ちょうへいそく(いれうす)
腸閉塞(イレウス)
腸の中の食べ物の流れが途中で詰まってしまう病気。腸がねじれたり、動きが鈍かったり、大腸がんなどが原因で起こる
11人の医師がチェック 134回の改訂 最終更新: 2018.03.02

腸閉塞やイレウスとはどんな病気?原因・症状・治療など

腸閉塞やイレウスは腸の中の流れが悪くなることを原因として様々な症状が現れます。腸閉塞やイレウスの原因は様々で原因にあった治療を選びます。ここでは腸閉塞とイレウスの違いや治療などを説明します。

1. 腸閉塞は腸がつまる病気?イレウスとは違う病気なのか?

腸閉塞とイレウスは腸の中の流れが悪くなる病気です。腸閉塞とイレウスという言葉は同じ意味で使われることもありますが、腸閉塞とイレウスを区別する言い方もあります。

腸閉塞とイレウスの違い

腸閉塞とイレウスの違いについて説明します。

腸閉塞とイレウスは同じ意味で使われることもあります。しかし腸閉塞とイレウスは違うものとして両者を区別する立場もあります。

腸閉塞とイレウスは腸の中の流れが止まることで症状が現れます。腸閉塞とイレウスを分ける考え方では腸閉塞とイレウスの違いは以下になります。

【腸の中の流れが止まる原因:腸閉塞とイレウスの違い】

  • 腸閉塞:腸にものが詰まったり外側からの圧迫などの物理的な閉塞の原因がある
  • イレウス:腸が内や外からの刺激などで動かなくなるが、物理的な原因はない

『急性腹症診療ガイドライン 2015年』でも腸閉塞とイレウスを区別して説明が行われています。このページでも腸閉塞とイレウスを区別して説明していきます。

従来の分類と『急性腹症診療ガイドライン 2015年』に準じたこのページの分類を比較します。

【従来の分類】

  • 機械性腸閉塞
    • 単純性腸閉塞(閉塞性腸閉塞、閉塞性イレウス) 
    • 複雑性腸閉塞(絞扼性腸閉塞、絞扼性イレウス)
  • 機能性腸閉塞
    • 麻痺性腸閉塞(麻痺性イレウス) 
    • 痙攣性腸閉塞(痙攣性イレウス)

【急性腹症診療ガイドライン 2015年に準じた分類】

  • 腸閉塞
    • 単純性腸閉塞
    • 複雑性腸閉塞
  • イレウス

このページの解説では、従来機能性腸閉塞と呼んでいたものをイレウスとし、機械性腸閉塞にはイレウスという呼び方をしません。

ただし医療機関によっては腸閉塞とイレウスを区別せずに説明が行われることもあります。その場合は腸が動かない原因について尋ねることで腸閉塞とイレウスのどちらが起きているかを区別して理解できると思います。

2. 腸閉塞にはどんな種類がある?

腸閉塞には単純性腸閉塞と複雑性腸閉塞の2つがあります。

腸閉塞は腸にものがつまることや外からの圧迫が原因です。単純性腸閉塞と複雑性腸閉塞は腸の血流の有無で分けます。腸閉塞では単純性腸閉塞と複雑性腸閉塞を見分けることが大事です。

  • 単純性腸閉塞:腸の血流がある 
  • 複雑性腸閉塞:腸の血流が途絶えている

単純性腸閉塞は腸の中にものがつまることや腸の壁が腫れあがって腸の中が狭くなることなどが原因です。単純性腸閉塞では完全に腸がつまっている場合とそうではない場合があります。完全な閉塞が起きていると腸の中の圧力が極めて高くなり腸に穴があくこともあります。単純性腸閉塞は鼻や肛門から管を挿入して腸の中の圧力をできるだけ早く下げる治療をします。状況によっては手術を検討します。

複雑性腸閉塞は腸が捻(ねじ)れたりして腸の中の流れが悪くなるとともに腸の血流が途絶えた状態です。腸への血流が途絶えると腸が壊死(細胞の死)します。壊死した腸は弱くなり腸に穴があき腹膜炎という重い感染症がおきます。複雑性腸閉塞は一刻も早い手術が必要です

3. 腸閉塞やイレウスにはどんな原因がある?

腸閉塞とイレウスは同じような症状が現れますが原因は異なります。腸閉塞は物理的な圧迫や閉塞が原因で腸の中身が流れなくなります。一方でイレウスは腸の麻痺や痙攣(けいれん)が原因です。腸閉塞とイレウスの主な原因について解説します。

腸閉塞の主な原因の解説:脱腸・大腸がん・手術による癒着など

腸閉塞の原因となる病気は多岐に渡ります。腸が外側から締め付けられたり腸の中に腫瘍などが出来て閉塞を起こしたりします。

腸閉塞は腸の血流の有無で単純性腸閉塞と複雑性腸閉塞の2つに分けることができます。単純性腸閉塞では腸の血流は保たれており保存的な治療にも効果が期待できます。一方で複雑性腸閉塞は緊急手術が必要な重い病気です。

  • 単純性腸閉塞の主な原因
  • 複雑性腸閉塞の主な原因 
    • 腸軸捻転(ちょうじくねんてん)
    • 腸重積(ちょうじゅうせき)
    • 手術の影響による癒着
    • 嵌頓(かんとん)ヘルニア

単純性腸閉塞の原因は大腸がんによる閉塞やヘルニア、手術による癒着が多いです。他にも重い腸炎も原因になることがあります。単純性腸閉塞は手術をしない保存的な治療で改善することもあります。しかし腸が完全に閉塞した場合や保存的な治療で改善しないときには手術が検討されます。

複雑性腸閉塞は腸が捻(ねじ)れたり締め付けられたりすることが原因になります。複雑性腸閉塞は血液の流れが悪いので腸に壊死(細胞の死)が起きます。壊死が起きると腸の壁が弱くなり腸に穴があくこともあります。複雑性腸閉塞はできるだけ早めに治療を開始することが重要です。

イレウスの主な原因の解説:腹膜炎・急性膵炎・薬剤・手術

イレウスは、腸の麻痺や痙攣(けいれん)などを原因として腸管の中の流れが滞る病気です。腸が詰まったり狭くなったりしない点が腸閉塞との違いです。

イレウスは腸の動きが止まることを原因としています。腸の動きが止まる原因は腸管が麻痺したり(麻痺性イレウス)、痙攣したりする(痙攣性イレウス)ことです。腸腸が麻痺する原因には主に腹膜炎急性膵炎、手術、薬剤などがあります。イレウスのほとんどが腸管が麻痺することを原因としています。

  • 腹部の手術既往(過去に腹部の手術を行ったことがある)
  • 腹膜炎(腹部の臓器を包んでいる腹膜の炎症
  • 脊髄損傷
  • 頭蓋内血管障害(脳出血脳梗塞など)
  • 薬剤
  • 腸間膜領域の血流障害(腸の血流が悪くなること)

麻痺性イレウスは、手術の後に起こることでも知られ他にも多くの原因があります。痙攣性イレウスは非常に稀な病気です。腸管が縮こまっている時間が極端に長い時間つづくことが原因です。鉛中毒や精神疾患などが原因となることがあります。

4. 腸閉塞やイレウスの症状は?腹痛・嘔吐など

腸閉塞とイレウスの症状は似ているものがほとんどですが、少しずつ違いがあります。

初期症状

腸閉塞は突発的な腹痛から始まることが多いです。腹痛の特徴は原因によってことなり単純性腸閉塞の場合には痛みが強くなったり和らいだりします。間欠的(かんけつてき)な痛みと言います。複雑性腸閉塞では痛みは持続することが特徴です。腹痛と同時か少し時間がたって吐き気・嘔吐(おうと)や腹部の強い張り(腹部膨満感)が現れます。

イレウスの場合は腸の動きが止まるので嘔吐や腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)の症状が目立ちます。イレウスは腸閉塞とは異なり腹痛は軽度か感じないこともあります。

腹痛

腹痛は腸閉塞になったほとんど全ての人に現れる症状です。腹痛は痛くなったり弱くなったりすることも強い痛みが持続することもあります。単純性腸閉塞の腹痛は間欠的で腹部全体が痛みます。一方で複雑性腸閉塞の腹痛は持続的で痛む場所がはっきりとしています。

イレウスの腹痛は軽度であるかまたは感じないこともあり腸閉塞に比べると症状は軽いです。イレウスになって時間が経過すると腸の中がガスや腸液で拡張することで痛みを自覚することがあります。

吃逆(きつぎゃく)

吃逆はしゃっくりのことです。腸閉塞やイレウスが起こると吃逆が現れることがあります。

腸閉塞やイレウスが起こると腸にガスが溜まり続けます。ガスがたまると胃や腸は拡張して大きくなります。拡張した胃や腸は横隔膜を刺激します。横隔膜は刺激により痙攣することがあり吃逆の原因になります。

腹部膨満(ふくぶぼうまん)

腸閉塞やイレウスが起きると起きた場所から先には食べ物や腸液、ガス(おならのもと)が流れなくなります。腸にガスがたまると腸が拡張します。腸の拡張がひどくなるとお腹が膨らんでみえ、腹部膨満といいます。

腹部膨満の症状が出やすいのは大腸に起こる腸閉塞やイレウスです。

吐き気・嘔吐

腸閉塞やイレウスが起きると腸の流れが悪くなりなります。腸の流れが悪くなると食べ物や胃液や胆汁を含んだ腸液が腸にとどまり続けます。腸の中の流れが悪い状態が続くと腸液の逆流が起き始めます。腸液の逆流が起きると嘔吐が起きます。

嘔吐はイレウスより腸閉塞に多い傾向があります。さらに腸閉塞が起きた場所が小腸か大腸かで症状に特徴があります。小腸の腸閉塞で現れる嘔吐物は便のような臭いを放つことがありますが大腸の場合は酸っぱい臭いを放つことが多いです。

排便・排ガスの停止

腸閉塞やイレウスが起こると排便・排ガス(おなら)がなくなることがあります。腸閉塞やイレウスが改善すると排便や排ガスが再び現れます。排便や排ガスの有無は腸の動きや閉塞の状態を反映していると考えられます。ただし初期の腸閉塞やイレウスでは排便や排ガスの停止がないこともあるので排便や排ガスの有無だけでは腸閉塞やイレウスかどうかの診断はできません。

腸閉塞やイレウスが治療後に改善かしたかどうかの目安に排便や排ガスを使うことができます。

脱水

腸閉塞やイレウスでは脱水が起こります。脱水とは体の水分が不足することです。

腸閉塞では主に2つの理由で脱水がおこりやすくなっています。

一つ目の理由は腸から水分の吸収が低下することです。腸は水分の吸収などで大きな役割を果たしています。腸の動きが止まると腸からの水分の吸収が悪くなります。もう一つの理由は嘔吐による水分の喪失です。これら2つの理由のために腸閉塞では脱水がおきます。

腸閉塞になると脱水を予防するために十分な点滴が必要になります。また電解質という体の中の成分もくるいやすくなるので血液検査などで確認しながら治療します。

脱水の症状は、倦怠感や頭痛、吐き気、めまいなどです。重度な脱水に至ると血圧が危険なほど下がったり臓器障害を招くこともあります。

発熱

腸閉塞やイレウスで微熱が起きることはありますが38℃を超えるような発熱は少ないです。腸閉塞で発熱が起こると注意が必要です。

腸閉塞は単純性腸閉塞と複雑性腸閉塞の2つがあります。発熱することが多いのは複雑性腸閉塞です。複雑性腸閉塞は腸への血流が悪くなっており数時間経過すると壊死(細胞の死)が始まります。壊死が起きると腸が脆(もろ)くなり穴が開くことがあります。腸に穴が開くと腹膜炎という重症の状態にいたり命に危険が及びます。

腸閉塞が疑われ発熱をしているときは重い腸閉塞に進行していないかを確認する必要があります。

腸閉塞やイレウスとの関係が明らかではない症状:口臭

口臭の原因が腸閉塞や便秘ではないかと心配される人がいます。腸閉塞や便秘と口臭の関係は明らかではありません。

腸閉塞やイレウスで嘔吐が起きると口臭として感じることはあるかもしれませんが、普段の他に症状を伴わない口臭から腸閉塞やイレウスを疑うことは少ないと思います。

口臭の主な原因は歯肉炎や義歯の不具合、副鼻腔炎、タバコなどです。

5. 腸閉塞やイレウスの治療は?イレウス管・手術など

腸閉塞とイレウスでは治療法が異なります。腸閉塞は状態によっては手術が必要になることがありますがイレウスで手術が必要になるのはまれです。

腸閉塞は腸が物理的な影響を受けて腸の中の流れが悪くなります。腸への物理的な影響を取り除くことで改善することがあります。一方でイレウスは腸が麻痺などで動かなくなる病気なので腸の動きを取り戻す治療が主体になります。

  • 単純性腸閉塞の治療
    • 保存的治療
      • 胃管(経鼻胃管) 
      • イレウス管 
    • 手術(内視鏡的治療を含む) 
      • 癒着剥離術(ゆちゃくはくりじゅつ)
      • 腸切除術
      • 消化管バイパス術
      • 人工肛門造設術
      • 消化管ステント 
  • 複雑性腸閉塞の治療
    • 手術
      • 絞扼解除術(こうやくかいじょじゅつ)
      • 腸切除術
      • 消化管バイパス術
      • 人工肛門造設術
  • イレウスの治療
    • 保存的治療
      • 胃管(経鼻胃管)
      • イレウス管

腸閉塞には血行が保たれている単純性腸閉塞と腸の血流が悪くなった複雑性腸閉塞の2つがあります。

単純性腸閉塞は症状が比較的軽ければ腸の中の食べ物や腸液を管(胃管・イレウス管)を利用して体の外に出す治療(保存的治療)で改善することもあります。保存的な治療で改善が見込めない場合は手術による治療を検討します。

一方で複雑性腸閉塞の場合は手術が必要になります。手術をして腸の血流が悪くなっている原因を解消することが目的です。腸は血流が悪くなる時間が続くと壊死(細胞の死滅)が始まります。壊死が起きている腸は弱くなっており時間が経過すると穴があくなどの問題がおきます。複雑性腸閉塞が起きた場合には腸に壊死が起きることを考えて治療します。すでに壊死があるときには壊死している部分だけを切り取り腸と腸をつなぎ直します。

イレウスの治療は胃管やイレウス管を用いた治療が主体になります。胃管やイレウス管を使うと腸液などを体の外に出すことができ腸の拡張を減らすことができます。腸の拡張がなくなれば腸の負担が軽減して腸は再び正常な動きを取り戻すことができます。

まれなイレウスの原因として血管に血のかたまりなどがつまって血流が悪くなるもの(上腸間膜動脈閉塞症下腸間膜動脈閉塞症)があります。腸への血流が悪くなると腸に壊死が起きて命に危険を及ぼします。その場合には緊急での治療が必要になります。

胃管:鼻から胃の中に管を入れる治療

胃管は細長いチューブです。鼻から管を入れて胃まで挿入し、胃液を体の外に出します。鼻から胃に管を挿入するので経鼻胃管(けいびいかん)やNGチューブ(nasogastric tube)と呼ぶ施設もあります。胃管は単純性腸閉塞やイレウスの治療に用いられます。

胃管を挿入すると胃液が腸へ流れないので腸への負担が軽減します。胃管だけで十分な治療効果が得られない場合にはイレウス管に治療法を変えることを検討します。

イレウス管:鼻や肛門から腸にまで管を入れる治療

イレウス管は鼻や肛門から腸まで通す長い管です。イレウス管の先端は閉塞した腸の手前の部分に誘導します。イレウス管は単純性腸閉塞やイレウスの治療に用いられます。

腸閉塞やイレウスが起こると腸の中に液体などが溜まり腸が拡張します。腸が拡張すると腸の血流が悪くなったり腸の中の圧力が高くなり腸が破れる危険性が高まります。腸の拡張をとるためには腸の中の液体などを体の外に出すことが有効な治療法です。

イレウス管は鼻や肛門から挿入します。イレウス管が挿入されると腸の内容物がイレウス管を介して体の外に排出されます。

癒着剥離術(ゆちゃくはくりじゅつ)

手術などが原因で腹腔内に癒着が起きることがあります。腹腔とはお腹の臓器の隙間の空間のことです。腹腔内の癒着によって腸と腸がくっついたり腸を締め付ける索状物(さくじょうぶつ)ができることがあります。この癒着でできた索状物を手術によって取り除いたりする手術が癒着剥離術です。癒着剥離術をすると腸は正常な状態にもどることができ腸の中の流れがスムーズになります。

癒着剥離術が用いられるのは腹腔内の癒着が原因の腸閉塞などです。

絞扼解除術(こうやくかいじょじゅつ)

絞扼解除術は複雑性腸閉塞に用いられます。

複雑性腸閉塞は腸へ血流を送る血管に圧迫などが生じて血流が悪くなっています。血管などが圧迫されることを絞扼といいます。絞扼解除術では血流が悪くなっている原因を解消します。絞扼が起きる原因は、臓器と臓器の間に腸が入り込むことや腸が捻れること、脱腸など様々です。

絞扼を解除したものの腸への血流が途絶えた時間が長くなると腸が壊死を始めます。壊死した腸は取り除かなければいけないので腸切除をします。

腸切除術

腸閉塞が起こると中には腸の血流が悪くなり腸が壊死(細胞が死滅)することがあります。壊死が起きた腸は機能することができないので切り取る必要があります。壊死した部分の腸を切り取り腸と腸をつなぎなおします。

消化管バイパス術

消化管バイパス術は単純性腸閉塞の治療に使われることがあります。

がんが腸に転移することなどにより腸閉塞を起こすことがあります。がんなどによって起きた腸閉塞は消化管バイパスという手術の方法で治療することができます。消化管とは口から胃・腸を通って肛門まで食べ物が通過していく通り道のことです。

バイパスは本来の道とは別の迂回路(うかいろ)を形成することです。消化管バイパスを行うと、食べ物が狭くなった腸の部分とは別の通り道で流れるようになります。消化管バイパスは胃と小腸をつなげたり小腸と小腸をつなげたりする方法があります。

人工肛門造設術

腸の閉塞が何箇所にも渡って起きている場合には人工肛門をつくることがあります。人工肛門が必要になる場合はがんがお腹の中に広がって複数の箇所で腸閉塞を起こしている場合などです。

人工肛門は肛門の代わりとなる便の出口です。手術で腸を体の外まで引っ張り出して腹部から便を出せるように人工肛門を作ります。人工肛門のように「手術によって腹壁に造られた排泄口」をストーマといいます。少し細かな話ですが人工肛門を小腸でつくるとイレオストミー、大腸でつくるとコロストミーといいます。

人工肛門で生活をおくる人は生活で注意する点がいくつかあります。「公共社団法人 日本オストミー協会」のウェブサイトを参考にしたりストーマに精通した医療スタッフに気になる点を質問したりするなどしてみてください。

参照:公益社団法人 日本オストミー協会

消化管ステント留置術

ステントとは筒状の形をしており狭くなった管状の臓器を内側から広げる器具です。がんなどが原因で単純性腸閉塞が起きているときに使われることがあります。

消化管ステントは針金でできており、ステントを狭くなった場所に留置するとステントが自然と広がり狭くなった腸を広げることができます。ステントが広がると腸の中をステントが裏打ちするような格好になります。消化管ステントは手術ができない人などに使われます。

6. 腸閉塞やイレウスに効果のある薬は?

腸閉塞やイレウスに効果のある薬は少ないですが、腸の動きを良くする漢方薬や便を柔らかくする緩下薬(かんげやく)などが治療と予防で効果を発揮します。

大建中湯(ダイケンチュウトウ)

大建中湯は漢方薬です。

腹部の手術後には腸閉塞やイレウスが起きることがあります。漢方薬の大建中湯は消化管運動を改善する効果を期待して使われることがあります。

大建中湯は乾姜(カンキョウ:生姜の根茎を乾燥したもの)、人参(ニンジン)、山椒(サンショウ)という3種類の生薬から構成されます。3種類とも食品などとしても比較的身近なものです。大建中湯は、一般的には「お腹や手足が冷えて腹痛、吐き気、腹部膨満感などがある」ような状態に適するとされています。

大建中湯は腸管血流量の増加作用や抗炎症作用などをあらわし、術後の腸閉塞やイレウスによる腹痛、膨満感などの改善に対して有用とされています。また神経伝達物質セロトニン系への作用、消化管ホルモンであるモチリンの分泌促進作用、知覚神経への作用などによって腸管収縮などを促すことで胃などの切除後に生じる消化管運動障害を改善する効果が期待できるとされています。

酸化マグネシウム

酸化マグネシウムには制酸(胃酸を中和する)作用の他、便を柔らかくする働きもあり便秘の解消目的で使われることがあります。酸化マグネシウムは腸の中に入ると炭酸マグネシウムへ変化します。

炭酸マグネシウムは腸の中に水分を引き込む力があります。このため便が水分を含み柔らかくなります。また水分が多くなった便はかさが増えるので腸を刺激して排便が促されます。

7. 新生児の腸閉塞やイレウスの原因は?

新生児は生後28日以内の赤ちゃんのことです。

生まれて間もない赤ちゃんにも腸閉塞やイレウスが起きることがあります。その多くは先天異常から起こるもので、生まれてから早い段階で治療をする必要があります。

【新生児の腸閉塞の主な原因】

  • 先天性腸閉鎖・狭窄

【新生児のイレウスの主な原因】

新生児の腸閉塞やイレウスは生まれてすぐの診察で見つかったり、母乳やミルクの嘔吐を繰りかえすことなどで発見されます。ただし新生児は授乳にまだ慣れていなので嘔吐をすることはよくあります。嘔吐をしたからといって腸閉塞やイレウスが必ずしも起きている訳ではありません。

嘔吐の回数が多い場合や嘔吐物から酸っぱい匂いがするなどの場合は医療機関で診察や検査を受けてください。

8. 子供に腸閉塞やイレウスを起こす原因は?

子供の腸閉塞は成人とは違う原因で起きることがあります。一方でイレウスは大人と同じく腹膜炎や過去に受けた手術などが主に原因となります。

【子供の腸閉塞の主な原因】

【子供のイレウスの主な原因】

小児の腸閉塞やイレウスは嘔吐や腹部膨満感などの症状で発見されることがあります。小児は言葉が発達段階にあるので症状を上手く伝えられなくて病気が発症してから時間が経った状態で見つかることも珍しくありません。

腸閉塞やイレウスはできるだけ早く発見して治療することが望ましいです。早期発見のためには保護者などがいつもと違う様子などを感じ取ることが大事です。いつもより少し元気がなかったり機嫌不良が続くときには詳しく質問をしたり体に触れて症状がないかを聞いてあげることも良い方法だと思います。

9. 高齢者に腸閉塞が多いのはなぜ?

腸閉塞は若くてもなることはありますが、腸閉塞は高齢者ほど多い傾向にあります。なぜでしょうか。腸閉塞の原因として多いものはがん(大腸がんなど)や脱腸(ヘルニア)、便秘などです。これらの原因は年齢を重ねるほどに現れる割合が上がります。したがって高齢者は腸閉塞になる危険性も高まると考えられます。

がん(大腸がん・胃がん・膵臓がん・胆道がんなど)

いくつかのがんは腸閉塞の原因になり、がんは年齢とともに発生する危険性が高まります。腸閉塞を起こすのは大腸がんが最も多く、他には胃がん膵臓がん胆道がんなどがお腹の中に広がることなどで腸閉塞が起きます。

がんによる腸閉塞は大腸がんであればがんを大腸とともに切除します。がんの広がりが大きい場合などでは消化管バイパス術や人工肛門造設術を行い治療することもあります。

脱腸(ヘルニア)

ヘルニアは体の壁の構造に異常が起きて本来中に収まっているものが脱出してくる状態のことを指します。腸が体の外に向かって脱出するヘルニアは脱腸とも呼ばれます。主なものとして3種類あります。

ヘルニアは高齢者ほど多くなります。ヘルニアの原因のひとつはお腹の筋肉などが弱くなることです。筋肉は青年期に最も発達してその後筋力は低下していきます。高齢者になると筋力が低下することでヘルニアが発症しやすくなります。

ヘルニアが現れた場合は医師に相談すると治療の必要があるかどうか見当がつきます。

便秘

便秘でも腸閉塞になることがあります。高齢者は腸の動きが弱くなっており便秘になりがちです。1日の運動量が低下すると腸の動きが弱くなり便秘が起こる原因にもなります。高齢者では活動量も低下しがちです。便秘を解消するには無理のない範囲での運動と適量の食物繊維の摂取などが効果的です。
ただし、食物繊維を摂りすぎると腸の流れを妨げるので、とりすぎは禁物です。食事の量をどのくらいとればよいのかは判断が簡単ではないので、医師や栄養士に相談してみてると適量の目安を知ることができます。

10. 腸閉塞やイレウスは再発する?予防はどうすればいいのか?

腸閉塞やイレウスは再発を繰り返すことがあります。一人ひとりで状態がことなるので再発率は不明ですが腸閉塞やイレウスになった全ての人は再発に注意が必要です。

以下では腸閉塞やイレウスを再発しないための注意点について考えていきます。

食生活の見直し

食事は腸閉塞やイレウスを予防する上で重要です。腸閉塞やイレウスになったことがある場合は食生活を一度見直すことをお勧めします。

  • 食事の量は多くはないか?
  • 食べる速度は適切か?
  • 食事は消化しやすいものを選べているか?

まずは食事の量と内容について確認することをお勧めします。腸閉塞やイレウスを繰り返している人は一回の食事量を控えめにして回数を分けるほうがよいです。もともと腸の動きが弱くなりやすくなるところに多くの食べ物が腸に流れ込むと腸閉塞やイレウスがおきる可能性が高くなります。

食事はゆっくりとしっかり噛み砕いて飲みこむことも大事です。特に消化が悪いと考えられている食品を飲み込む際には気をつけてください。

食事の内容も大事です。消化の悪いものを多く摂取するとやはり腸閉塞やイレウスが起きる可能性が高くなります。また栄養士に食事について相談することも有効な手段です。

適度な運動は出来ているかを確認

腸の動きは適度な運動により活性化します。運動不足がないかを確認してみてください。激しい運動は必要ありません。ウォーキングなどの軽い運動で十分です。

便秘の解消・予防

便秘は腸閉塞の原因になります。できれば便秘にならないようにすること、また便秘を解消することが腸閉塞の再発予防になります。

便秘の解消・予防には以下のような方法があります。

  • 生活リズムを整える(食事の時間、就寝時間)
  • 食物繊維を適度に摂取する
  • 水分を摂取する
  • 適度な運動を生活に取り入れる

まず日常生活に便秘の解消・予防によい習慣を取り入れることから始めましょう。食物繊維や水分の積極的な摂取は便秘の改善・予防に効果的です。また適度な運動をすることで腸に刺激を与えることができ腸の動きを活発化することができます。
このどれもに当てはまることですが、適度・適量というのが大切です。例えば、食物繊維を摂りすぎると腸の流れを妨げるので安易に摂りすぎることは避けるべきです。

これらの方法でも便秘を解消できない場合は医師に相談して便を柔らかくする薬などを検討してもらうこともよいでしょう。

11. 腸閉塞やイレウスで死亡することはある?死亡率は?

腸閉塞の中でも複雑性腸閉塞は状態によっては死亡することもある危険な状態です。腸閉塞がおきると死亡率はどのくらいなのでしょうか。

参照:ハリソン内科学 第2版

腸閉塞

腸閉塞は単純性と複雑性に分けられます。単純性では腸に届く血流が保たれています。複雑性は腸が詰まることに加えて腸の血流が悪くなった状態です。複雑性腸閉塞は命に影響を及ぼすことがあり重い状態です。

小腸と大腸のどちらに腸閉塞がおきたかでも死亡率は違ってきます。

小腸の腸閉塞は単純性腸閉塞のことも複雑性腸閉塞のこともあります。

単純性腸閉塞の死亡率は5-8%とされています。一方で複雑性腸閉塞の死亡率は20-75%とされています。

大腸に起きる腸閉塞は単純性腸閉塞が多いです。その死亡率は約20%とされています。大腸は複雑性腸閉塞が起こることは少ないとされています。

イレウス

イレウスは腸閉塞とは異なり腸の流れが悪くなる原因は腸管の麻痺や痙攣です。腸の中の流れが悪くなるのは物理的障害物ではありません。

イレウスの経過は良好なことが多く死亡することは少ないと考えられています。ただしイレウスと腸閉塞は症状が似ており検査でも見分けがつかないことがあります。イレウスと考えられていた人が時間の経過を見ていると腸閉塞であったことが明らかになることはあり得る話です。腸閉塞であった場合はイレウスに比べて死亡率が高く注意が必要です。

12. サブイレウスはどんな病気?イレウスの前兆?

サブイレウスは腸閉塞やイレウスが起きる前の段階を現す言葉として使われることがあります。正確にいうと医学用語としてサブイレウスという言葉はありません。

サブイレウスという言葉を病院で聞いたときには腸閉塞やイレウスの一歩手前の状態で注意が必要な状態を指していると思ってください。

13. 腸閉塞やイレウスは何科を受診すればいい?

腸の病気を専門とする診療科は消化器内科や消化器外科です。腹痛や嘔吐などの症状があり腸閉塞やイレウスが心配な場合は消化器内科か消化器外科が相談するのに適した診療科です。

お腹の手術が原因で腸閉塞やイレウスが起こることがあります。消化器外科以外にも泌尿器科や産婦人科などでも開腹手術をします。腹部の手術を経験したことがあるならばまずは手術を受けた医療機関に受診することをお勧めします。手術を担当した医師や診療科であれば手術をした状況を把握しているので情報量が多く適切な判断が下せるからです。消化器内科や消化器外科の協力が必要な場合は担当医から相談してもらえると思います。

休日や夜間は救急外来を受診すると診察や検査を受けることができます。腸閉塞やイレウスは早めに治療を開始することが大事です。