けっきゅうどんしょくしょうこうぐん
血球貪食症候群
自身の免疫が異常に活性化して、血液細胞を攻撃してしまう病気
10人の医師がチェック
129回の改訂
最終更新: 2022.04.10
血球貪食症候群の基礎知識
POINT 血球貪食症候群とは
血球貪食症候群は、血液中にある赤血球、白血球、血小板などの血球を、自分の白血球が攻撃してしまう病気です。子どもではもともと免疫システムに異常がある場合が多く、大人ではウイルス感染や悪性リンパ腫などを引き金として発症する人が多いです。急激に血液細胞が減少して重篤な状態になるため、速やかな治療が必要です。血液細胞が減少することによる症状として、感染を起こしやすくなる(発熱)、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、疲れやすい、出血が止まりにくい、などが見られます。診断は採血検査、画像検査、骨髄検査などを用いて総合的に判断されます。治療は血球貪食症候群の原因によっても異なりますが、ステロイドや免疫抑制薬、化学療法(抗がん剤)が中心となります。骨髄移植が行われることもあります。血球貪食症候群が心配な人や治療したい人は、小児科や血液内科を受診してください。
血球貪食症候群について
- 血液細胞には大きく分けて以下の3種類がある
白血球 :主に病原体や異物と戦う役割赤血球 :主に酸素を輸送する役割血小板 :主に出血を止める役割
- 血球貪食症候群は主に白血球の一種であるマクロファージが異常に活性化することにより、自身の血液細胞を攻撃、処理してしまう病気
- HPS(hemophagocytic syndrome)あるいはHLH(hemophagocytic lymphohistiocytosis)と略記されることが多い
- 子どもではもともとの
免疫 システムの異常が原因となることが多く、大人ではウイルス 感染や悪性リンパ腫が原因となることが多い- 遺伝子異常が原因のものを
原発性 HPSと呼び、子どもで多い - 何らかの病気に伴って
発症 するHPSを二次性 HPSと呼び、以下のような病気が原因となることが多い - 悪性リンパ腫
- リンパ腫関連HPS(LAHS: lymphoma-associated hemophagocytic syndrome)
- ウイルス感染(VAHS: virus-associated hemophagocytic syndrome)
- EBウイルス(日本では原因として最多)
- サイトメガロウイルス
ヘルペスウイルス
自己免疫疾患
- 遺伝子異常が原因のものを
- 日本で年間150人ほどがHPSを発症する
- そのうち15歳未満の子どもが60%ほどを占める
- 死に至ることも多い重い病気なので、専門的な治療が必要となる
- 原発性は本来
予後 不良の病気だが、初期治療と骨髄移植 により予後改善が期待される - 二次性は原因となる病気の種類によって予後が異なるが、ウイルス感染や自己免疫疾患に伴うものは予後良好とされている
- 原発性は本来
血球貪食症候群の症状
血球貪食症候群の検査・診断
血球貪食症候群の治療法
- 主な治療:原因となっている病気に対する治療
- 異常な活動をしている
免疫 を抑える治療ステロイド薬 - 免疫抑制薬
化学療法 :抗がん剤 による治療- エトポシドなど
- 全身の状態に合わせた
対症療法 - DICに対する治療
- 異常な活動をしている
- 長期的な経過
家族性 の場合や主な治療がなかなか効かない場合、骨髄移植 を行うこともある- 重症化することが多く、命に関わることも多い