まんせいへいそくせいはいしっかん
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
気管支や肺胞が炎症で変化し、正常な呼吸ができなくなっている状態。喫煙が原因で起こることがほとんどである
21人の医師がチェック 143回の改訂 最終更新: 2018.08.01

肺気腫・COPDの検査、診断基準は?肺機能検査(スパイロメトリー)、胸部CT検査、動脈血液ガス分析など

COPDはよくある病気です。咳や息切れが特徴です。しかし、診断が難しいケースもあり、治療を決めるためにも様々な検査が必要になります。ここではCOPDの診断時に行われる検査や診断基準を解説していきます。 

息切れが進行してCOPDが疑われる場合には、肺機能検査が行われます。この検査はCOPDを診断する上でとても重要です。

呼吸機能検査だとか、スパイロメトリースパイログラムなどとも呼ばれます。この検査は患者さんには「肺活量の検査」というと一番イメージしやすいと思います。マウスピースをくわえて口呼吸をしてもらい、「吸って」「吐いて」「思いっきり吸って」「勢い良く吐いて」などの指示に従って呼吸をしてもらうことで、空気を吸う能力、吐く能力、酸素の取り込み能力などをチェックする検査です。

タバコを吸っている方あるいは吸っていた方が、ゆっくり(通常は年単位で)進行してくる息苦しさ、咳、痰などを感じていればCOPDを疑っていいでしょう。COPDと確定診断するためにはスパイログラムは必須の検査となります。というのも、スパイログラムでの検査値がCOPDの診断基準として含まれているためです。

COPDと診断するためにスパイログラムは必須の検査ですが、スパイログラムの基準値を満たすだけではCOPDの診断とはならないことに注意が必要です。COPD以外の病気でも、スパイログラムでのCOPD診断基準値は満たしてしまうことがあるためです。

単に閉塞性障害と呼ぶこともあります。簡単に言うと、勢い良く息を吐けない状態を指します。

勢い良く息を吐き出したときに吐ける空気の最大量を努力性肺活量(FVC: forced vital capacity)、勢い良く息を吐き出した時に最初の1秒間で吐ける空気の量を1秒量(FEV1: forced expiratory volume in 1 second)と呼びますが、FEV1÷FVCに100をかけたものを1秒率(FEV1%)といいます。つまりFEV1%は、吐き出せる最大量のうち何%を最初の1秒間で吐き出せるかという指標になります。

正常ではFEV1%は70%以上ある(つまり、最初の1秒で吐ける空気の量の7割を吐ける)はずなのですが、COPDの患者さんは空気の通り道が狭くなっていることにより勢い良く息を吐き出せないので、最初の1秒間では努力性肺活量のうち70%未満しか吐き出せません。つまりFEV1%は70%未満になります。COPDの診断をするうえでFEV1%が70%未満というのが必須項目になります。
ただし、FEV1%が70%未満の閉塞性障害になる病気は数多くあるので、FEV1%が70%未満だからといって直ちにCOPDと診断することはできません。閉塞性障害になるCOPD以外の病気としては気管支喘息が代表的です。

単に拘束性障害と呼ぶこともあります。簡単に言うと、肺活量が低下している状態を指します。ゆっくり息を吐き出したときに吐き出せる空気の最大量を肺活量(VC: vital capacity)と呼びます。仮に肺が健康とした場合に性別・年齢・身長から予想される肺活量に対して、実際に何%の肺活量があるかという値を%VCと呼びます。%VCが80%未満になる状態を拘束性障害といいます。また、閉塞性障害と拘束性障害の両方がある場合を混合性障害、あるいは混合性換気障害と呼びます。

拘束性換気障害を呈する肺の病気としては間質性肺炎肺結核の後遺症などが代表的です。COPDは勢い良く息を吐けなくなることが主体の病気なので、肺活量自体にはあまり問題が無いことも多いです。つまり拘束性障害はないケースが多数です。ただし進行したCOPDでは拘束性障害も合併して混合性障害になることがあります。

上記で肺機能検査における閉塞性障害と拘束性障害に関して説明しました。閉塞性障害も拘束性障害も無いとすれば、勢い良く吐き出す力もあるし、肺活量もある、つまり肺の換気能力としては万全ということになります。
では、換気能力が万全ならば肺の機能も万全と言えるでしょうか? 実はほかにも大切な機能があります。肺には肺胞から酸素を血液の中に取り込むという重要な役割もあります。いくらしっかり換気ができて肺にフレッシュな空気を取り込めても、肺から体内に酸素が取り込めなければ良い肺機能とは言えません。

酸素取り込み能力の指標がDLcoです。COPDの診断基準にDLcoは含まれないので測定されないこともありますが、COPD患者さんでは肺胞が障害されてしばしば酸素の取り込み能力が低下しているので、DLcoも正常より低い値になっていることが多いです。

COPDが疑われる場合に画像検査が行われることがあります。肺レントゲン検査や胸部CT検査がその代表例です。どういった場面で画像検査が行われるのでしょうか。

COPDと診断される患者さんの多くは胸部レントゲン検査を受けていると思いますが、結論からいうとレントゲンは多くのケースで役に立つものの、COPDの診断を確定できるものでもCOPDを否定できるものでもありません。というのもCOPDの診断は基本的には肺機能検査(スパイロメトリー)で行うものだからです。ここでCOPDの診断基準をみてみましょう。

  1. 気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで1秒率(FEV1%)が70%未満であること
  2. 他の閉塞性換気障害をきたしうる疾患を除外すること

1. かつ2. のとき、COPDという診断になります。
レントゲンは2. で他の疾患ではないことを確認するために役に立つ検査です(ただし、COPD以外の疾患といってもいずれも診断は簡単ではないので、レントゲンを撮っても直ちに分かるものではありません)。COPDと診断する際に注意すべき、似た特徴のある病気の例を挙げます。

COPDの方のレントゲンでは、吐き出しにくくなっている空気が肺に溜まることで肺が正常よりも大きく見えたり(肺の過膨張)、大きくなっている肺が横隔膜を圧迫して横隔膜がぺちゃんこに見えたり(横隔膜の平低化)、肺気腫によって肺が正常よりも黒っぽく写ったり(肺の透過性亢進)しますが、いずれもCOPDの診断に直結するようなものでは無いということに注意が必要です。

胸部CT検査では肺の断面図を見ることで、レントゲンよりも詳しく肺の状態を評価することができます。COPD患者さんのCTを撮ることで、どれくらい肺気腫が進んでいるのか、COPD以外の疾患が隠れていないかをかなり細かく見ることが出来ます。しかし、COPDの診断基準はあくまで次の2点です。

  1. 気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで1秒率(FEV1%)が70%未満であること
  2. 他の閉塞性換気障害をきたしうる疾患を除外すること

COPDの診断にはスパイロメトリーが最も重要です。胸部CT検査は2. で他の疾患を除外するための補助に過ぎません。なので胸部CT検査は非常に有用な検査ですが、COPDの診断をするために必ずしも行うべきものではありません。実際のところは、安易にCOPDと決められないような診断の難しい患者さんや、COPDと同時に肺がん等が無いかどうかのチェックをしたい場合に行われることが多いです。

肺の見た目の問題である「肺気腫」を確認するためには胸部CTは良い検査と言えるでしょうが、肺の機能の問題である「COPD」を診断するためには胸部CTは補助的な検査に過ぎません。

COPDが疑われた場面ではスパイログラムや画像検査が行われますが、これら以外の検査が行われることがあります。

血液は酸素と二酸化炭素を運ぶ役割があります。肺で血液は酸素を受け取り二酸化炭素を放出します。血液は肺を通ったあと心臓から全身に送り出され、全身の隅々に酸素を送り届けます。そして不要なガスである二酸化炭素を受け取ってまた全身から肺へと戻っていきます。

心臓から全身に血液が送り出される時に通る血管が動脈、全身から肺へと還っていく血管が静脈です。普通の採血は肘の静脈から行いますが、COPDの状態を評価するために動脈から採血を行うことがあります。動脈から採血したほうが、肺でどれくらい酸素を取り込めているか、二酸化炭素を放出できているかが分かるからです。動脈採血は手首の脈打っている血管(橈骨動脈)あるいは足の付け根の脈打っている血管(大腿動脈)から医師が採血するのが原則です。動脈は静脈よりも血圧が高く、血が止まりにくいので、採血後はしっかり押さえておく必要があります。

動脈血液ガス分析では、動脈から採った血液中の酸素濃度(PaO2)や二酸化炭素濃度(PaCO2)を調べます。単位はTorr(トール)といいますが、mmHg(ミリメートル水銀柱)と同じ意味です。PaO2は正常では70Torr以上くらいが目安になります。PaO2が60Torr未満の状況が1ヶ月以上持続する場合には、慢性呼吸不全の状態ということになります。また、呼吸不全のうち二酸化炭素濃度が高くない場合(PaCO2が45Torr以下)をI型呼吸不全といいます。二酸化炭素濃度が高い場合(PaCO2が45Torrより大きい)をII型呼吸不全といいます。

単純に比較するのは難しい場合もありますが、余分なガスである二酸化炭素が貯留しているぶん、II型呼吸不全はI型呼吸不全よりも良くない状態ということになります。

動脈血液ガス分析をすれば血液中の酸素濃度を調べることができますが、動脈からの採血を頻繁に行うのは大変なので、痛くなくて簡単に酸素濃度を測定出来るようにという目的で開発されたのがパルスオキシメータです。
パルスオキシメータは皮膚を通じて血液中の酸素濃度を測る装置です。指先に装着することが多いですが、耳たぶや額などにつけて測ることもあります。動脈血での酸素濃度はPaO2(単位はTorr)、パルスオキシメータでの酸素濃度はSpO2(単位は%)あるいはサチュレーションといい、細かくは様々な条件によるのですが、おおむねPaO2が60TorrならばSpO2は90%程度、PaO2が70TorrならばSpO2は93%程度が対応していると考えることができます。

パルスオキシメータは指につけながら運動もできるので、歩いたりシャワーを浴びたりして体を動かしている時に酸欠になっていないかどうかチェックできるというのも大きなメリットです。ただし、酸素濃度は連続的に測れますが二酸化炭素濃度は分からないので、動脈血液ガス分析も必要に応じて行うべきです。

パルスオキシメータは手軽に扱えるのが特長です。重症のCOPD患者の中にはご自身で購入している人も多いです。手頃なものは数千円から数万円程度で売っています。

SpO2の正常値は94%以上くらいとすることが一般的です。ただしSpO2が94%以上あるからと言って、肺に病気が無いとは決して言いきれませんので注意してください。また、重症のCOPDの場合にはSpO2が高すぎない方がむしろ良い場合もありますので、酸素を吸わないといけないような重症のCOPD患者さんの場合には主治医の注意をよく聞いて、酸素の量を間違えないようにしてください。具体的には、酸素を吸うべき量を主治医から指示されますので、それを超えてむやみに多くの酸素を吸わないようにすべきです。

COPD患者さんでは、動いているときの息切れは代表的な症状です。安静にしている時に行う検査だけではなく、動きながら検査をすることも重要になります。

運動しながらの検査ということで、自転車を漕いでもらう等の方法もありますが、最も簡便で広く行われているのが6分間歩行試験です。

6分間歩行試験は名前の通り、パルスオキシメータを装着しながら6分間歩いてもらう検査です。患者さんには6分間で出来る限り速いスピードで長い距離を歩くことを目標としてもらいます。そして、歩行距離、息切れの程度、心拍数、SpO2などの推移などを見て、患者さんがどの程度運動に耐えられるのかをチェックします。息切れの程度はBorg Scale(ボルグスケール)という指標により0-10の範囲で自覚症状を評価します。

6分間歩行試験は歩くだけという地味な検査ではあります。しかし安静時にはSpO2が問題なく、動くとSpO2が低下するという患者さんは非常に多いので、COPDの診断に必須では無いものの非常に重要な検査と言えるでしょう。

進行したCOPDの患者さんでは、心臓から肺へと血液を送り出す血管(肺動脈)における高血圧が起こりやすいと言われています。この肺高血圧症と呼ばれる状態は心臓に負担をかけ、心不全へと進んでいく危険があるため、程度を評価しておく必要があります。通常は動脈血ガス酸素濃度(PaO2)が60Torr以下の慢性呼吸不全の場合で肺高血圧症に注意するべきと考えられます。

肺高血圧症を簡便に調べる方法として心電図検査心臓超音波検査があります。また、採血でBNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド)という項目も参考になります。心電図検査や心臓超音波検査は体にかかる負担の少ない検査ではありますが、正確さには限界があります。

肺高血圧症を正確に診断するためには心臓カテーテル検査が必要になります。ただ、大掛かりな検査になるので、心臓カテーテル検査まで行われるケースはさほど多くありません。

COPDに伴った肺高血圧症に関してはあまり薬による治療が有効とは言われていないため、基本的にはCOPDそのものに対する治療をしっかりやっていくほかにないのですが、あまりに肺高血圧症が目立つ場合には治療薬を開始することもあります。

参照:ASPIRE registry. Eur Respir J 2012.

COPDには診断基準があります。どういった基準なのでしょうか。

どの医者が診断しても病名は同じ?

肺気腫やCOPDと診断された時に「本当にCOPDなのか?誤診の可能性は無いのか?」と思う患者さんもいるでしょう。COPDには診断基準があります。

  1. 気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで1秒率(FEV1%)が70%未満であること
  2. 他の閉塞性障害をきたしうる疾患を除外すること

この2点です。この診断基準は基本的に世界共通です。では、診断はどの医師がしても同じかというと、若干の例外もあります。

実際にはCOPDであると自信をもって診断するのは難しいケースに時々遭遇します。それは2. の「他の閉塞性障害をきたす疾患の除外」というのがなかなか難しいためです。何かが存在することを示すのは難しくないことが多いですが、こういった「除外診断」と呼ばれるものは、何か他の病気(珍しい病気も含めて)が除外しきれていないのではないかという可能性が常につきまとうところに診断の難しさがあります。現実的には、COPDと気管支喘息との鑑別が難しいことがしばしばあります。もしCOPDと診断されて納得がいかない場合には、セカンドオピニオンを求めてみるのもひとつの手でしょう。セカンドオピニオンをもらうにはまず主治医に相談してください。患者さんの当然の権利ですので遠慮する必要はありません。

日本では日本呼吸器学会から刊行されている「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン」という診療ガイドラインがあります。COPDの知見も日進月歩なので、近年は5年ごとくらいにこのガイドラインも改定されています。日本の多くの医療機関では基本的にこのガイドラインを参考にして治療を行っています。

診療ガイドラインは、治療にあたり妥当な選択肢を示すことや、治療成績と安全性の向上などを目的に作成されています。

また、世界的にはGOLD(The Global Initiative for Chronic Obstructive  Lung Disease)という組織が1997年に設立されて以降、COPDに対する予防や治療などに対して重要な役割を果たしています。GOLDが発表している診療ガイドラインと日本呼吸器学会が発表している診療ガイドラインでは若干の差異があるものの、大枠では似ているものと考えて良いでしょう。

世界的なGOLDによるガイドラインがあれば日本独自のガイドラインは不要と思われる方もいるかもしれませんが、やはり医療は人種や文化などによって異なって然るべきなので、日本独自のガイドラインがあることには意味があります。

病期とかステージという言葉を聞くと、がんをイメージする方が多いかもしれません。しかし、病気がどれくらい重症であるか、治療をどうしていくかの参考としてステージを決めることはがん以外の病気に対しても行われています。
COPDのステージ分類としては簡便にスパイロメトリーでの結果から評価できる以下のような分類が最もよく用いられます。I期が最も軽症、IV期が最も重症となります。

I 期:%FEV1(%1秒量)が80%以上
II 期:%FEV1(%1秒量)が50%以上80%未満
III 期:%FEV1(%1秒量)が30%以上50%未満
IV 期:%FEV1(%1秒量)が30%未満

ここでFEV1(1秒量)とは、思いっきり息を吸い込んだあと最初の1秒間で最大何リットルの空気を吐けるかを表す指標です。年齢・性別・身長から予想される健康な肺の方のFEV1(予測1秒量)に対して、患者さん自身のFEV1が何%くらいあるかを表したものが%1秒量です。

ステージ分類のほかに重症度を評価するために、どれくらいの頻度で急性増悪を起こしているか、6分間歩行試験でどれくらい歩けているか、COPDに伴った合併性がどれくらいあるか、なども重要な指標となります。

ややこしいところなのですが、上記の通りCOPDの診断が付いた後の重症度判定としては%FEV1(%1秒量)を用いるのに対して、COPDの診断そのものにはFEV1%(1秒率)を用います。FEV1%は、吐き出せる最大量のうち何%を最初の1秒間で吐き出せるかという指標です。

FEV1%(1秒率)は50%しか無いけれども、そもそもの肺活量がとても大きいために%FEV1(1秒量)は90%あって、COPDとしてはステージI、ということもあります。

COPDにも重症度の目安として1期〜4期までのステージがあります。4期と言われると末期をイメージされる方もいるかもしれませんが必ずしもそうではありません。4期であれば定期的な通院、薬剤の使用が必要になることは間違いないと思いますが、元気にゴルフなどスポーツをされる方も多くいらっしゃいますし、禁煙と適切なリハビリやワクチン接種等によってCOPDの進行はかなり食い止めることができます。

ステージIVは楽観することはできない状態ですが、しっかりとセルフケアをして前向きに病気と付き合っていきたいものですね。

COPDは喫煙者に多いことからイメージがつくかもしれませんが、COPDの患者さんは肺がんになる可能性が健康な方よりも高く、COPD患者さんの5-38%は肺がんで亡くなるとされています。喫煙量が多いほど肺がんになりやすいことは多くのデータが示しているところですが、喫煙量とはまた別の話として肺気腫そのものが肺がんの発生率を高めるとされています。医学的には少し難しい表現になりますが、肺気腫が喫煙歴とは独立した肺がん発症危険因子であると言えます。

COPDの治療中にレントゲンや胸部CTで肺がんができていないかチェックすることは意味があることと言えますが、実際にどれくらいの頻度でレントゲンやCTをチェックするのが良いのかはよく分かっていません。極端な話をすれば毎日胸部CTを撮影すれば仮に肺がんができても早期で発見できますが、検査による被曝の問題、医療費の問題、患者さんにとっても医療者にとっても労力が要る、などの問題があります。どれくらいの頻度で画像検査をするべきか、というのは現時点ではケースバイケースと言わざるをえません。

健康な方でも年に1回は健診としてレントゲンを受けることが多いので、COPD患者さんにおいても、少なくとも年に1回、レントゲン程度は受けておく方が無難といえるでしょう。

参照:Eur Respir J 2006; 28: 1245-57. Chest 2012; 141: 1216-23.

COPDと喘息というと全然違う病気のように思えるかもしれませんが、実は非常に近い部分もあります。COPDと喘息の最も似ている点は、症状で言えば咳や息苦しさが出る点、検査で言えばスパイロメトリーでどちらも閉塞性障害を呈するという点といえるでしょう。

喘息の場合には気管支拡張薬を使うことで一時的に閉塞性障害が改善傾向を示すことが多いので、COPDの診断基準は「気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで1秒率(FEV1%)が70%未満であること」というように定めて気管支喘息がCOPDの診断に紛れ込まないように配慮はしていますが、COPDでも気管支拡張薬投与後に閉塞性障害が多少改善する(気道可逆性がある、と表現します)ことはありますし、喘息でも気道可逆性に乏しいこともあるので、判断が難しいところです。

実際の診断においては、年齢や喫煙歴、アレルギー要素があるか、症状はいつ出やすいか、喘息の家族がいるか、小児喘息であったか、などの情報や、肺胞拡散能検査、呼気中一酸化窒素濃度検査、喀痰中好酸球検査、採血検査、胸部CT検査などの検査結果を総合的に判断して診断をつけることになります。たとえば若くてタバコを吸ったことがない人であればCOPDは基本的に無いだろうと考えることができるので、診断にはあまり悩みません。一方、喫煙歴のある高齢者などには慎重に診断をつける必要があるでしょう。

このように医師はCOPDと喘息を区別するために色々と頭を悩ませています。さらに、実はCOPDと喘息を両方持っている方も決して少なくありません。COPD患者さんの20〜40%が喘息を合併しているというデータもあります。喘息COPDオーバーラップ症候群などと呼ばれることもあります。このような患者さんでは喘息とCOPD、両方の治療が必要になるでしょう。また、このようなケースでは喘息とCOPDのどちらの要素が強いかという点も治療を決めるうえでポイントになってきます。

参照:Arch Bronconeumol 2012; 48: 86-98.

気腫合併肺線維症とは一言でいうと肺気腫を伴った間質性肺炎のことです。英語でcombined pulmonary fibrosis and emphysemaというので、頭文字をとってCPFEと呼ばれることが多いです。間質性肺炎とCOPDをそれぞれ説明すれば基本的にはCPFEはそれらの特徴を合わせたものということになるのですが、ここではCPFEで特に注意すべき点として何点かに絞って説明します。

  • CPFEの初期ではスパイロメトリーで閉塞性障害が現れにくく、COPDが見逃されてしまいやすくなる。
  • 肺胞拡散能の低下が目立ち、低酸素血症が目立つケースが多い。
  • 肺がんの合併率が単なるCOPDや間質性肺炎の患者さんに比べて高い。また、もともと肺の状態が悪いので、診断や治療も難しいケースがしばしばある。
  • 肺高血圧症の合併が目立つ。

上記のような特徴があります。COPDの診断においてはスパイロメトリーが最も重要ですが、CPFEの初期では上記のような理由で見逃してしまいがちです。スパイロメトリーと合わせて画像検査を行うことで見逃しを減らすことができます。

参照:Eur Respir J 2005; 26: 586-93.

COPDは長期喫煙歴がある中高年者に発症するので、喫煙や高齢そのものに伴う併存症(へいぞんしょう)が多く見られます。併存症とはある病気と同時に存在する別の病気のことです。

また、COPD自体が肺以外にも全身に影響を与えて併存症を誘発すると考えられています。そのため、現在ではCOPDを単なる肺の病気とは考えず全身の病気として考えるべきであると言われています。

COPDの全身的影響としては以下のような状態、病気が起きてくると言われています。

したがってCOPDという病気を考えるうえで肺は最も大事なのですが、それ以外の全身の状態にも十分注意する必要があります。

参照:Thorax 2004; 59: 574-80. Eur Respir J 2009; 33: 1165-85.