響はないという結果が得られました。2015年末時点で、アフガニスタンとパキスタンの2か国にはポリオの流行があり、周りの国にウイルスが持ち込まれた例も知られています。治療法のないポリオの根絶に向けて、ポリオワクチンはまだ必要とされています。安全性にも繰り返し検証がなされたうえで、世界のポリオ対策は続けられています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The Effect of Oral Polio Vaccine at Birth on Infant Mortality: A Randomized Trial.

Clin Infect Dis. 2015 Nov 15

[PMID: 26219694]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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