にほんのうえん
日本脳炎
日本脳炎ウイルスに感染したことにより発症する、重症な神経の後遺症を残したり、死に至ることも少なくない感染症
10人の医師がチェック 95回の改訂 最終更新: 2017.12.06

日本脳炎の基礎知識

POINT 日本脳炎とは

日本脳炎ウイルスに感染したことによって発症する感染症です。日本脳炎ウイルスに感染した豚の血を吸った蚊が人間を刺すことで人間が感染します。後遺症が残ったり死亡したりすることのある病気です。子どもは特に重症になるため注意が必要です。主な症状は、高熱・頭痛・嘔吐・意識障害・けいれん・麻痺などになります。 血液検査や髄液検査、脳波検査を行い診断をつけます。また、日本脳炎以外の病気が原因でないかを判断するために、頭部CT検査やMRI検査を行うことがあります。治療に特効薬はなく、症状を和らげる治療(対症療法)を行います。また、予防接種が存在するので、これを受けることが重要になります。日本脳炎が心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診して下さい。

日本脳炎について

  • 日本脳炎ウイルスに感染したことにより発症する、脳実質の感染症
    • 重症な神経の後遺症を残したり、死に至ることも少なくない
  • 感染経路
    • ブタが日本脳炎ウイルスに感染する
    • 蚊(アカエイエカ)がそのブタの血を吸う
    • その蚊が人間を刺すことで感染
  • 1999年以降、国内での発症は毎年10名以下
    • 最近では比較的若年者の発症が見られている
    • 日本脳炎ウイルスに感染しても、多くの場合は日本脳炎を発症しない
      • 1000人に1人程度に発症する
    • 小どもでは特に重度の障害を残す
    • 発症した患者については、死亡率20-40%と報告されている
    • 死亡に至らなかった場合にもおよそ半数に精神障害などの後遺症が残る
  • 日本だけでなく中国や東南アジアでもみられる
  • 有効な治療法はなく、予防接種が重要

日本脳炎の症状

  • 髄膜炎と似た症状が出ることが多い
    • 頭痛
    • 全身のだるさ
    • 高熱(38-40℃)
    • 嘔吐
    • めまい
    • けいれん
    • 意識障害
    • 麻痺(腕に多い)   など

日本脳炎の検査・診断

  • 日本脳炎ワクチンを受けたかどうかを必ず確認する
    • 未接種で、蚊の多い夏期に発症した脳炎では可能性が高くなる
  • 血液検査:抗体を調べる
  • 髄液検査腰椎穿刺を行い、脳脊髄液からウイルス遺伝子を調べる
  • 脳波検査:脳に異常がないか調べる
  • 画像検査(頭部CT検査頭部MRI検査):その他の病気と区別するために行う

日本脳炎の治療法

  • 主な治療法
    • 日本脳炎に対する特効薬はない
    • ステロイドを使うことで症状が改善することがある
    • 出現する様々な症状に個別に対応する(対症療法
      • けいれんを抑える薬
      • 解熱薬
  • 死亡例は減少しているが、完全に治るのは約3分の1であり、治療は非常に難しい
  • 予防、再発予防方法
    • 予防が最も重要
    • ワクチン接種を初年度に1-4週間間隔で2回、さらに1年後に1回の計3回行う

日本脳炎の経過と病院探しのポイント

日本脳炎が心配な方

日本脳炎は、日本脳炎ウイルス原因で脳に炎症が生じる病気です。発熱や、つじつまの合わない言動が生じたり、重症の場合には呼びかけに反応がなくなって全身のけいれんを起こしたりする重症の病気です。ウイルスをもった蚊に刺されることで感染する病気ですが、ワクチンによって感染のリスクを大きく低下させることができます。

診断のためには腰椎穿刺といって、背中から針を刺して背骨の内側にある髄液を採取することが必要です。ご自身が日本脳炎でないかと心配になった時、もしかかりつけの内科クリニックがあれば、まずはそこで相談してみることをお勧めします。もし本人の意識障害が強くて受診の同意が得られず、それでも明らかに周囲からみて様子がおかしいような場合には救急車での対応が必要となることもあるでしょう。

レントゲンやCTで日本脳炎を診断することはできませんが、他の病気でないことを確かめるために頭部CTを撮影することはあり得ます。頭部MRIは診断に有用ですが、やはり最も大切な検査は腰椎穿刺です。

日本脳炎については、診断がつき次第その場で治療が開始されますし、治療の方法にもバリエーションが少ないため、どこでどのような治療を受けるか迷う余地は少ない病気かもしれません。特効薬がないため、治療の中心は対症療法となってしまいます。命に関わる重症感染症であり、かつ助かったとしても重い後遺症の残りやすい病気ですので、他の症状をみながら必要に応じて人工呼吸器や抗けいれん薬などを用いた集中治療が行われることになります。

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