いぶつごいん
異物誤飲
食物以外のものを誤って食べてしまうこと。多くは自然に排泄されるが、時に緊急での治療が必要
1人の医師がチェック 9回の改訂 最終更新: 2018.04.08

異物誤飲の基礎知識

POINT 異物誤飲とは

異物誤飲とは、食物以外のものを誤って食べてしまうことを指します。「異物誤飲(ごいん)」と言った場合には、食道や胃などの消化管に異物が入ったことを指し、「異物誤嚥(ごえん)」と言った場合には気管や肺などの呼吸器に異物が入ったことを指します。異物誤飲は2-3歳までの乳幼児が物珍しさに異物を食べてしまうことや、高齢者が義歯を飲み込んでしまうこと、認知症で異物を食べてしまうことなどが主な原因となります。症状としては、異物が食道に留まっている間は、喉や胸の違和感や痛みがしばしば出ます。異物が胃まで進んだ場合には無症状になることが多いですが、異物の種類や大きさによっては吐き気や腹痛を伴うこともあります。実際に異物誤飲が目撃されている場合や自覚している場合には診断は容易ですが、そうでない場合にはレントゲン(X線)検査やX線透視検査、内視鏡検査などで必要に応じて診断を行います。食道で停滞している異物は内視鏡で取り除き、胃まで進んでいる場合にはそのまま様子をみることが原則です。ただし、胃にあっても速やかに摘出すべき異物もありますし、そうでなくても長期間停滞する異物は摘出した方が良いと考えられます。異物誤飲が心配な方は救急科・小児科・消化器内科・内視鏡科などを受診してください。受診すべきか判断に迷う場合には医療機関に電話相談する、中毒110番電話サービスに相談する、などしてください。

異物誤飲について

  • 異物誤飲(ごいん)とは食物以外のものを誤って食べてしまうことを指す
    • 異物誤嚥(ごえん)は気管や肺などの呼吸器に異物が入ったことを指す(気道異物
    • 2-3歳までの乳幼児が物珍しさに異物を食べてしまうことが多い
    • 高齢者が義歯や薬の包装シート(PTP包装)を飲み込んでしまう、認知症で異物を食べてしまう、などのケースも見られる
  • 誤飲しやすいものには以下のようなものがある
    • 薬や、薬の包装シート
    • タバコや、タバコの浸かっている液体(たばこ誤飲
    • 小さいおもちゃ
    • 硬貨、コイン
    • マチ針、安全ピン
    • ボタン電池
    • 漂白剤(漂白剤誤飲
    • ボタン
    • ボタン電池
    • 指輪
    • 磁石
    • 義歯
    • 魚の骨(咽頭異物の原因として多い) など
  • 誤嚥(ごえん)しやすいものには以下のようなものがある(気道異物
    • ピーナッツ(子供の誤嚥の原因として最多)
    • 枝豆
    • キャンディー
    • グミ 
    • ゼリー
    • 餅 など
  • 様子を見ているだけで自然に排泄されて問題のないケースも多いが、異物の種類、大きさ、誤飲してからの経過時間などによって治療法が異なるので、基本的には自己判断しないのが安全。医療機関を受診するか判断に迷う場合には以下を検討
    • 中毒110番サービスに相談する
    • 医療機関に受診相談電話をする など

異物誤飲の症状

  • 異物が食道で停滞している場合(食道異物
    • 胸焼け、胸痛、胸の違和感
    • 吐き気、嘔吐 など
  • 異物が胃で停滞している場合(胃内異物
    • 通常は無症状だが、腹痛や嘔吐などがみられることがある
  • 異物が腸まで進んでいる場合
    • 通常は無症状
    • 便秘
    • 腸に穴が空くと、強い腹痛や発熱がみられる
  • 異物が気管や肺に入った場合(気道異物
    • 突然の息苦しさ、ゼーゼーした呼吸
    • 声がかすれる
    • ぐったりしている
    • 顔色が青白い
    • 痙攣する
    • 意識がない など
      誤嚥性肺炎になると発熱するなどの症状も見られる

異物誤飲の検査・診断

  • 実際に異物誤飲が目撃されている場合や自覚している場合には診断は容易
  • 状況だけで診断ができない場合などでは以下のような検査を行う
    • レントゲンX線)検査
    • 透視検査
    • 上部消化管内視鏡検査胃カメラ):治療も兼ねる
    • 気管支内視鏡検査:気道異物に対する治療も兼ねる

異物誤飲の治療法

  • 異物誤飲は、誤飲したものが何でどこにあるか、誤飲してからどれくらい時間が経っているかによって治療方針が異なる
  • 食道異物
    • 食道でひっかかった異物は、食道に穴を空けることがあるので、無症状であっても基本的に内視鏡で摘出が必要
  • 胃内異物
    • 多くは自然に便となって排泄されるので、様子をみることが基本
    • ただしボタン電池は胃内で化学反応を起こし危険なので、速やかに内視鏡で摘出する
    • 1週間以上にわたって停滞している異物も、内視鏡で摘出することが多い
  • 腸内異物
    • ほとんどが自然に排泄され、また内視鏡での摘出も困難なので、様子をみることが基本
  • 気道異物
    • 肺炎や窒息の原因になるので、速やかに内視鏡で摘出することが基本
  • 家庭での対処法
    • 一部の衣料用防虫剤やタバコの誤飲などは吐かせてもよいが、その他の場合は吐かせると食道を荒らしたり、吐物が気管や肺に入ったりして被害を拡大させうる
      ・家庭で無理矢理吐かせることは推奨されない
    • 酸やアルカリ性の洗剤や漂白剤誤飲では牛乳を飲ませる(小児では100ml程度、大人では200ml程度まで)
       ・水を飲ませることで病状が悪化する種類の誤飲も多いので、安易に飲ませない
    • 誤嚥して窒息しかけている場合には、子供ならば、大人の太ももの上でうつぶせに寝かせて、片方の手で頭を支え、頭を胸よりも低くした状態で、もう片方の手で子供の背中を強く何度も叩いて吐かせる
  • 判断に困った時には中毒110番や医療機関に問い合わせるなどする
  • 異物誤飲や気道異物は予防が重要
    • 乳幼児の手が届くところにタバコやコインなどを置かない
    • おもちゃは誤飲の危険がないサイズのものを与える
    • ピーナッツなど硬い豆類は家族みんなで控える など
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