かんしつせいはいえん

間質性肺炎

肺の中の空気の通り道ではなく、肺の支持組織(間質)に炎症が起きた状態

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17人の医師がチェック 208回の改訂 最終更新: 2017.10.11

間質性肺炎の基礎知識

POINT間質性肺炎とは

間質性肺炎は肺を支える組織である間質に炎症が起こった状態です。炎症が進むに連れて間質が厚くなり固くなり肺の動きが悪くなってしまいます。間質性肺炎の原因は不明であることも多いですが、薬剤・放射線・膠原病などが原因になることが多いです。初期の症状は咳や労作時の呼吸困難感などですが、進行するにしたがって安静時にも息切れを感じるようになります。また、慢性的に体内の酸素が少なくなることからばち指(手の爪の根元が膨らんで太鼓のばちのような形になること)という状態になることがあります。 症状と画像検査を用いて間質性肺炎と診断することが多いですが、その原因を調べるには採血検査をしたり、肺の組織を顕微鏡で見る必要がある場合があります。そのため、気管支内視鏡や胸腔鏡手術を用いて肺の一部を採取します。間質性肺炎が心配な人や治療したい人は、呼吸器内科を受診して下さい。

間質性肺炎について

  • 肺の間質と呼ばれる部分(空気が通る気管支呼吸をする際の空気の通り道の一つ。口から吸い込んだ空気は、気管と気管支を通り、肺へ至る肺胞肺全体を構成している小さな袋状の構造。吸い込んだ空気は肺胞に入り、血液中の二酸化炭素と肺胞の中の酸素が交換されるではなく、その周りの壁や肺胞同士の間を埋めて、固定している組織)が炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを起こした状態
    • 炎症が起こると肺胞の壁が壊れてしまい、修復されるときに壁が硬くなったり厚くなったりする
    • その結果、破壊されて縮んだ肺は十分な空気を吸えず、また吸った空気から酸素を体に十分に取り込めなくなってしまう状態になる
  • 間質性肺炎には、原因の明らかなものと明らかでないものがある
    • 原因の明らかでないものを特発性その病気や状態が引き起こされた原因が、未だ判明していないこと間質性肺炎(IIPs)と言い、CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査検査の結果や、肺そのものを顕微鏡で見た結果を踏まえて治療の方針を決めることになる
      ・特発性肺線維症(IPF)
      ・非特異性間質性肺炎(NSIP)
      ・呼吸細気管支炎―間質性肺疾患(RB-ILDInterstitial Lung Diseaseの略、間質性肺疾患。肺胞ではなく、肺の支持組織である間質に起こる特殊な肺の病気
      ・剥離性間質性肺炎(DIPdesquamative interstitial pneumoniaの略。剥離性間質性肺炎。喫煙との関連が非常に強い間質性肺炎の一種
      ・急性間質性肺炎(AIP)
      ・特発性器質化肺炎(COP)
    • 稀なIIPsとして特発性リンパ球血液中にある白血球の一種で、免疫の役割を担っている。B細胞、T細胞、NK細胞に分かれ、それぞれ働き方が異なる性間質性肺炎(LIP)や、特発性肺胸膜弾性線維症間質性肺炎の一種。(PPFE)なども知られている
    • IIPsの発症症状や病気が発生する、または発生し始めることは喫煙と関わりが深いものが多い
    • IIPsのうちどの疾患に分類されるかは判断が難しいケースも多く、専門家でもしばしば意見が分かれる
    • 以下が間質性肺炎の原因になりやすい(これらは原因が明らかなので、IIPsには含まれない)
      ・薬剤(薬剤性薬が原因となって病気が引き起こされたり症状が現れたりすること肺炎
      ・放射線(放射線肺臓炎放射線性肺炎
      膠原病複数の臓器に炎症がみられる病気の総称。有名なものとしては関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどがある(膠原病肺)
      過敏性肺炎(何らかの物質の吸入に対する反応)
  • 間質性肺炎は、何らかのきっかけで炎症が一気に悪化することがあり、命に関わる非常に危険な状態である(急性増悪元々病状が悪い状態から、さらに急に症状が悪化することと言う)
    • 感染
    • 薬剤
    • 放射線 など
  • 間質性肺炎は、一般的な肺炎よりも治療が難しく、一生病気と付き合っていくことになることが多い
    • 特に特発性肺線維症 (IPF) と呼ばれるタイプは非常に進行が早く、一部のがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるよりも経過が悪くなることも多い
    • 肺がん心不全合併ある病気や治療によって、他の病気や病態が引き起こされることして、間質性肺炎よりもそちらで致命的になることも多い
  • 特発性間質性肺炎は難病指定疾患であるので、病状が進行すると治療補助を申請することができる
    • 身体障害者福祉手帳
    • 介護保険制度
    • 指定難病患者への医療費助成制度

間質性肺炎の症状

  • 主な症状
    • 呼吸困難や咳、息切れ
      ・病気になった最初は特に症状がないことが多いが、段々と息切れを自覚するようになる
      ・最初は動いた時に息切れを自覚することから始まり、病気が進行するとともに動かなくても息苦しくなる
    • ばち指爪の根本の凹んでいる部分が膨れ上がった状態。チアノーゼや肺の病気などが慢性的にあると生じる(指先がふくらんで、爪のつけ根が盛り上がった状態)

間質性肺炎の検査・診断

  • 血液検査:間質性肺炎の原因や炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るの程度などを調べる
    • 肺の間質へのダメージを調べる:KL-6、SP-D、SP-A、LDH糖質をエネルギーに変えるときに必要な酵素。肝臓・筋肉・腎臓・赤血球などで作られるCRP血液検査の項目の一つで、体内の炎症の程度を表す指標の一つ。感染症、腫瘍、外傷など、様々な原因で数値が上昇するなど
    • 間質性肺炎以外の病気の有無を調べるのにも役立つ
  • 画像検査:肺の炎症の有無や肺の壁の壊れ具合などを調べる
    • 胸部レントゲン X線(放射線)によって撮影する画像検査の一種で、心臓や肺、骨などの状態を調べるために行われるX線X線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査写真)検査
    • 胸部CT検査X線(放射線)を用いて胸の中の状態を調べる検査。肺や肋骨などの状態を確認するために行われることが多い:肺の影の形や濃度や位置で原因を推定し、治療決定の参考にする
  • 呼吸機能検査空気を吸う力と吐く力を測定する検査。スパイロメトリーと呼ばれる機械を使用する:肺の働きなどを調べ、どれくらい病気が進行しているのかを判断する
  • 気管支鏡口もしくは鼻から、細い内視鏡(ファイバースコープ)を肺の気管支まで入れて、気管や気管支の内側の状態を調べる検査気管支内視鏡口もしくは鼻から、細い内視鏡(ファイバースコープ)を肺の気管支まで入れて、気管や気管支の内側の状態を調べる検査検査):肺の一部を採って顕微鏡で見ることで、間質性肺炎の原因を推定する
    • 胃カメラ口もしくは鼻から小さいカメラを胃まで進めて、胃の中の状態を見る検査。「上部消化管内視鏡検査」とも呼ばれる上部消化管内視鏡検査口もしくは鼻から小さいカメラを胃まで進めて、胃の中の状態を見る検査。「上部消化管内視鏡検査」とも呼ばれる)のように気管支鏡というカメラ自在に曲がる管の先にカメラがついていて、体の奥を覗くための機械。有名なのは胃カメラや大腸カメラだが、様々な太さや用途があるを主に口から入れて行う
    • 胃カメラはカメラの先端が胃に向かうが、気管支鏡ではカメラの先端は肺に向かう
    • カメラの先から鉗子と呼ばれる肺の組織を噛み取ってくる機材を出して、肺の組織を取ってくる
      ・肺の組織を噛み取ってくるため、一定確率で肺が破綻して気胸や肺出血が起こってしまう
      ・しかし、組織を見ることで原因や治療法が見えてくることもあるので、病状次第では気胸や肺出血のリスクが負ってでも行うべき検査である
  • ビデオアシスト下胸部手術(VATS):胸腔鏡胸に小さな穴を開けて、そこから挿入したカメラで肺や胸膜の状態を調べる検査を使った手術をして肺の一部を切除して間質性肺炎のタイプなどを調べる
    • 手術をして肺の一部を切り取るほどまでしなければ診断がつかない間質性肺炎は多い
        仮にVATSを行っても確定診断までは至らないケースもある

間質性肺炎の治療法

  • 間質性肺炎の原因がある場合にはそれを避けること
    • 免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患の異常が原因の場合には免疫を抑える薬を使用する
      ステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている
      ・免疫抑制薬
      特発性その病気や状態が引き起こされた原因が、未だ判明していないこと肺線維症というタイプには、肺が硬く(線維化臓器が機能を失ってしまうこと。それに伴って臓器は弾力を失い、本来の細胞が線維細胞と呼ばれる機能をもたない細胞に置き換わってしまう)なっていってしまうのを遅らせる薬(ピルフェニドンやニンテダニブ)を使用する
    • 酸素が足りなく苦しい時は酸素吸入を行う(在宅酸素療法自宅での酸素吸入器を導入した治療法。慢性呼吸不全や慢性心不全で用いられる
    • 間質性肺炎が進行して、酸素の取り込み能力以外に、二酸化炭素の排出能力も低下してきた場合には、人工呼吸器が必要になることがある
    • 呼吸のトレーニングや下半身の筋力強化(呼吸リハビリテーション)を行う
  • 喫煙は肺の病気を進行させるので、禁煙は非常に重要
  • 薬の副作用で起こっている場合もあるので、間質性肺炎が起こった時に使っていた薬やサプリメントをよく調べ、原因となりそうな薬を変更したりやめたりすることも必要な場合がある
  • かぜ急性上気道炎)や肺炎がおこると重症になってしまうことが多いので、風邪を引かないように予防することが非常に重要
    • 手洗い・うがいを徹底する
    • 肺炎球菌細菌の一種。肺炎、髄膜炎、中耳炎など、様々な感染症の原因となり、唾液などを通じて飛沫感染をするワクチンやインフルエンザウイルスのどや気管、気管支、肺などに感染し、発熱や咳、鼻水などの症状を起こすウイルスワクチンの接種も非常に重要
  • 若年の患者さんでは肺移植が検討されることもある

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