2016.05.16 | ニュース

過敏性腸症候群のために考えられた「低FODMAP食」は効くのか?

40人で3週間の変化を比較
from Gut
過敏性腸症候群のために考えられた「低FODMAP食」は効くのか?の写真
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過敏性腸症候群は、腸に炎症のような目に見える異常がないにもかかわらず、ストレスを受けたときなどに下痢や便秘が起こってしまう状態です。食事療法として低FODMAP食という方法があります。低FODMAP食の効果を調べた研究を紹介します。

◆低FODMAP食とは?

FODMAPとは、 Fermentable Oligosaccharides(発酵性オリゴ糖)、Disaccharides(二糖類)、Monosaccharides(単糖類)、And Polyols(ポリオール)の頭文字をつなげた言葉です。これらの物質は普通の食べ物に含まれている炭水化物の一部なのですが、違う種類の炭水化物と比べても腸の症状を引き起こしやすいという考えがあり、その考えをもとにFODMAPが少ない低FODMAP食が考案されました。

FODMAPが多い食品にはリンゴ、牛乳、小麦、大豆、桃など多くのものがあり、低FODMAP食ではこれらを制限します。

 

◆低FODMAP食と高FODMAP食で腸内フローラを比較

この研究は、過敏性腸症候群と診断された40人の患者を対象として、低FODMAP食で症状が軽くなるかどうか、また低FODMAP食によって腸内細菌の活動に変化があるかを調べています。

対象者はランダムにふたつのグループに分けられ、グループごとに違う食事を割り当てられました。一方では低FODMAP食、もう一方ではFODMAPが多い高FODMAP食を、それぞれ3週間食べることとされました。

 

◆過敏性腸症候群の症状が軽くなった

次の結果が得られました。

過敏性腸症候群症状重症度スコアは低FODMAP食群で減少したが(P<0.001)、高FODMAP食群では減少しなかった。

低FODMAP食は放線菌の量と多様性を増加させ、高FODMAP食はガス消費に関わる細菌の相対的な豊富さを減少させた。

過敏性腸症候群の症状の重さを判定したスコアが、低FODMAP食のグループでは改善しました。また、低FODMAP食のグループでは放線菌が増えているなど、食事によって腸内細菌の変化が見られました。

 

過敏性腸症候群は非常に多くの人に起こっています。検査でも異常が見つからない状態なので、原因はわかっていませんが、食事や生活習慣の改善のほか、薬で症状を抑える治療もあります。MEDLEYニュースで以前に紹介した研究では、低FODMAP食と従来の食事療法のどちらでも効果があったという結果が出ています。

今回紹介したデータから食事と症状の関係がわかってくることで、いずれはより効果的な食事療法に結び付くかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

FODMAPs alter symptoms and the metabolome of patients with IBS: a randomised controlled trial.

Gut. 2016 Mar 14. [Epub ahead of print]

[PMID: 26976734]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。