かいようせいだいちょうえん
潰瘍性大腸炎
免疫の異常により大腸の粘膜に炎症が起こり下痢や血便を起こす原因不明の病気。10代から30代で発病し長年続くことが多く、大腸がんなどの原因となることがある
9人の医師がチェック 146回の改訂 最終更新: 2018.02.09

潰瘍性大腸炎の基礎知識

POINT 潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は免疫の異常によって大腸の粘膜に炎症が起こる病気です。20代前後の若い人に起こることが多く、大腸がんを伴うことがあります。主な症状は腹痛・下痢・血便・関節痛・皮膚の変化などになります。 症状や身体診察に加えて、血液検査・便検査・下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を用いて診断します。治療には免疫を抑える薬(ステロイド薬、免疫抑制剤など)が用いられますが、症状が強く薬だけではコントロールが難しい場合や広範囲の大腸で炎症が起こっている場合には手術が行われることもあります。潰瘍性大腸炎が心配な人や治療したい人は、消化器内科や消化器外科を受診して下さい。

潰瘍性大腸炎について

  • 炎症によって大腸の内側の粘膜が荒れる病気
    • クローン病とともに、炎症性腸疾患(IBD)の代表的な病気である
  • 原因は免疫の異常で、自身の白血球が大腸の粘膜を攻撃してしまうことによる(自己免疫疾患の一種)
    • 免疫に異常が起こる原因は不明
    • 炎症が強いときと弱いときの波があることが特徴で、症状も良くなったり悪くなったりを繰り返す
  • 主に大腸に炎症が起こる
    • 口や肛門にまで広がることは少ない(クローン病との違い)
  • 原発性硬化性胆管炎を伴うことがある
  • まれに大腸が拡張して便を送り出せなくなる状態を引き起こす(中毒性巨大結腸症)
    • 大腸破裂などにつながることがある
    • 症状が重い(劇症型)ときには手術により結腸を切除する
  • 炎症が長年続いた場所に大腸がんが発生することがある
  • 日本には17万人以上の患者がいる
    • 10代から30代で発病することが多い
    • 男女で大きな差はない
    • 死因に結びつくことは少ない
  • 難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)である
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潰瘍性大腸炎の症状

  • 主な症状
    • 下痢
      ・下痢には血が混じりやすい
      ・重症になると、排便回数増加(1日6回以上)・発熱・血便頻脈貧血炎症反応(赤沈30mm/h以上)などが起こる
    • 腹痛
    • 栄養を十分に吸収できず、痩せてしまう
    • 血便が長期間続くと貧血の原因となる
  • まれにある症状
    • 関節の痛み
    • 皮膚が化して壊死する(壊疽性膿皮症)
    • 皮膚に赤く硬い固まりができる(結節性紅斑
症状の詳細

潰瘍性大腸炎の検査・診断

  • 血液検査
    • 炎症の程度を確認する
  • 便検査
    • 便に血液が混じっていないかを調べる
    • わずかな血便の場合、目で見ても血液が混じっているかが分からないため、検査をすることで早期に見つけることが可能
  • 下部消化管造影検査大腸カメラ
    • 大腸の炎症の有無や炎症の起こっている場所などを調べる
    • 炎症は大腸の壁の浅い層に留まることが多い
    • 炎症は連続して広がり、離れた2か所に現れることは少ない
    • 粘膜の血管が見えなくなる(血管透見像消失)
  • 炎症の範囲が広い場合や発症からの期間が長くなると化のリスクがあるため定期的な検査が必要
検査・診断の詳細

潰瘍性大腸炎の治療法

  • 潰瘍性大腸炎を根治させる治療法は見つかっていない
  • 多くの場合は、免疫を抑える薬などにより、炎症を鎮める治療を行う
    • 5-ASA製剤(サラゾスルファピリジン、メサラジン):商品名ペンタサなど
      ・比較的軽症で使われることが多い
    • 副腎皮質ホルモンステロイド):プレドニゾロン(商品名プレドニン)など
    • アザチオプリン:商品名イムラン、アザニン
    • シクロスポリン:商品名サンディミュン、ネオーラル
    • タクロリムス:商品名プログラフ、グラセプター
    • 6-メルカプトプリン(6-MP):商品名ロイケリン
    • TNF阻害薬:インフリキシマブ(商品名レミケード)、アダリムマブ(商品名ヒュミラ)、ゴリムマブ(商品名シンポニー)
      ・他の薬で十分な効果が得られない場合に使われる
  • 免疫を抑える治療を行っている間は感染症などに注意が必要
  • 症状が非常に重い場合や、薬が効きにくい場合、穿孔が起きているような場合には、手術で大腸を切除する
    • 以前は大腸を切除して人工肛門を作る手術が主流であった
    • 最近では肛門の機能を残す手術も多く行われている
  • 主な術式
    • 大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術
    • 大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術
    • 結腸全摘・回腸直腸吻合術
    • 大腸全摘・回腸人工肛門造設術
    • 結腸全摘・回腸人工肛門造設術
  • 血球成分除去療法(白血球除去療法)
    • ビーズによる顆粒球吸着療法(GCAP)
    • フィルターによる方法(LCAP
  • 「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」により治療指針などが提示されている
  • 有効な食事療法は知られていない
    • 以下の治療法に効果が見られたとする報告がある(広く認められるには至っていない)
      ・クルクミン(ウコンの成分)
      ・アロエベラのジェル
      ・小麦
      ・サンビロート(ハーブの一種)の抽出物
      ・錫類散(漢方薬)
      ・ボスウェリア・セラータの樹脂
      ・インドオオバコの種
      ・豚鞭虫(寄生虫の一種)の卵を飲む
    • 以下の食品やサプリメントは以前に研究された結果、効果が見られなかったと報告されている
      ・プロバイオティクス
      ・魚油(フィッシュオイル)
治療法の詳細

潰瘍性大腸炎に関連する治療薬

炎症性腸疾患治療薬(5-アミノサリチル酸製剤:5-ASA製剤)

  • 炎症性腸疾患における腸などの炎症を抑え、腹痛、下痢、下血などの症状を改善する薬
    • 潰瘍性大腸炎やクローン病は炎症性腸疾患であり、免疫異常により腹痛、下痢などの症状があらわれる
    • 炎症性腸疾患は腸の粘膜細胞が攻撃を受けて潰瘍などが生じるが、クローン病では腸の他に、関節、目、肛門などでも炎症などがおこる場合がある
    • 本剤は腸などにおける炎症を抑える作用をあらわす
  • 本剤は体内で主にメサラジン(5-アミノサリチル酸:5-ASA)の作用により、抗炎症作用をあらわすとされる
炎症性腸疾患治療薬(5-アミノサリチル酸製剤:5-ASA製剤)についてもっと詳しく

潰瘍性大腸炎のタグ

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