かんしつせいはいえん
間質性肺炎
肺の中の空気の通り道ではなく、肺の支持組織(間質)に炎症が起きた状態
17人の医師がチェック 208回の改訂 最終更新: 2018.02.15

Beta 間質性肺炎のQ&A

    間質性肺炎の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    肺はブドウの房のように連なった「肺胞」という袋が集まってできた臓器で、それらが集まって気管支でつながれています。肺胞で酸素と二酸化炭素を交換し、肺胞の外側にある血管を通って体内に取り込みます。その血管などがある肺胞以外の場所を「間質」といいます。肺はスポンジのような構造になっており、空気がある場所が肺胞で、スポンジ自体が間質と思っていただけるとわかりやすいと思います。 間質性肺炎とは間質に炎症がおこることで発症する疾患ですが,原因は様々です。何らかのアレルギー物質(ガスや粉塵など)の吸入や、自己免疫性疾患(膠原病)、薬剤、感染などでおきることもありますが、原因がはっきりしないこともあります。 間質で炎症が起こると、間質が厚くなり、酸素と二酸化炭素の交換効率が低下し、呼吸が苦しくなります。肺気腫は喫煙などの影響で肺胞自体が壊れていくため、スポンジの網目が大きくなり、空洞が多くなるようなイメージですが、間質性肺炎はスポンジの網目自体が潰されたように折り重なって小さくなると思ってください。つまり間質性肺炎では肺が固く膨らみづらくなります。細かいメカニズムに関して、全てが解明されているわけではないのが現状です。

    間質性肺炎は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    正確な頻度はわかっていませんが、原因がはっきりしない特発性間質性肺炎はいくつかの種類に細分されます。そのうち特に予後が悪く、多い疾患とされる特発性肺線維症(IPF:Idiopathic Pulmonary Fibrosis)の有病率(ある時点において、疾病に罹患している人の割合)は10万人あたり10.0人と報告されています。それ以外で多く認められるのは、非特異的間質性肺炎(NSIP:Non-Specific Interstitial Pneumonia)と、特発性器質化肺炎(COP:Cryptogenic Organizing Pneumonia)の2つで、それ以外はさほど多くありません。ただし、軽症の場合や自然に改善しているものは把握できていないものも多く、実数はもっと多くなると思われます。

    間質性肺炎 と 一般的な肺炎の違いについて教えて下さい。

    肺は「肺胞」と「間質」で構成されています。一般的な肺炎は肺胞内に菌(細菌、ウィルス、真菌など)が入り、炎症を起こすことで発症します。一方、間質性肺炎は肺胞ではなく間質で炎症を起こすため、炎症が起きている場所が違います。普通の肺炎に名前をつけるとすれば「肺胞性肺炎」になりますが、一般的には単純に肺炎と呼んでいます。

    間質性肺炎と感染性肺炎の異なる点として以下のような点があげられます。

    ◎間質性肺炎

    • 空気の通り道(気管支や肺胞)の壁やその外側の炎症

    • 免疫の異常や、薬や放射線治療の副作用、喫煙等で起こることが多い

    • 治療が難渋したり困難な場合が多い

    ◎肺炎(感染性肺炎)

    • 気管支や肺胞の内側などの空気の通り道の炎症

    • 細菌やウイルスなどの感染によって起こる

    • もともとの全身の状態にもよるが、抗菌薬の投与により治療が行える場合が多い

    このように、間質性肺炎は肺炎とは原因が全く違う病気であり、また治療が難しい病気になります。

    間質性肺炎が発症しやすくなる、または間質性肺炎の人が他に注意すべき病気はありますか?

    間質性肺炎には原因が特定できないものが多く、検診などで偶然発見される場合もあります。自己免疫性疾患(膠原病)の中には間質性肺炎を合併することが多く、疾患によっては間質性肺炎の進行がその後の経過に大きく関わるものも存在します。また、粉塵や鳥の糞など特殊な物質を吸入することで発症するような間質性肺炎もあるため、何らかの症状があれば画像検査で間質性肺炎の有無を精査することが望ましいと思われます。 間質性肺炎と診断された方で特に注意を要するのは、「急性増悪」です。感染などをきっかけに急激に間質性肺炎が悪化し、呼吸困難、低酸素血症が進行し、高い確率で死にいたる重篤な病態になります。風邪や肺炎などの感染で引き起こされるケースも多いので、可能な限り予防していただくことが重要です。手洗いうがいなどの一般的な対策や、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザウイルスワクチンなども重要と考えられます。

    間質性肺炎は遺伝する病気ですか?

    間質性肺炎が遺伝するかどうかははっきりしていません。原因遺伝子も多く分かってきており、それが治療にも応用される段階になっていますが、それら単独で発症していると証明できていません。喫煙や何らかの吸入など環境因子にも大きく左右されるため、現時点では明確な遺伝はないと思われます。しかし、ご家族で間質性肺炎を発症された方がいる場合には、発症率をあげる遺伝子を共有している可能性もあるため、喫煙などは避けるようにしたほうがよいでしょう。

    間質性肺炎は、どんな症状で発症するのですか?

    間質性肺炎にはゆっくりと進行するものと、急激に悪化するものがありますが、多くの場合ゆっくりと進行し、初期は無症状のことが多いと考えられます。その段階でも検診などで偶然指摘され受診されることもあります。痰を伴わない空咳や、労作時の呼吸困難感などを自覚するときには病気はある程度進行している可能性があります。

    間質性肺炎が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    進行すると強く頑固な咳や、安静時でも呼吸困難を自覚するようになります。また、病気の勢いが強いときには発熱や痰など伴うこともあります。また肺性心といって、肺にかかる負担が心臓にも影響をおよぼし心不全も合併する場合があります。低酸素血症が悪化した場合には、在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)が必要になったり、非侵襲的陽圧換気療法(NPPV:Non-invasive Positive Pressure Ventilation)を併用することもあります。

    間質性肺炎は、どのように診断するのですか?

    間質性肺炎の診断自体はさほど難しいものではなく、胸部CTで間質性肺炎を示唆する所見があれば、見慣れている医師であれば直ちに指摘できることも多いです。ただし、一般的な肺炎との区別が難しいケースもあります。進行したケースでは、胸部レントゲンだけで診断できることもあります。問題は間質性肺炎のうちどのような分類に相当するか、間質性肺炎の原因が何か、どのくらいのスピードで進行するのか、といったところです。これらを決めるのは多くのケースで容易ではなく、専門家の間でも意見が分かれることもよくあります。これらを推定するために採血検査、動脈血液ガス検査、呼吸機能検査、6分間歩行試験、心電図検査、心臓超音波検査、気管支鏡検査、外科的肺生検などを必要に応じて施行していきます。

    間質性肺炎の他の診断方法について教えて下さい

    画像検査(胸部レントゲン、胸部CT)を行いますが、特発性肺線維症以外の分類は画像検査では区別が困難です。分類や原因を調べることで治療方針を決定しますが、最終的には全身麻酔で胸腔鏡下肺生検を行い、病理検査(細胞を顕微鏡でみる検査)も行うことが望ましいとされます。しかし、悪性腫瘍ではないため手術まで行うかどうかはその時の状況によっては異なりますし、手術などの全身麻酔や手術侵襲によって間質性肺炎が「急性増悪(急に状態が悪化すること)」することもあり適応については慎重に判断します。

    間質性肺炎の治療法について教えて下さい。

    治療はその病態によって様々ですが、大きく分ければ特発性肺線維症(IPF)とそれ以外の2つにわけることができます。特発性肺線維症は非常に経過が悪く、その他の間質性肺炎で使用されることの多いステロイドの効果が乏しいとされています。特発性肺線維症(IPF)に対しては線維化を予防するピルフェニドン(商品名:ピレスパ)やニンテダニブ(商品名:オフェブ)などが主に行われており、IPF以外の間質性肺炎ではステロイドを中心として各疾患に応じた治療が行われることが多いです。ただし、間質性肺炎の多くは非可逆的であり、治療によって進行を遅らせたり急性増悪の頻度を減らすことは期待できますが、破壊された肺は基本的には元に戻りません。

    間質性肺炎の治療薬について教えて下さい。

    普通であれば自分の免疫で守られるはずの肺を自分の免疫が攻撃してしまうということが、多くの間質性肺炎において関与しているメカニズムと想定されています。そのためステロイドや免疫抑制剤など自分の免疫を抑える薬を使用します。一般的に予後が良いとされる間質性肺炎はステロイドがよく効くものです。肺の「線維化」があまり進行せず、「細胞浸潤」がメインの場合にステロイドが効くケースが多く治療の主体もステロイドになります。器質化肺炎などはステロイドの反応がよい間質性肺炎の代表と言えます。しかし、その他の疾患はステロイドのみで病勢がコントロールできず、免疫抑制剤(商品名:ネオーラル、プログラフ、エンドキサンなど)を追加することがあります。こちらが効果的な場合はステロイドを減量していくことが可能であり、骨粗鬆症・満月様顔貌(ムーンフェイス)・糖尿病などのステロイドに特徴的な副作用を軽減することが可能です。ただし、免疫抑制剤の副作用も多く、ステロイド単独では治療困難な場合に追加されるケースがほとんどです。

    間質性肺炎の薬は、生涯飲み続けることになるのですか?

    ステロイドや免疫抑制剤は、中止や減量によって間質性肺炎が再増悪するため飲み続ける場合が多いです。なるべく副作用がでないように必要最低限の量まで減量しますが、再増悪した場合は命に関わることもあるため無理な減量はせず、月-年単位でゆっくりと調整します。落ち着いているケースでも、完全に治療薬を無しに出来るケースはさほど多くありません。

    間質性肺炎では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    数日から数週間単位で急激に病状が悪化する場合(急性増悪)には、命に関わる非常に危険な状態なので、必ず入院で治療を開始すべきです。ゆっくりと悪くなっている場合には、入院は必ずしも必要ありませんが、気管支鏡検査、心臓カテーテル検査、外科的肺生検など大掛かりな検査のために入院が必要になることがあります。また治療のためステロイドの導入を行う場合、プレドニゾロン換算で0.5-1.0mg/体重kg/日程度で使用を開始します。体重60kg程度の場合は30mg/日から60mg/日ほどと高用量になり、2週間から4週間ほどで5mgから10mgくらいずつゆっくりと減量するケースが日本では多いです。ステロイドの使用量が多い場合には、感染症などの副作用も懸念されるため0.5mg/kg/日ほどまで減量できるまでは入院としているケースが多いですが、個々の患者さんによって詳細は検討されます。

    間質性肺炎の通院治療について教えて下さい。

    通院頻度については、治療前の経過観察段階か治療開始後かで異なります。病態や年齢、進行具合で治療を開始するかどうか判断しますが、経過観察の段階であれば数ヶ月から6ヶ月に1回程度、呼吸機能検査・胸部CT・採血などを行っていくのみで問題ないケースが多いです。何らかの薬剤を開始した場合は、副作用などをみるため2週間から1ヶ月ごとくらいの通院が必要になる場合が多いです。在宅酸素療法を行っているような方では毎月の受診が必要になります。

    間質性肺炎に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    大きく分けて「病気の進行」と、「薬の副作用」の2つに注意が必要です。間質性肺炎の多くは少しずつ進行しますが、数日単位で急激に悪化する「急性増悪」を起こすことがあります。「急性増悪」は命に関わる危険な状態ですから、急激に呼吸が苦しくなるなどする場合には1日でも早く病院を受診するようにしてください。また治療にはステロイドや免疫抑制剤などの抵抗力を抑えるものをしばしば使用します。そのため様々な感染が悪化しやすく、治りづらくなります。発熱がなくても咳や、痰の増加などあればかかりつけ医を受診することをお勧めします。

    間質性肺炎は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    間質性肺炎は、器質化肺炎のような治療反応性が良いもの以外は基本的に次第に進行していく病気です。したがって、間質性肺炎の種類にも依りますが、完治が期待できるものは決して多くありません。また、一度破壊されてしまった肺は基本的には元に戻らないため、劇的に呼吸機能が回復することは期待しにくい病気です。長い目でみて病気と付き合いつつ、今ある肺の機能を維持していくことを目標として、担当医と一緒に病気に向き合っていきましょう。


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