きょさいぼうせいどうみゃくえん(そくとうどうみゃくえん)

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)

大動脈や比較的太い動脈に炎症が起こる病気。血管炎の一種。側頭動脈に起こることが多い。

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9人の医師がチェック 80回の改訂 最終更新: 2017.10.09

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の基礎知識

POINT巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)とは

大動脈や側頭動脈を代表する太い血管に炎症が起こる病気です。50歳以上の方に多く、免疫の異常が原因と考えられています。顎や眼を栄養とする血管も障害されるため、噛むときに顎が疲れやすい、ものの見え方がおかしいといったことを自覚することもあります。頭痛、発熱、体重減少も代表的な症状です。診断のためには血液検査、CT、MRI、シンチグラフィー、PET-CT、超音波検査、側頭動脈生検などを行います。治療薬としてはステロイド、免疫抑制薬などの薬剤を使用します。生物学的製剤(アクテムラ)も有効であると報告されています。気になる方はリウマチ内科、膠原病内科を受診してください。

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)について

  • 大動脈心臓の左心室から出る人体最大の血管。血液を全身に送り出す大元の血管や比較的太い動脈に炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが起こる病気
    • こめかみの辺りにある側頭動脈に炎症が起きることが多いため、以前は側頭動脈炎とも呼ばれていた
    • 血管に炎症がおきる血管炎の一種
  • 頻度
    • 50歳以上で発症症状や病気が発生する、または発生し始めることするケースが多い
  • リウマチ性多発筋痛症と同時に発症することがある

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の症状

  • 全身症状として、発熱や全身のだるさが出る
    • どの血管に炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが起こるかで症状が変わってくる
    • 側頭動脈が障害されると、こめかみのあたりの頭痛や、かむ動作であごが痛くなったりする
    • 眼動脈が障害されると、目に十分な血液が届かなくなって物が見えづらくなったり、場合によっては失明することもある
  • リウマチ性多発筋痛症合併ある病気や治療によって、他の病気や病態が引き起こされることすると、肩や二の腕、太ももの痛みが出る

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の検査・診断

  • 血液検査:炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが起こっているかなどを調べる
    • CRP血液検査の項目の一つで、体内の炎症の程度を表す指標の一つ。感染症、腫瘍、外傷など、様々な原因で数値が上昇する赤沈赤血球沈降速度の略。体内の炎症の程度を測定するための検査で、採血した血液を用いて測定するの上昇があるか調べる
  • 画像検査:血管の状態や炎症が起きていそうかどうかなどを調べる
    • 超音波検査空気の細かな振動である超音波を使った画像検査。体の奥の血管や臓器を観察することができる
    • CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査検査
    • MRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査検査
    • 高額な検査となるがGaシンチグラフィー放射線を出す物質を使って、臓器の機能や、病気の影響が体のどの部分に起こっているかを確認する検査PET-CT検査放射線を発する物質(放射性物質)を体内に入れて、特定の臓器や腫瘍にそれが集まる性質を利用して病気の有無や位置を調べる検査も有用であるとされる
  • 組織診病気を詳しく調べるために、体や病変の一部を切除して顕微鏡で調べる検査。例えば、腫瘍ががんか否かを調べる時などに行われる:血管を一部切り取り、血管に炎症が起こっているかどうかを調べる
    • 側頭動脈の一部を切り取り、顕微鏡で調べる

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の治療法

  • ステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている内服
    • 目の症状がある場合は失明の危険性があるため、なるべく早く治療を開始する
    • 最初は多い量のステロイド薬で炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを抑えて、状態が改善してきたら徐々に薬の量を減らしていく
    • ステロイド薬は長期に内服すると糖尿病、高血圧、感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称骨粗鬆症など様々な副作用が問題となる
    • ステロイド薬の副作用を予防するために予防薬を一緒に併用して内服することも多い
      ・使われることがある薬剤(ステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている以外)
       ・抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がない(バクタなど):免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患が抑えられることによる感染の予防
       ・ビスホスホネート(商品名:アクトネルなど)、ビタミンD脂溶性ビタミンの一種で、カルシウムやリンの量を体内で適切に調整する働きを持つ。外部から摂取する他に、紫外線を浴びることで体内でも合成される(商品名:エディロールなど):ステロイド薬による骨粗しょう症の予防
  • トシリズマブ(商品名:アクテムラなど)
    • 点滴タイプと皮下注射タイプがあるが、皮下注射タイプが巨細胞性動脈炎に適応
    • 海外で高い有効性が実証されている
    • ただし、長期的な有効性はまだ分かっておらず、ステロイド薬に比べると薬価も高額
  • その他
    • シクロホスファミドやメトトレキサートなどの免疫抑制薬を使うこともある
    • 脳梗塞の予防にバイアスピリンなどの抗血小板薬血小板が血栓を作る作用を抑えるための薬。脳梗塞などの予防に使用されるを内服することがある

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)に関連する治療薬

トシリズマブ(IL-6阻害薬:関節リウマチなどの治療薬)

  • 炎症をおこす要因となるIL-6の働きを抑え関節リウマチの症状を改善し、骨などの損傷を防ぐ薬
    • 関節リウマチでは免疫の異常により炎症反応がおき関節の腫れなどがあらわれ、腫れが続くと骨が壊され変形する
    • 炎症をおこす要因となるインターロイキン6(IL-6)という物質があり、IL-6受容体に結合してその作用をあらわす
    • 本剤はIL-6受容体を阻害しIL-6に由来する過剰な炎症反応などを抑える作用をあらわす
  • 本剤(トシリズマブ)は関節リウマチや若年性特発性関節炎の他、キャッスルマン病、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎などの治療に使われる場合もある(剤形によって使われる疾患が異なる場合もある)
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