かいようせいだいちょうえん

潰瘍性大腸炎

免疫の異常により大腸の粘膜に炎症が起こり下痢や血便を起こす原因不明の病気。10代から30代で発病し長年続くことが多く、大腸がんなどを伴うことがある

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9人の医師がチェック 146回の改訂 最終更新: 2017.05.16

潰瘍性大腸炎の基礎知識

潰瘍性大腸炎について

  • 炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るによって大腸の内側の粘膜が荒れる病気
    • クローン病とともに、炎症性腸疾患(IBD)の代表的な病気である
  • 原因は免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患の異常で、自身の白血球血液の中にある血球の一種。免疫を担当しており、病原体が体内に入って来た時に、それと戦う役割を担うが大腸の粘膜を攻撃してしまうことによる(自己免疫疾患本来は外敵を倒すために働くはずの免疫が、何らかの異常によって自分の体を攻撃してしまう病気の総称の一種)
    • 免疫に異常が起こる原因は不明
    • 炎症が強いときと弱いときの波があることが特徴で、症状も良くなったり悪くなったりを繰り返す
  • 主に大腸に炎症が起こる
    • 口や肛門にまで広がることは少ない(クローン病との違い)
  • 原発性硬化性胆管炎をともなうことがある
    • 原発性硬化性胆管炎の症状はだるさ・かゆみ・黄疸ビリルビンという物質が体内に溜まることで、皮膚や白眼などが黄色くなった状態。肝臓の異常で起こることが多いが、新生児に生じるものは異常ではないなど
  • まれに大腸が拡張して便を送り出せなくなる状態を引き起こす(中毒性巨大結腸症)
    • 大腸破裂などにつながることがあり、緊急治療が必要
  • 炎症が長年続いた場所に大腸がんが発生することがある
  • 日本には17万人以上の患者さんがいる
    • 10代から30代で発病することが多い
    • 男女で大きな差はない
    • 死因に結びつくことは少ない
  • 難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)である

潰瘍性大腸炎の症状

  • 主な症状
    • 下痢
      ・下痢には血が混じりやすい
      ・重症になると、排便回数増加(1日6回以上)・発熱・血便主に大腸からの出血が原因で、赤い血液が付着した便が出ること。血液量が少ないと、検査をしない限り肉眼では分からないこともある頻脈脈が早い状態(100回/分以上とされることが多い)。運動や緊張が原因の、病的でないものも含まれる貧血炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出る反応(赤沈赤血球沈降速度の略。体内の炎症の程度を測定するための検査で、採血した血液を用いて測定する30mm/h以上)などが起こる
    • 腹痛
    • 栄養を十分に吸収できず、やせてしまう
    • 血便が長期間続くと貧血の原因となる
  • まれにある症状
    • 関節の痛み
    • 皮膚が化細菌などに感染すると、免疫を担当する細胞(白血球)が細菌と戦うが、その結果として死んだ細胞や細菌が集まったものが膿であるして壊死ある部位の細胞が死んでしまうこと。多くの場合、血管が詰まったり、つぶれたりして、血液が流れなくなってしまうことが原因となるする(壊疽性膿皮症)
    • 皮膚に赤く硬い固まりができる(結節性紅斑

潰瘍性大腸炎の検査・診断

  • 血液検査
    • 炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るの程度を確認する
  • 便検査
    • 便に血液がまじっていないかを調べる
    • わずかな血便主に大腸からの出血が原因で、赤い血液が付着した便が出ること。血液量が少ないと、検査をしない限り肉眼では分からないこともあるの場合、目で見ても血液が混じっているかが分からないため、検査をすることで早期に見つけることが可能
  • 下部消化管造影検査肛門から造影剤を注入して、X線(レントゲン)で大腸の状態を調べる検査大腸カメラ肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできない
    • 大腸の炎症の有無や炎症の起こっている場所などを調べる
    • 炎症は大腸の壁の浅い層にとどまることが多い
    • 炎症は連続して広がり、離れた2か所に現れることは少ない
    • 粘膜の血管が見えなくなる(血管透見像消失)
  • 炎症の範囲が広い場合や発症症状や病気が発生する、または発生し始めることからの期間が長くなると無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある化のリスクがあるため定期的な検査が必要

潰瘍性大腸炎の治療法

  • 潰瘍性大腸炎を根治させる治療法は見つかっていない
  • 多くの場合は、免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患を抑える薬などにより、炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを鎮める治療を行う
    • 5-ASA製剤(サラゾスルファピリジン、メサラジン):商品名ペンタサなど
      ・比較的軽症で使われることが多い
    • 副腎皮質ホルモン副腎皮質で作られるホルモンで、ステロイドホルモンとも呼ばれる。コルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンの3種類があるステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている):プレドニゾロン(商品名プレドニン)など
    • アザチオプリン:商品名イムラン、アザニン
    • シクロスポリン:商品名サンディミュン、ネオーラル
    • タクロリムス:商品名プログラフ、グラセプター
    • 6-メルカプトプリン(6-MP):商品名ロイケリン
    • 抗TNF-α抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりする:インフリキシマブ(商品名レミケード)、アダリムマブ(商品名ヒュミラ)
      ・ほかの薬で十分な効果が得られない場合に使われる
  • 免疫を抑える治療では感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称などに注意が必要
  • 症状が非常に重い場合や、薬が効きにくい場合、穿孔穴が開くこと。例えば胃や腸の粘膜にできた潰瘍が悪化すると、やがて穴が空いて穿孔に至るが起きているような場合には、手術で大腸を切除する
    • 以前は大腸を切除して人工肛門を作る手術が主流であった
    • 最近では肛門の機能を残す手術も多く行われている
  • 主な術式
    • 大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術
    • 大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術
    • 結腸全摘・回腸直腸吻合術
    • 大腸全摘・回腸人工肛門造設術
    • 結腸全摘・回腸人工肛門造設術
  • 血球成分除去療法(白血球血液の中にある血球の一種。免疫を担当しており、病原体が体内に入って来た時に、それと戦う役割を担う除去療法)
    • ビーズによる顆粒球吸着療法(GCAP)
    • フィルターによる方法(LCAP)
  • 「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」により治療指針などが提示されている
  • 多数の新薬候補が開発中である
    • 抗TNF-α抗体のゴリムマブ(商品名シンポニー)が承認申請中
  • 有効な食事療法は知られていない
    • 以下の治療法に効果が見られたとする報告がある(広く認められるには至っていない)
      ・クルクミン(ウコンの成分)
      ・アロエベラのジェル
      ・小麦
      ・サンビロート(ハーブの一種)の抽出物
      ・錫類散(漢方薬)
      ・ボスウェリア・セラータの樹脂
      ・インドオオバコの種
      ・豚鞭虫(寄生虫の一種)の卵を飲む
    • 以下の食品やサプリメントは以前に研究された結果、効果が見られなかったと報告されている
      ・プロバイオティクス
      ・魚油(フィッシュオイル)

潰瘍性大腸炎に関連する治療薬

炎症性腸疾患治療薬(5-アミノサリチル酸製剤:5-ASA製剤)

  • 炎症性腸疾患における腸などの炎症を抑え、腹痛、下痢、下血などの症状を改善する薬
    • 潰瘍性大腸炎やクローン病は炎症性腸疾患であり、免疫異常により腹痛、下痢などの症状があらわれる
    • 炎症性腸疾患は腸の粘膜細胞が攻撃を受けて潰瘍などが生じるが、クローン病では腸の他に、関節、目、肛門などでも炎症などがおこる場合がある
    • 本剤は腸などにおける炎症を抑える作用をあらわす
  • 本剤は体内で主にメサラジン(5-アミノサリチル酸:5-ASA)の作用により、抗炎症作用をあらわすとされる
炎症性腸疾患治療薬(5-アミノサリチル酸製剤:5-ASA製剤)についてもっと詳しく

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