2017.06.24 | ニュース

大腸がんの手術のあと3年以内に腸閉塞になった人が12.5%

韓国24,645人の追跡

from Annals of surgery

大腸がんの手術のあと3年以内に腸閉塞になった人が12.5%の写真

腹部の手術のあと、腸閉塞がよく問題になります。大腸がんの手術をした人を追跡した研究で、12.5%の人が3年以内に一度は腸閉塞を経験していたことが報告されました。

腸閉塞とは、腸の中を通過するはずの食べ物が何らかの原因で通過できなくなった状態のことです。

大腸がんなどの腹部の手術のあとには腸閉塞に注意が必要とされます。手術直後には、腸の動きが悪くなることによる腸閉塞(麻痺性腸閉塞)がよく起こります。日が経ってからは、腸が周りの組織と癒着することによる腸閉塞(癒着性腸閉塞)が問題になります。

韓国の研究班が、大腸がん(結腸がん)の手術をした人に腸閉塞が起こる割合を調べ、結果を専門誌『Annals of Surgery』に報告しました。

研究班は韓国全国の診療データベースを解析しました。結腸がんに対して結腸切除術を受け、3年以上追跡された患者24,645人を調査対象としました。ここでは癒着性腸閉塞に注目する意味で、手術から30日を過ぎたあとに経鼻胃管または手術を必要とした人の数を調べました。
 

次の結果が得られました。

計3,083人(12.5%)の患者が手術後3年以内に1回以上の術後腸閉塞エピソードを経験した。

手術後30日を過ぎて3年以内に腸閉塞を1回以上経験した人は12.5%でした。

腸閉塞は高齢、男性、開腹手術、手術件数の少ない施設でやや多く発生していました。
 

腸閉塞の件数についての研究を紹介しました。研究の中でも施設によって若干の差があったように、国ごとの医療環境などによっても割合は変わることが考えられます。そのため、韓国の結果が日本にもちょうど当てはまるとは限りません。

ただし、12.5%という高い割合で腸閉塞が起こっていたことは、全世界である程度共通する事実を反映すると考えられます。つまり、大腸がんの手術を経験した人なら誰でも、腸閉塞が起こる可能性を無視できません。施設などによってある程度の差があるとしても、腸閉塞の心配がなくなることはありません。

腸閉塞で出やすい症状には、腹痛、お腹の張りなどがあります。治療として経鼻胃管や手術が有効です。もし異常を感じたときは早めに診察を受けることで、大事に至らせないよう治療することができます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Incidence of Adhesive Bowel Obstruction After Colon Cancer Surgery and its Risk Factors: A Nationwide Claim Study.

Ann Surg. 2017 Apr 19. [Epub ahead of print]

[PMID: 28426477]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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