2017.05.09 | ニュース

便潜血で陽性!大腸がんの精密検査はいつまでに行く?

大腸内視鏡検査を受けた7万人の統計
from JAMA
便潜血で陽性!大腸がんの精密検査はいつまでに行く?の写真
(c) pathdoc - fotolia.com

便潜血検査は大腸がんを探し出すために有効です。検査陽性だった場合、大腸内視鏡などの検査に進むことで、診断につなげられます。便潜血のあと大腸内視鏡検査を受けるまでの期間によって結果に違いがあるかが検討されました。

アメリカの研究班が、便潜血で陽性の結果が出たあと大腸内視鏡検査を受けた人の統計をもとに、大腸内視鏡検査までの間隔によって大腸がんが見つかる数などに違いがあるかを調べ、結果を医学誌『JAMA』に報告しました。

 

便潜血検査は大腸がんを探し出すために高い性能を持つことがわかっています。日本でも、健康な人を対象としたがん検診の中で便潜血検査が広く使われています。

便潜血検査は、多くの対象者の中から大腸がんの疑いがある人を見つけ出します。もともと健康で便潜血検査が陰性ならば、その時点で大腸がんが見逃されている確率は非常に低いと言えます。

一方、便潜血検査で陽性の結果が出た人でも、実際には大腸がんがない人が大多数です。便潜血検査で陽性だった場合は大腸内視鏡などによって診断を確かめるのが普通です。もし実際に大腸がんがあるなら、早めに検査を進めて治療に移るのが望ましいと考えられます。

 

ここで紹介する研究は、対象施設で2010年から2014年の間に検査を受けた人のデータを集計したものです。対象年齢は50歳から70歳と決められました。

便潜血検査で陽性の結果が出てから大腸内視鏡検査までの期間ごとに分けて、大腸がんが見つかった数と、大腸がんの中でもステージIIIまたはステージIVまで進行したものが見つかった数が集計されました。

次の結果が得られました。

便免疫化学試験で陽性の結果があった70,124人(年齢の中央値61歳、四分位間範囲55-67、男性が52.7%)の患者のうち、何らかの結腸直腸がんは2,191例、進行したステージの病変は601例が診断された。

便潜血検査で陽性だった70,124人のうち、大腸がんが見つかった人は2,191人、進行したがんが見つかった人は601人でした。

便潜血検査から大腸内視鏡検査までの間隔で分けると表のようになりました。

検査の間隔 大腸がん(1000人あたり) 進行したがん(1000人あたり)
8-30日 30人 8人
2か月以内 28人 7人
3か月以内 31人 7人
4-6か月 31人 9人
7-9か月 43人 13人
10-12か月 49人 19人
12か月より後 76人 31人


便潜血の結果が出たあと8日から30日で大腸内視鏡検査を受けた人を基準にすると、9か月めまでに大腸内視鏡検査を受けた人では、大腸がんの発生数にも、進行したがんの発生数にも統計的な違いがありませんでした。7-9か月では若干の差があるようにも見えますが、統計的には偶然と見ても説明がつく範囲です。

10-12か月で大腸内視鏡検査を受けた人と、12か月より後で大腸内視鏡検査を受けた人では、大腸がんの発生数も、進行したがんの発生数も多くなっていました

 

便潜血検査から大腸内視鏡検査までが10か月以上だと大腸がんが多く見つかったという研究結果を紹介しました。

この結果は何を意味するのでしょうか?

 

便潜血検査は、大腸がんで陽性になるだけでなく、大腸ポリープがあっても陽性になることがあります。大腸ポリープは将来がんに変わる可能性があります。もし「がんになる直前」の大腸ポリープによって便潜血陽性の結果が出ていたとすれば、10か月程度でがんに変化することがないとは言えません。

 

しかし、この説明が当てはまっているかどうかは確かではありません。

紹介した研究が掲載された『JAMA』の同じ号に解説記事が載っています。解説によれば、便潜血検査のあと大腸内視鏡検査を受けたくないと思った人は検査を遅らせる可能性があります。そして、そのまま大腸内視鏡検査を受けずに過ごしているかもしれませんし、何らかの症状を感じたことで大腸内視鏡検査を受けるかもしれません。

早期の大腸がんが症状を現すことは多くはないですが、10か月以上経ってから大腸内視鏡検査を受けた人の中に症状がある人が多かったとすれば、そのうちで大腸がんが見つかる確率は上がるかもしれません。

 

研究結果の解釈によらず、検査の間隔をあまり長く空けないほうがいいのは、そのまま忘れてしまわないようにという面からも言えるでしょう。

便潜血検査は精密検査とセットになっていることで効果を発揮するので、もし陽性でもほかの検査は受けたくないという意志が強いなら、大腸がんの早期発見・早期治療という観点からは、便潜血検査を受けないほうが合理的です。便潜血検査を受ける前に、陽性なら精密検査があること、精密検査の結果大腸がんが見つかって治療生活が始まる可能性もあることなどを考えに入れておいてください。

そのうえで紹介した結果を改めて見ると、便潜血検査から9か月までに大腸内視鏡検査を受ければ、大腸がんの発生数には差がなかったとも言えます。忙しい生活の中で精密検査の予定をすぐには立てられない人もいますが、数か月程度伸ばしているうちに大腸がんが新しく発生する心配は要らないでしょう。少し遅くなっても精密検査は忘れないようにして、賢く検査を利用してください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Association Between Time to Colonoscopy After a Positive Fecal Test Result and Risk of Colorectal Cancer and Cancer Stage at Diagnosis.

JAMA. 2017 Apr 25.

http://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2620087

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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