2015.07.09 | ニュース

便秘型過敏性腸症候群の症状が漢方薬で軽くなった

オーストラリア125人のランダム化試験

from Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association

便秘型過敏性腸症候群の症状が漢方薬で軽くなったの写真

気持ちが緊張したときやストレスを受けたときに便秘や下痢の症状が起こる過敏性腸症候群は、診断されていない人も含めると非常に多いと言われています。生活習慣の改善などで症状が軽くなる場合もありますが、十分な効果が得られない場合、薬物治療が検討されます。オーストラリアで便秘が多いタイプの患者に漢方薬を試した研究から、漢方薬に症状を改善する効果が見られたことが報告されました。

◆125人を漢方薬または偽薬にランダム化

研究班は便秘型過敏性腸症候群の症状がある人125人を対象として、次のように試験を行いました。

参加者は8週間、標準化された漢方薬成分7種類の抽出物を1日2回5カプセル与えられるグループ(61人)または偽薬を与えられるグループ(対照群、64人)にランダムに割り付けられた。

参加者はランダムに2つのグループに振り分けられ、一方では漢方薬を飲み、もう一方では偽薬を飲むこととされました。

 

◆漢方薬で症状改善

試験から次の結果が得られました。

8週間にわたって、漢方薬を使った対象者(50人)は、対照群(58人)に比べて統計的に(per protocol解析において)、かつ臨床的に有意な改善が見られた。漢方薬を使った対象者のより多くの割合が適切な症状緩和があったと報告した(P=0.010)。

漢方薬を使った人は、偽薬を飲んだ人よりも便秘の症状が軽くなるなど、統計的に全体として症状が改善していました

 

過敏性腸症候群は病気として認識されていないことも多いと言われています。心当たりのある方は医師に相談してみるとよいかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Efficacy of a Chinese Herbal Medicine in Providing Adequate Relief of Constipation-predominant Irritable Bowel Syndrome: A Randomized Controlled Trial.

Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Jun 29 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26133902]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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