せんてんせいしょくどうへいさ
先天性食道閉鎖
生まれつき食道と胃の通り道が繋がっていない状態のこと。多くの場合は、気管食道瘻を合併する
6人の医師がチェック 47回の改訂 最終更新: 2019.02.13

先天性食道閉鎖の基礎知識

POINT 先天性食道閉鎖とは

生まれつき食道と胃が十分につながっていない状態のことです。そして、多くの人は食道と気管支がつながってしまっています。程度によって5パターンに分けられることがあり(下記参照)ます。約半数の人に心臓や腎臓、胃や腸の先天異常がともなっています。羊水が多いことで見つかることもあります。先天性食道閉鎖が疑われる人にはレントゲン検査や食堂造影検査といった画像検査や内視鏡検査が行われます。治療は基本的には手術です。複数回手術が必要になることもあります。先天性食道閉鎖症が疑われる人は小児科や小児外科で治療が行われます。

先天性食道閉鎖について

  • 生まれつき食道と胃の通り道が繋がっていない状態のこと。
    • 多くの場合は、気管食道合併する
    • 胎児の間に気管と食道が適切に分離しないことによる先天的な異常で、染色体異常に合併する場合がある
  • 25,000〜50,000人に1人程度に発症すると言われている
  • 気管と食道の間のつながり方によって5つの型に分類されている(Grossの分類)
    • A型:食道閉鎖のみで、食道気管瘻の合併がないもの
    • B型:上部食道気管瘻と下部食道の無形成か盲端であるもの
    • C型:上部食道の盲端と下部食道気管瘻のあるもの
      • C型が最も多く、先天性食道閉鎖の約85%を占める
    • D型:上部食道気管瘻と下部食道気管瘻と、両者の間で食道が無形成であるもの
    • E型:食道気管瘻のみで食道閉鎖症のないもの(アルファベットのH字型になる)
  • 約半数に他の心臓や腎臓、消化管の異常を合併することが多い

先天性食道閉鎖の症状

  • 生まれた直後から唾液が出てきたり、哺乳を上手くできないことで気づかれることが多い
  • 生まれる前に羊水が多い(羊水過多)の原因として発見される場合もある

先天性食道閉鎖の検査・診断

  • 画像検査
    • レントゲン検査(X線写真)
      • 柔らかい管を口から胃にむけて入れた状態でレントゲン検査を行うことで、食道閉鎖の有無や位置が分かる
    • その他以下のような検査を行い詳細に調べる 
      • 食道造影検査
      • 食道内視鏡
      • 超音波内視鏡

先天性食道閉鎖の治療法

  • 基本的に手術を行う
    • 病型や他の先天性形態異常、体重、肺炎などの感染症があるかどうかなどを検討して手術方法を決める
  • 基本的には上の食道と下の食道を結ぶ手術、気管食道があればそれを切断し塞ぐ手術を行う
    • 状態によって、1回の手術で済む場合もあれば、何回かに分けて手術が必要な場合もある
  • 手術の進歩により現在は生存率は約90%となっている

先天性食道閉鎖のタグ

先天性食道閉鎖に関わるからだの部位