2017.04.19 | ニュース

大腸内視鏡を1回やれば、17年後まで死亡率が下がっていた

17万人で検証

from Lancet (London, England)

大腸内視鏡を1回やれば、17年後まで死亡率が下がっていたの写真

大腸内視鏡は大腸がんやポリープを発見し、大腸がんによる死亡を防ぐ効果が知られています。1回だけの検査による効果を長期間追跡していた研究から、検査後17年ほどでの結果が報告されました。

1回だけの大腸内視鏡検査肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできないによる長期的な効果が、医学誌『Lancet』に報告されました。

この研究は、1994年から始まり、検査後に大腸がんの発生率と大腸がんによる死亡率が下がるかどうかを長期間追跡したものです。

イギリスで55歳から64歳の男女計170,034人が参加しました。対象者はランダムに2グループに分けられ、S状結腸鏡で1回だけ検査するグループ、検査をしないグループとされました。

S状結腸鏡とは、大腸内視鏡肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできないの一種で、大腸のうち肛門に近い部分だけを観察するものです。ここでは大腸内視鏡と言えばS状結腸鏡を指すことにします。

 

追跡期間は半数の人で17.1年を超えていました。次の結果が得られました。

ITT解析において、対照群に比べて介入群で大腸がんの発生率は26%減少し(ハザード比0.74、95%信頼区間0.70-0.80、P<0.0001)、大腸がんによる死亡率は30%減少した(0.70、0.62-0.79、P<0.0001)。

大腸内視鏡検査をしなかったグループに比べて、大腸内視鏡検査を行ったグループでは、大腸がんの発生率が26%低く、大腸がんによる死亡率が30%低くなっていました。

研究班は「1回のS状結腸鏡は大腸がんの診断および死亡に対してかなりの防御効果を現し続け、防御効果は少なくとも17年間続いていた」と結論しています。

 

大腸内視鏡検査による長期間の予防効果の研究を紹介しました。大腸内視鏡はすでに大腸がん対策の重要な方法として認められていますが、17年という長期的なデータも得られたことで、さらに効果を予測しやすくなります。

 

大腸内視鏡検査は比較的負担が大きい検査で、ごくまれに出血や穿孔穴が開くこと。例えば胃や腸の粘膜にできた潰瘍が悪化すると、やがて穴が空いて穿孔に至る(腸に穴が開く)などを起こすリスクもあるため、異常がない人が短期間に繰り返し受けることは勧められていません。

たとえば、アメリカがん協会が2017年に出した推奨では、平均的なリスクを持つ50歳以上の男女が5年に1回S状結腸鏡の検査を受けることが一例として勧められています。同じ推奨の中で、S状結腸鏡の代わりに毎年便潜血検査を受けることも勧められるとされています。

日本で行われている検診では便潜血検査が一般的です。便潜血検査は大腸内視鏡検査よりもずっと簡単にできて負担の小さい検査です。便潜血検査の結果によってさらに検査を進めることで、負担を抑えつつ効率的に大腸がんを発見できます。

検査はすればするほどいいものではありません。たとえば大腸内視鏡検査を行った直後の人が便潜血検査をしても情報はあまり加わりません。特に大腸内視鏡検査のように負担が大きい検査については、穿孔などが起こる場合も含めた全体として、どの程度の効果を得られたかを実際のデータで確かめることが大切です。

 

上で紹介したような長期のデータがあることで、一生にわたる期間の中でいつどの検査を受けるかを計画するための参考とすることができます。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Long term effects of once-only flexible sigmoidoscopy screening after 17 years of follow-up: the UK Flexible Sigmoidoscopy Screening randomised controlled trial.

Lancet. 2017 Apr 1.

[PMID: 28236467]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]