腸閉塞・イレウスの症状:腹痛・嘔吐・腹部膨満感・便秘など
腸閉塞やイレウスの症状は腹痛や嘔吐、
1. 腸閉塞とイレウスの症状の違い
腸閉塞とイレウスという言葉は同じ意味で使われることもありますが、腸閉塞とイレウスを区別する立場もあります。腸閉塞とイレウスを区別して使うと以下のようになります。
- 腸閉塞:腸にものが詰まったり外側からの圧迫などの物理的な原因がある
- イレウス:腸の内側や外側からの刺激などで腸が動かなくなる、物理的な原因はない
このページでは症状について詳しく説明しますので、両者の違いについて詳しく知りたい人はこちらの腸閉塞とイレウスの違いの説明を参照してください。
さて、腸閉塞とイレウスは原因が違いますが、腸の中の流れがとまるという点で共通しています。そのため腸閉塞とイレウスの症状は似ているものが多いです。以下では腸閉塞とイレウスの症状を分けて解説します。
2. 腸閉塞の症状
腸閉塞では腹痛や腹部膨満感などの症状が現れます。原因によって症状の特徴が異なります。腸閉塞の症状について解説します。
腸閉塞の初期症状
腸閉塞は突発的な腹痛から始まることが多いです。腹痛の特徴は原因によってことなります。
単純性腸閉塞の場合には痛みが強くなったり和らいだりします。間欠的(かんけつてき)な症状と言います。
複雑性腸閉塞では痛みは持続することが特徴です。腹痛と同じか少し時間がたって吐き気・嘔吐(おうと)や腹部の強い張り(腹部膨満感)があらわれます。
腹痛
腹痛は腸閉塞になったほとんど全ての人にあらわれる症状です。腹痛は強くなったり弱くなったりすることも強い痛みが持続することもあります。
単純性腸閉塞の腹痛は間欠的で腹部全体が痛みます。一方で複雑性腸閉塞の腹痛は持続的で痛む場所がはっきりとしています。
複雑性腸閉塞は腸の血流が途絶えるタイプの腸閉塞で緊急での治療が必要です。このために腹痛の特徴は判断材料の一つとして大事です。
吃逆(きつぎゃく)
腸閉塞が起こると腸にガスが溜まり続けます。胃や腸はガスで拡張して大きくなります。拡張した胃や腸は横隔膜を刺激します。横隔膜は刺激により痙攣(けいれん)することがあります。横隔膜の痙攣が吃逆の原因になります。
腹部膨満(ふくぶぼうまん)
腸閉塞が起きた場所から先には食べ物や腸液、ガス(おならのもと)が流れなくなります。このため閉塞が起きている腸のより手前側(口側)の腸にガスがたまり続けて拡張します。腸の拡張が強くなると体の外からでもお腹が張って見えます。
吐き気・嘔吐
腸閉塞が起きると閉塞が起きた部分から先に食べ物や腸液が流れていかなくなります。腸の流れが悪い状態が続くと腸液の逆流が起き始めます。腸液の逆流は嘔吐(おうと)の症状としてあらわれます。
嘔吐は閉塞が起きている場所が口側に近ければ近いほど強い症状としてあらわれます。
排便・排ガスの停止
腸閉塞が起こると腸が動きをとめるので排便・排ガス(おなら)がなくなることが多いです。腸閉塞が改善すると排便や排ガスが再びあらわれます。排便や排ガスの有無は腸の動きや閉塞の状態を反映していると考えられ、腸閉塞の改善の目安として使うことができます。ただし、初期の腸閉塞では排便や排ガスの停止がないこともあるので、これらの有無だけでは腸閉塞かどうかの診断はできません。
脱水
腸閉塞では脱水が起こります。脱水とは体の水分が不足することです。
腸閉塞では主に2つの理由で脱水がおこりやすくなっています。
一つ目の理由は腸から水分の吸収が低下することです。腸は水分の吸収などで大きな役割を果たしています。腸の動きが止まると腸からの水分の吸収が悪くなります。もう一つの理由は嘔吐による水分の喪失です。
腸閉塞になると脱水を予防するために十分な点滴が必要になります。また
発熱
腸閉塞では発熱することがあります。腸閉塞は単純性腸閉塞と複雑性腸閉塞に分けられますが発熱することが多いのは複雑性腸閉塞です。
複雑性腸閉塞は腸への血流が悪くなっている状態です。組織に血液が届かない状態で数時間経過すると
腸閉塞との関係が明らかではない症状:口臭
口臭の原因が腸閉塞や便秘ではないかと心配される人がいます。腸閉塞や便秘と口臭の関係は明らかではありません。
腸閉塞やイレウスで嘔吐が起きると口臭として感じることはあるかもしれませんが、普段の他の症状を伴わない口臭から腸閉塞やイレウスを疑うことは少ないと思います。
口臭の主な原因は歯肉炎や義歯(入れ歯)の不具合、副鼻腔炎、タバコなどです。他人が気付かない程度でも自分には口臭があるに違いないと思い込んでいる人もいます。
3. 腸閉塞は起きる場所で症状が違う
腸は小腸と大腸に分けることができます。小腸の腸閉塞と大腸の腸閉塞では症状に違った傾向があります。小腸の腸閉塞と大腸の腸閉塞の特徴は以下の通りです。
【小腸の腸閉塞と大腸の腸閉塞の違い】
| 小腸 | 大腸 | |
| 腹痛の強さ | 強い | 弱いこともある |
| 腹痛の場所 | 臍(へそ)の周囲 | 決まっていない |
| 嘔吐 | 必発 | 少ない |
| 糞便様の嘔吐 | ある | まれ |
| 腹部膨満感 | 軽度 | 非常に強い |
もちろん例外はありますが比較してみると両者の症状には多くの違いがあります。小腸の腸閉塞でも口側に近い小腸の閉塞では症状が出やすいことも知られています。
大腸の腸閉塞は小腸の腸閉塞に比べると腹部膨満感以外の症状は軽いことが多いです。しかし完全に大腸の流れが止まると強い症状が出ることがあります。
腸閉塞は小腸、大腸のいずれに起きたとしても早期の治療が大事です。我慢して良いことはありません。思い当たる症状がある場合は早めに医療機関を受診することが大事です。
4. イレウスの症状
イレウスの症状は嘔吐や腹部膨満感などです。腸閉塞と異なり腹痛は比較的軽度であったり感じないこともあります。
イレウスの初期症状
イレウスは腸閉塞とは異なり腹痛は軽度か感じないこともあります。イレウスの場合は腸の動きが止まるので嘔吐や腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)の症状が目立ちます。
腹痛
腸閉塞と違ってイレウスでは腹痛は軽度であるかまたは感じないこともあります。しかしイレウスになって時間が経過し、腸の中がガスや腸液で拡張してくると痛みを自覚することがあります。
吃逆(きつぎゃく)
吃逆はしゃっくりのことです。イレウスが起きると吃逆がよくあらわれます。
イレウスになると腸にガスが溜まり続けます。胃や腸はガスで拡張して大きくなります。拡張した胃や腸は横隔膜を刺激します。横隔膜は死刺激により痙攣することがあります。横隔膜の痙攣が吃逆の原因になります。
腹部膨満(ふくぶぼうまん)
イレウスは腸管が
吐き気・嘔吐
イレウスでは腸管が動いていないので食べ物や胃液や胆汁を含んだ腸液が流れていかなくなります。腸の流れが悪い状態が続くと胃液や腸液の逆流が起きます。逆流は嘔吐となって現れます。イレウスの場合は時間が経つまで吐き気や嘔吐があらわれることは少ないです。
排便・排ガスの停止
イレウスが起こると排便・排ガス(おなら)がなくなることが多いです。イレウスが改善すると排便や排ガスが再開します。排便や排ガスの有無はイレウスの症状や改善したときの目安として使います。排便・排ガスの停止も腸閉塞に比べてイレウスでは軽度なことが多いです。
脱水
イレウスでは脱水が起こります。脱水とは体の水分が不足することです。
イレウスでは主に2つの理由で脱水がおこりやすくなっています。
一つ目の理由は腸から水分の吸収が低下することです。腸は水分の吸収などで大きな役割を果たしています。腸の動きが止まると腸からの水分の吸収が悪くなります。もう一つの理由は嘔吐による水分の喪失です。
イレウスになると脱水を予防するために十分な点滴が必要になります。また電解質という体の中の成分も乱れやすくなるので血液検査などで確認しながら治療します。
脱水の症状は、倦怠感や頭痛、吐き気、めまいなどです。重度な脱水に至ると血圧が危険なほど下がったり臓器障害を招くこともあります。