せいじんはっしょうすちるびょう
成人発症スチル病
発熱、関節の痛みや腫れ、ピンク色の発疹が現れる炎症性疾患。原因不明の発熱として、診断が難渋することがある
5人の医師がチェック 134回の改訂 最終更新: 2024.04.04

成人発症スチル病の基礎知識

POINT 成人発症スチル病とは

39度以上の発熱、全身の関節の腫れ・痛み、胸やお腹あたりを中心としてピンク色の発疹が現れる病気です。熱は1日の中で上下するのが特徴で、のどの痛みを伴うこともあります。免疫の異常が関わっていると考えられています。成人発症スチル病は、感染症やがんなど似た症状が出る病気があります。そのため、血液検査やCT検査などで似た症状が出る病気を否定しておくことが重要です。治療としては非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤などの薬剤を使用します。気になる方はリウマチ内科、膠原病内科を受診してください。

成人発症スチル病について

  • 発熱・皮疹・関節症状の3つを主な症状として、全身に炎症が起こる病気
  • 罹患率は10万人あたり2人程度で稀な病気
  • 免疫の異常によるとされ、IL-6やIL-18といったサイトカインが関わっているとされるが、分かっていないことも多い

成人発症スチル病の症状

  • 発熱
    • 1日に1,2回ほど39度以上の高熱が出る
    • 夕方から明け方にかけて発熱することが多い
    • 発熱した際にのどの痛みが出ることがある
  • 皮疹
    • サーモンピンク疹とよばれるピンク色の発疹がおなかや背中、太ももなどにできる
    • かゆみはないことが多く、発熱したときに悪くなり、熱が下がると良くなる
  • 関節の腫れや痛み
    • 手首・肘・肩・膝・足などの大きな関節を中心に痛みや腫れが出る
    • 関節症状も発熱したときに悪くなることが多い
  • その他
    • のどの痛み
    • 息苦しさ(胸膜炎や心膜炎を合併することがある)

成人発症スチル病の検査・診断

  • 血液検査
    • 肝機能の異常が起こることもある
    • 関節リウマチなど他の自己免疫性疾患で陽性になることが多いリウマトイド因子(RF)や抗核抗体は陰性であることが多い
    • しばしばフェリチン値が著明に上昇する
  • 画像検査
    • レントゲン検査
    • CT検査
  • ウイルス細菌などの感染症、その他の自己免疫疾患がんでも似た症状が出るため、これらの疾患を除外することが重要

成人発症スチル病の治療法

  • ステロイド薬が治療の中心となる
    • 症状の重症度に応じて、内服量は変わってくる
  • 炎症の程度が強く、重度の肝障害や、血球貪食症候群DIC播種性血管内凝固)を起こしている場合
    • ステロイドパルス療法(点滴で大量のステロイド薬を使用する)
  • ステロイド薬の使用量を減らすために免疫抑制薬や生物学的製剤を使用することもある
    • 免疫抑制薬
      • メトトレキサート(商品名リウマトレックスなど)
      • シクロスポリン(商品名ネオーラルなど)
    • 生物学的製剤
      • トシリズマブ(商品名アクテムラ)

成人発症スチル病の経過と病院探しのポイント

成人発症スチル病が心配な方

成人発症スチル病は、発熱・皮膚の赤み・関節の痛みを特徴とする病気です。身体のさまざまな関節が痛くなったり、1日の中で熱が出たり引いたりします。

ご自身が成人発症スチル病でないかと心配になった時、まずはお近くの内科クリニックを受診することをお勧めします。似たような症状を示す疾患にもさまざまな種類のものがあるため、膠原病なのか、それ以外の病気なのかを判断する上で、一般内科の受診が良いでしょう。その上で膠原病だということになれば、最初にかかった医療機関から診療情報提供書(紹介状)をもらった上で専門病院を受診することになります。診療情報提供書がないと基本的な検査を一からやり直すことになってしまうため、ご注意なさって下さい。

成人発症スチル病の診断は問診と診察、血液検査で行います。スティル病の診断のためというよりも、他の病気を除外するために関節のレントゲンやエコー、MRIも行われます。

成人発症スチル病と診断する前に、様々な感染症や膠原病でないことを確かめる必要があります。熱があって、皮膚が赤くて、関節が痛いと3つの症状が揃っていたとしても、それだけでは成人発症スチル病ではない可能性のほうが(頻度的に)高いと言えます。

成人発症スチル病に関連する診療科の病院・クリニックを探す

成人発症スチル病でお困りの方

成人発症スチル病はまだ詳細な原因がわかっていません。治療も根治療法というよりは、症状を抑えるための対症療法が中心となります。

頻度の高い病気ではないため、診療は専門医の下で行うことが勧められます。該当する専門医はリウマチ専門医になりますが、これには内科系のものと整形外科系のものと2種類あるため区別が必要です(両者を認定しているのは同じ学会です)。成人発症スチル病を診療するのは内科系のリウマチ専門医になります。専門医資格としては同じリウマチ専門医という名称なので区別ができませんが、その医師が内科に所属しているのか、整形外科に所属しているのかが分かれば判断がつくかと思います。

他の科の病気と比べると、適切に診療できる経験をもった医師が少ないのが膠原病でもありますが、長く付き合っていく病気であるため、信頼できる主治医を見つけることが大切です。

成人発症スチル病に関連する診療科の病院・クリニックを探す

成人発症スチル病のタグ

成人発症スチル病に関わるからだの部位