2017.05.30 | ニュース

肺がんの薬を使える範囲が拡大、効能など追加の6剤はどんな薬?

添付文書・研究報告から

肺がんの薬を使える範囲が拡大、効能など追加の6剤はどんな薬?の写真

2017年5月18日に、すでに発売されている医療用医薬品6製品が新しい効能などの承認を取得しました。ザーコリ、ゾシン、カイプロリス、テリボン、アサコール、レミケードの新しい効能などを紹介します。

クリゾチニブ(商品名ザーコリ®)は、がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある治療に使われる分子標的薬です。ALK阻害薬に分類されます。肺がんのうち非小細胞肺がんの治療に使います。進行・再発した非小細胞肺がんで、手術ができない場合の選択肢とされます。

がんに対する分子標的薬の中には、がん細胞が特定の遺伝子変異を持っている場合にだけ効果を期待できるものがあります。クリゾチニブは、従来ALK融合遺伝子陽性の場合にだけ承認されていましたが、新たにROS1融合遺伝子陽性の場合も効能・効果に追加されました。

クリゾチニブの使用開始前にROS1融合遺伝子を調べる検査を行い、結果が陽性ならば使用可能となります。

臨床試験では、127人にクリゾチニブを使った治療をしたところ、69%の人でがんが小さくなる効果が見られました。ほかの治療と生存期間などを比較した結果は添付文書に記載されていません。

副作用の可能性があることとして、好中球血液中にある白血球の一種で、細菌や真菌に対する免疫を担っている減少、肝障害の検査値異常、貧血肺炎呼吸不全肺や気道の異常によって、血液中の酸素の圧力が低下していて、全身に必要な酸素が供給できていない状態などが現れました。

 

参照:ザーコリカプセル200mg/ ザーコリカプセル250mg 添付文書

 

ゾシン®静注「静脈注射」の略。薬を注射や点滴で投与すること用2.25、ゾシン®静注用4.5は、点滴で使う抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がない抗生物質微生物が産生する細胞の増殖や機能を阻害する物質。抗菌薬・抗ウィルス薬・抗がん薬を含む、抗生剤)の製品です。成分としてピペラシリン(ペニシリン系抗菌薬)とタゾバクタム(βラクタマーゼ阻害薬)を含みます。感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称の治療に使います。

従来の効能・効果に挙げられた感染症に加えて、「深在性皮膚感染症、びらん皮膚や粘膜がただれている状態。びらんが酷くなると潰瘍になる潰瘍臓器や粘膜が部分的にえぐれてしまっている状態。何らかの理由で壁の防御機構が壊れてしまっていることが原因となりやすいの二次感染」が追加されました。すでに十分な科学的根拠があることから、新たに臨床試験を行うことなく効能・効果を承認できる公知申請の制度によって承認追加とされました。

 

参照:ゾシン静注用2.25/ゾシン静注用4.5 添付文書

 

カルフィルゾミブ(商品名カイプロリス®)は抗がん剤悪性腫瘍(がん)に効果を発揮する薬剤。ただし、がん以外の良性疾患に用いられることもあるです。効能・効果は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」です。

従来、レナリドミド・デキサメタゾン・カルフィルゾミブという3剤を使う用法が承認されていましたが、新たにデキサメタゾンとカルフィルゾミブの2剤による用法・用量が追加され、2剤だけでも治療が可能になりました。

臨床試験では、ボルテゾミブ・デキサメタゾンの2剤による治療と、カルフィルゾミブ・デキサメタゾンの2剤による治療が比較されました。929人の対象者がそれぞれどちらかに割り振られました。

多発性骨髄腫が進行することなく生存した期間は、ボルテゾミブ・デキサメタゾンを使ったグループの半数で9.4か月以上、カルフィルゾミブ・デキサメタゾンを使ったグループの半数で18.7か月以上であり、カルフィルゾミブ・デキサメタゾンのほうが長くなりました。

副作用として、血小板血液中にある成分の1つ。出血が起こると、出血している部分に集まって出血を止める役割をもつ減少、貧血、疲労、不眠症、呼吸困難、下痢、高血圧、吐き気、無力症、末梢神経障害リンパ球血液中にある白血球の一種で、免疫の役割を担っている。B細胞、T細胞、NK細胞に分かれ、それぞれ働き方が異なる減少、発熱、高血糖血糖値が高い状態。いくつ以上が高血糖という基準はないが、糖尿病にかかっている人は血糖値が高くなりがちであるなどが現れました。

 

参照:カイプロリス点滴静注用10mg/ カイプロリス点滴静注用40mg 添付文書

 

テリパラチド(商品名テリボン®)は副甲状腺ホルモン副甲状腺から出るホルモン。血液中のカルシウムの濃度を上げるように働く製剤です。骨折の危険性の高い骨粗鬆症の治療に使います。従来、治療を続けられる期間にあたる投与期間上限が「72週間」とされていましたが、新たに「24カ月」に変更され、より長く使い続けられるようになりました。

臨床試験ではテリパラチドを24か月使って治療した人で、治療開始時と比べての骨密度は、治療開始から72週時点で8.4%増加、104週時点で9.9%増加していました。

この臨床試験で起こった骨折の数の違いは添付文書に記載されていません。

副作用として、吐き気、嘔吐、頭痛、だるさ、腹部不快感、めまい、疲労、悪寒などが現れました。

 

参照:テリボン皮下注用56.5μg 添付文書、審査報告書

 

メサラジン(商品名アサコール®)は潰瘍性大腸炎の治療薬です。寛解期の用法・用量が追加されました。「通常,成人にはメサラジンとして1日2,400mgを3回に分けて食後経口投与する」とされていますが、「寛解期には,必要に応じて1日1回2,400mg食後経口投与とすることができる」という記載が加わりました。

臨床試験では、1日1回で飲んだ人301人と1日3回で飲んだ人299人を比較した結果、再燃とならなかった人の割合に差がありませんでした

副作用の可能性があることとして尿の検査値異常などが現れました。

 

参照:アサコール錠400mg 添付文書

 

インフリキシマブ(商品名レミケード®)は、炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを抑える作用のある分子標的薬です。抗TNFα抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりするに分類されます。関節リウマチなど多くの場面で使われます。新たにクローン病に対する用法・用量が追加されました。従来は使用開始から6週以後は8週間ごとの使用とされていましたが、効果が弱くなってきた場合には最短4週間ごとまで間隔を短くすることが可能になりました。

使用間隔を短くした臨床試験では、副作用を含む有害な出来事として、クローン病腸閉塞扁桃炎、肛門性器疣贅、肺炎肺結核伝染性紅斑肝機能異常肝臓の病気や異常によって、肝臓の機能が低下していること。採血でAST, ALTなどの数値が上昇していることを指す場合が多い、ループス様症候群などが現れました。

 

参照:レミケード点滴静注用100 添付文書、審査報告書

 

薬の使いかたが広がることにより、保険診療として新しい治療法が使えるようになります。効能・効果や副作用に対応して報告されているデータを参考に、従来の治療法と比較することで、ひとりひとりに合わせた治療選択の幅を広げることができます。

執筆者

大脇 幸志郎

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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