ひゃくにちぜき
百日咳
小児に多い呼吸器系の感染症で、特有の咳発作が特徴
14人の医師がチェック 94回の改訂 最終更新: 2018.02.15

Beta 百日咳のQ&A

    百日咳はどのような病気ですか?

    百日咳菌という細菌が原因です。喉や鼻から侵入して気管や肺などに感染し、上気道炎、気管支炎、肺炎などを起こす呼吸器感染症です。乾いた咳がとぎれる事なく連続的にでるのが特徴です。すべての年齢で感染する可能性がありますが、新生児、乳児で特に重症化しやすく注意が必要になります。

    百日咳は、どんな症状がでるのですか?

    百日咳の典型的な症状は3種類の経過をたどる事がしられています。以下がその症状ですがワクチン接種の有無、年齢などにより症状に変化があります。

    • カタル期(1-2週間):7-10日間程度の潜伏期を経て、風邪の症状が出現します。だんだん咳がひどくなってきます。
    • 痙咳期(3-6週間):乾いた咳がひどくなり、連続的にせき込んだり、大きく息を吸ったときに高い笛のような音がなるwhoopと呼ばれる呼吸様式などが出現します。その他せき込んだ事による嘔吐、顔の赤らみ、瞼の腫れなどが出現する事もあります。
    • 回復期:だんだん咳がよくなってきます。

    百日咳は、どのように診断するのですか?

    実際の現場では14日以上咳が続く場合や百日咳に特有の咳をしている場合などに百日咳を疑います。
    検査方法には以下のものがあります。

    • 培養検査:鼻の奥に細い綿棒を挿入し採取したものを検査します。検体を培養し百日咳菌が検出されるかを調べます。方法は簡単ですが培養に時間がかかるのと、発症から時間がたつと検出率が下がるのが欠点です。
    • 血液検査:血液中の抗体を調べます。ワクチンを接種していても値が上がるため判断が難しいです。
    • 遺伝子検査:培養検査と同じようにとった検体を特殊な装置を使い検査します。数時間から数日間で結果がわかり検出率も高いですが、その場で検査が行える医療機関は限られます。

    百日咳の治療法について教えて下さい。

    百日咳菌には抗生剤が効く事が知られています。第一選択薬はマクロライド系というものです。その中にも種類があり、赤ちゃんの場合には月齢により選択される薬が異なります。(肥厚性幽門狭窄症を発症するリスクがあるため)。発症初期に内服しないと咳に対する効果は見込めませんが、周囲への予防にはなるため治療は必要です。またその他、咳に対し鎮咳薬、去痰薬をつかったり対症療法的に治療を行います。

    百日咳は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    四種混合ワクチンの普及により、昔より患者数は減少したものの2008年から2010年までは流行期にあり患者数が増加していました。また、近年百日咳抗体が消失した(つまり炎症のない)成人の患者の増加が顕著であり、2010年では全患者の約半数が成人です。

    百日咳の、その他の症状について教えて下さい。

    新生児期、乳児期早期にかかった場合は先述のような典型的な経過をたどる事はあまりありません。ぐったりしたり、咳によりミルクが飲めなかったりします。またその他、50%で無呼吸、25%で肺炎、1-3%で痙攣、0.5-1%で脳症を起こす事が知られています。この時期の死亡率は0.5-1%にものぼります。成人では軽症である事が多いですが、中には重症化し咳のため不眠になったり失神してしまう事もあります。

    百日咳の、その他の検査について教えて下さい。

    血液検査を行います。百日咳では白血球の中のリンパ球が増加する事が知られています。また、胸のレントゲンを撮って気管支炎、肺炎へ移行していないかを確認します。また、痙攣、脳症などの合併症が出現した場合には追加して検査を行います。

    百日咳では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    咳がひどくなり呼吸が苦しい、元気がない、ミルクが飲めない、呼吸が止まるなどの症状が出現した場合は入院が必要です。食事がとれるようになるまで点滴をする、酸素を持続的に吸ったり、痰の吸入、吸引を繰り返し行う事などをします。症状が改善した後は基本的には通院は不要です。

    百日咳は、他人にうつる病気ですか?また、どのようにうつりますか?

    百日咳は人から人へ感染し、その経路は2種類あります。百日咳にかかっている人からでる咳やくしゃみ、唾液を浴びる事で感染する飛沫感染と、百日咳菌が付着している物に直接触れる事で感染する接触感染があります。空気感染ではないので同じ空間にいるだけで感染する事はありません。

    百日咳と診断が紛らわしい病気はありますか?

    症状が典型的でない場合、呼吸器感染を起こすその他たくさんのウイルスや細菌との鑑別は非常に難しいです。そういった場合は上記の検査で百日咳かどうか調べる事になります。

    百日咳を予防するためにはどうしたらよいですか?

    百日咳は四種混合ワクチンにより予防する事ができます。公費接種であるため、ほとんどの人が接種していると思います。生後3か月より接種可能です。これをスケジュール通りに接種する事が重要です。しかし、抗体は5-10年程度しか持続しないため、抗体が消失した成人の罹患が問題となっています。海外では思春期に再度百日咳ワクチンを接種しているところもありますが、残念ながら日本では導入されていないのが現状です。

    百日咳にかからないように特に注意した方がいいのはどのような場合ですか?

    新生児、乳児期早期の感染は入院率、死亡率が高く特に重症化しやすい事が知られています。

    百日咳に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    百日咳は飛沫感染と接触感染でうつります。マスクをする、手洗い・うがいをしっかりする事が大切です。また乳児の75%は家族から感染すると言われます。乳児では重症化しやすいため、うつさないためにも家族で咳をしている人がいる場合は早めに病院を受診する事が大切です。

    百日咳は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    百日咳の感染が改善すれば完治します。痙攣、脳症などの合併症を併発した場合には後遺症が残る可能性があります。

    家族が百日咳にかかってしまった場合はどうしたらいいですか?

    同居する家族全員が年齢、予防接種歴にかかわらずマクロライド系抗生物質を予防内服する事が推奨されます。

    いつまで感染する可能性がありますか?

    通常抗生剤を飲み始めて、5日程度で百日咳菌は消失するといわれています。また、治療を行わなかった場合についてですが、咳が始まって3週目までは感染対策を行う事が推奨されます。

    百日咳は出席停止期間はありますか?

    学校保健安全法で出席停止期間の規定があります。「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまで」出席停止とされています。

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