2015.09.24 | ニュース

大腸がんの検査、便潜血がなければ本当に安心なのか?

755人の検査で陰性的中率100%
from Gut
大腸がんの検査、便潜血がなければ本当に安心なのか?の写真
(C) science photo - Fotolia.com

健康と思われる人から大腸がんを見つけ出すための検査(スクリーニング)として、便潜血の検査がよく行われます。この検査の精度を調べる研究が行われました。

◆腸の症状がある人が対象

研究班は、腸の症状がある患者を対象として、詳しい検査の前の便潜血検査の結果と、その後の大腸内視鏡検査の結果を調べました。検査結果から、便潜血でどの程度大腸がんなどの病気を見分けられているかを計算しました。

 

◆陰性の人は100%的中

次の結果が得られました。

755人の患者(54.6%が女性、年齢の中央値64歳、範囲16歳から90歳、四分位間範囲52歳から73歳)が検体を提供し、かつ結腸検査を完了した。103人の患者に有意な大腸疾患があった。便ヘモグロビンによる陰性的中率は、結腸直腸がんについて100%、高リスク腺腫について97.8%、過敏性腸症候群について98.4%だった。

検査結果が得られた755人について、便潜血検査のひとつである便ヘモグロビンの検査で陰性とされた患者のうち、大腸がんがあった人はいませんでした。便ヘモグロビン陰性の人のうち、高リスク腺腫がなかった人は97.8%、過敏性腸症候群がなかった人は98.4%でした。

研究班は「プライマリケアにおいて、便ヘモグロビンが検出されないことは有意な大腸疾患を除外するためのよい基準であり、精査が必要な人を決める助けになりうる」と結論しています。

 

この結果は、便潜血が陽性のときに大腸がんがあるかどうかを強く示したものではありません。過敏性腸症候群などでも陽性の結果が出たことが示されています。便潜血が陰性なら大腸がんが見逃されていることは少なそうだという結果であり、特にがんが疑われる要素がないときに、便潜血検査の信頼度の目安としてひとつの参考になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Faecal haemoglobin and faecal calprotectin as indicators of bowel disease in patients presenting to primary care with bowel symptoms.

Gut. 2015 Aug 20 [Epub ahead of print]

[PMID: 26294695]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。