2020.10.01 | コラム

白っぽい下痢と嘔吐が特徴。大人もうつる感染性胃腸炎「ロタウイルス」の症状・治療・予防法は?

ロタウイルス感染症のポイントを解説

白っぽい下痢と嘔吐が特徴。大人もうつる感染性胃腸炎「ロタウイルス」の症状・治療・予防法は?の写真
1. 大人でもかかる感染性胃腸炎、ロタウイルスの症状は白い下痢!?
2. 下痢が白い・・ロタウイルスの症状が見られたら何をすれば良いの?
3. ロタウイルスへの感染予防は?

子ども、赤ちゃんがかかる胃腸炎として知られるロタウイルス下痢症。ロタウイルスに感染すると、白い下痢便が見られることがあります。詳しく解説します。

◆大人でもかかる感染性胃腸炎、ロタウイルスの症状の特徴は白い下痢!?

ロタウイルスは急性感染性胃腸炎の原因となるウイルスのひとつです。感染性胃腸炎を引き起こすウイルスはたくさんありますが、小さい子どもで重症の下痢が見られた場合には、その多くはロタウイルスが原因であると言われています。白っぽい下痢が特徴であるロタウイルス下痢症ですが、発展途上国では、ロタウイルスが原因で死亡する子どもも多いと言われています。今回は、ロタウイルスの症状とその原因について解説します。

ロタウイルスは、大きさが70nm(ナノメートル)程度で、車輪のような形をしています(ちなみに、ノロウイルスは30-40nm程度です)。非常に感染力が強いこともわかっています。ロタウイルスへの感染は、免疫力が低い乳幼児を中心に多く見られます。だいたい6か月から2歳くらいの子どもに見られ、3月から5月にかけて発症することが多いと報告されています。
5歳までに急性胃腸炎で入院する子どもの中で、約半分はロタウイルスが原因です。ロタウイルス感染症は様々な呼ばれ方がありますが、冬季嘔吐症、白色便性下痢症、嘔吐下痢症、小児仮性コレラ、白痢とも呼ばれることがあります。

特徴的なロタウイルスの症状は、以下の通りです。

  • 激しい嘔吐、下痢
  • 白っぽい下痢便(白い水様便)

激しい嘔吐や下痢は、ノロウイルスでも見られますが、ノロウイルスが感染流行しやすい時期とは少しずれます。白い下痢が見られる理由は、ウイルスの影響で胆汁が出ないためと言われています。「下痢が白い・・」と思ったら、少し注意する必要があります。これらの症状に加えて、微熱が見られる場合もあります。また、合併症として、下痢や嘔吐による脱水や下痢によるお尻のただれなども挙げられます。通常ですと、嘔吐は1-2日、下痢は7日間程度で治ります。

それでは、もしロタウイルスに感染していた場合、何をすれば良いでしょうか?ロタウイルスの対処方法を解説します。

 

◆下痢が白い・・ロタウイルスの症状が見られたら何をすれば良いの?

もし前述のように、激しい嘔吐や下痢(白い下痢)などの症状が見られた場合、どんな治療法があるのでしょうか?

実は、ロタウイルスに効果的な治療薬はありません。そのため、基本的には脱水への対症療法が主な治療となります。また、下痢を止めるために薬を使用することがありますが、下痢止めは逆効果になる可能性が高いので注意が必要です。下痢により、水分だけではなく電解質(カリウムやナトリウムなど)も同時に失われます。子どもには、少し温めたミルクや電解質が含まれた水(イオン水)などを少しずつ飲ませてあげましょう。

もし、飲んでもすぐに吐いてしまったり、どうしても水分を取れない場合は、小児科を受診してください。水分が取れない時は、点滴で対応する必要があります。脱水は、命にも関わる危険な状態ですので、注意が必要です。

 

◆ロタウイルスへの感染予防は?

ロタウイルスに対する感染予防の基本は、手洗い、適切な汚物処理、予防接種などです。適切な汚物処理としては、オムツの交換時にゴム手袋(使い捨て)の装着を徹底し、処理後の手洗いをしっかりしてください。また衣類など、便や嘔吐が付着した可能性があるものについては、ロタウイルスに対してアルコール消毒の効き目がほとんどないため注意が必要です。しっかりと水洗いをすることがもっとも重要ですが、場合によっては次亜塩素酸ナトリウムで消毒し、他の衣類などとは分けて洗濯する必要があります。また、下痢などの症状が治るまでは、保育園などには預けないようにしましょう。子ども同士の感染により、集団感染につながる可能性があるためです。ロタウイルスに対するワクチンは定期接種に組み込まれているため、親御さんは赤ちゃんがワクチン接種を受けるようにしてください。詳しくはお近くの医療機関にご相談ください。

 

嘔吐や白っぽい下痢、さらに脱水などが起こりうるロタウイルスへの感染。大人が気をつけてあげられることも多いと思います。感染予防に努め、もし感染してしまって水分を取れない場合は、お近くの小児科を受診してください。

 

◎2020年10月1日にロタウイルスワクチンが定期接種となったことを踏まえて一部改定しています。
メドレー編集部

執筆者

Shuhei Fujimoto

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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