かびんせいちょうしょうこうぐん

過敏性腸症候群

検査では異常が見られないが、お腹に不快感・便秘・下痢などが続く状態

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13人の医師がチェック 126回の改訂 最終更新: 2017.07.21

過敏性腸症候群の基礎知識

POINT過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群は検査では異常が見られないがお腹に不快感・便秘・下痢などが続く状態の病気です。腹痛などの症状は排便によって軽快するのが特徴的です。また、ストレスで症状が悪化することが多いです。大腸がん・憩室症(腸憩室)・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)などで似たような症状が出るため検査を行って原因をしっかりと調べる必要があります。 症状や身体診察に加えて、血液検査・画像検査・内視鏡を用いて診断します。治療には日常生活の改善やストレス対処などの環境整備を行いますが、症状が強い場合やなかなか改善しない場合は薬物を用いることもあります。過敏性腸症候群が心配な人や治療したい人は、消化器内科・総合内科・心療内科を受診して下さい。

過敏性腸症候群について

  • 検査で異常が見られないが、お腹の不快感や便秘、下痢が続く状態
    • 腹痛などは排便によって軽快するのが特徴的
  • 日本人では人口の10%程度に過敏性腸症候群(またはそれに類する症状)が見られる
    • 20-40歳代の若い人に多い
    • 日本を含む先進国に多い病気である
  • 詳細な原因は研究途中ではあるが、何らかの免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患異常が関わっているのではないかと考えられている
    • ストレスは症状を悪化させる要因の1つである
  • 症状の出方に応じて、以下の3つに分類される
    • 便秘
    • 下痢型
    • 交代型(便秘と下痢を繰り返すタイプ)

過敏性腸症候群の症状

  • 主な症状は便通の異常
    • 下痢
    • 便秘
    • ころころした便
    • 腹痛:排便によって改善することが多い
    • お腹が鳴りやすい 
    • おならが出やすい
  • その他に以下の様な症状が起こる
    • 頭痛
    • だるさ
    • 不安
    • 不眠
    • 発汗 

過敏性腸症候群の検査・診断

  • レントゲンX線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査検査(X線X線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査写真)やCTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査検査、大腸内視鏡検査肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできないといった検査では異常が見つからないことが特徴である
  • 日々の症状の出方を詳しく確認し、検査で他の病気を示すような異常が見られないことと合わせて診断される
  • 診断基準:
    • 過去3か月の間に1か月あたり3日以上の腹痛や腹部不快感が見られること
    • 上記に加えて以下のうち2項目以上該当すること
      ・排便することによって腹痛などの症状が改善する
      発症症状や病気が発生する、または発生し始めること時に排便回数の変化がある
      ・発症時に便形状(外観)の変化がある
  • 似たような症状を示す他の病気がないことを確認する
    • 腸ポリープや大腸がん
    • 憩室症(腸憩室)
    • 炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出る性腸疾患(潰瘍性大腸炎クローン病
      潰瘍性大腸炎もストレスにより増悪するので鑑別似た別の病気と区別すること。また、その病気以外に可能性のある病気そのもののことすることが重要(潰瘍性大腸炎血便主に大腸からの出血が原因で、赤い血液が付着した便が出ること。血液量が少ないと、検査をしない限り肉眼では分からないこともあるがみられる)

過敏性腸症候群の治療法

  • 日常の生活、食事、ストレス環境で改善できるところがあれば、その取り組みが最も重要
    • 不規則な食事や睡眠を改善する
    • 偏った食事内容を避ける(脂肪食を避ける、食物繊維をきちんととるなど)
    • 適度な運動を行う
    • ストレスを発散する時間を作る   など
  • 必要に応じて薬物療法も検討する
    • 便秘型に対して、下剤・緩下剤
    • 下痢型に対して、止瀉薬(下痢止め)
    • ポリアクリル樹脂の経口剤は便秘型・下痢型の両者に用いられ、便をほどよい硬さにする
    • 腹痛が強い場合には、抗コリン薬で胃腸のけいれんを抑える
    • 腹痛には精神的、心理的な問題も絡んでいることがあり、そのような場合には抗不安薬向精神薬の一種で、睡眠薬としても使われる。バルビツール酸系、ベンゾジゼピン系、非ベンゾジゼピン系などがあるや抗うつ薬が効果的である
  • 「命に関わることはないが、経過が長く完全に治ることが少ない」というこの病気の性質を理解することが大事
    • 症状が長らく続き精神的ストレスが大きくなっているような場合は、精神科や心療内科の専門外来への受診も考慮される

過敏性腸症候群に関連する治療薬

ポリアクリル樹脂経口薬(過敏性腸症候群治療薬)

  • 消化管内で水分を吸収し、消化管の内容物の動きを調節することで下痢や便秘などの症状を改善する薬
    • 過敏性腸症候群は下痢、便秘、腹痛などが続き、ストレスなどによっても悪化する現代病の一つである
    • ポリアクリル樹脂という物質は水分を吸収し容積を大きくする性質をもつ
    • 本剤はポリアクリル樹脂の経口薬であり、下痢時には余分な水分を吸収し、容積が大きくなることで便秘時には排便を促す
  • 本剤の服用は十分量(約200ml)の水とともに服用する
ポリアクリル樹脂経口薬(過敏性腸症候群治療薬)についてもっと詳しく

植物ステロール製剤(ガンマオリザノール)

  • コレステロールや脂質の低下作用や脳内の機能改善作用により脂質異常症や心身症による症状を改善する薬
    • ガンマオリザノールは植物ステロールという物質に分類されコメ胚芽や米ぬかなどに多いポリフェノールの一種
    • ガンマオリザノールはコレステロール吸収低下作用や脂質低下作用などをもつ
    • ガンマオリザノールは脳内ノルアドレナリン量の増加作用などにより脳の機能改善作用をもつ
    • 本剤はガンマオリザノールの製剤であり脂質異常症や更年期障害、過敏性腸症候群などに使用される
植物ステロール製剤(ガンマオリザノール)についてもっと詳しく

整腸剤

  • 腸内環境を整えることで下痢、便秘、腹部膨満などの消化器症状を改善する薬
    • 腸内には多くの細菌がいてその集団が何らかの原因で異常をきたすと下痢や便秘などの症状があらわれる場合がある
    • 本剤は乳酸菌などを含む製剤で腸内細菌の環境を整える作用をあらわす
  • 本剤の中には抗菌薬投与時に使用される製剤(抗菌薬耐性乳酸菌製剤など)もある
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