ひるしゅすぷるんぐびょう
ヒルシュスプルング病
先天的に腸の動きが生まれつき弱く、重い便秘や腸閉塞を起こす病気。
8人の医師がチェック 113回の改訂 最終更新: 2018.10.11

ヒルシュスプルング病の基礎知識

POINT ヒルシュスプルング病とは

生まれもって腸の動きが悪く、重い便秘や腸閉塞を起こす病気のことです。腸を動かす神経が欠けているために、腸の動きが悪いことが原因とされています。ヒルシュスプルング病の子どもには重い便秘や嘔吐、腹部膨満感などの症状が現れます。診断のためにレントゲン検査や注腸造影検査(造影剤をお尻から入れて腸の形や動きを見る検査)、病理検査(腸の一部を取り出して顕微鏡で調べる検査)が行われます。治療として、腸の動きが悪い部分を切除してつなげ直す手術を行います。ただし、腸をつなぐのが難しい場合は人工肛門が必要になることもあります。ヒルシュスプルング病は小児科や小児外科で診療が行われます。思い当たる症状がある場合は受診してください。

ヒルシュスプルング病について

  • 先天的に腸の動きが悪く、重い便秘腸閉塞をおこす病気
    • 生まれつき腸の壁に神経がない部分があり、腸がきちんと動かない
    • 多くは肛門からS錠結腸の範囲の腸に異常が見られるが、重症の場合は大腸全体であったり小腸にまで病気の範囲が及んでいることがある
  • 頻度
    • 出生約5000-7000人あたり1人程度に発症
    • 発生率の男女比は3:1から4:1と、男に多い
  • その他情報
    • 他の先天異常と一緒に起こることも多い
  • 大腸全体に異常がある場合や小腸にまで異常が及ぶ場合は難病指定疾患であるので、状況に応じて医療費補助の申請が可能である

ヒルシュスプルング病の症状

  • 主な症状
    • 重い便秘
    • 腹部が膨らむ
    • 嘔吐
    • 下痢(便が溜まり過ぎると、下痢として排便される)
  • 症状の説明
    • 新生児の場合、排便の遅れが最初の症状
    • 排便、おならができず、腹部が風船のように膨らむ
    • 次第に哺乳力が低下し、嘔吐したりする
    • 症状が進むと体重増加不良や栄養不良が現れてくることもある
  • その他の起こりうる症状
    • 発熱がある場合は、腸の感染が起こり、敗血症になっている可能性がある

ヒルシュスプルング病の検査・診断

  • 腹部レントゲン検査(X線写真):腸の状態などを調べる
  • 注腸造影検査:おしりから大腸にかけて造影剤を注入して、細くて動きの悪い腸とその範囲を調べる
  • 直腸肛門内圧測定検査:おしりの締め具合を測定して、正常であれば肛門の括約筋にみられる弛緩反射がないことを調べる
  • 組織診:直腸の壁を一部切り取って、神経が正常に通っているか調べる
    • 病気を診断するために必要

ヒルシュスプルング病の治療法

  • 手術
    • 異常な腸を切除して、多くの場合は人工肛門造設する
  • 手術後ほとんどの場合で、人工肛門を使いながら生活が可能
    • 腸が短くなるため栄養不良を起こすことがある

ヒルシュスプルング病のタグ

ヒルシュスプルング病に関わるからだの部位