かんしつせいはいえん
間質性肺炎
肺の中の空気の通り道ではなく、肺の支持組織(間質)に炎症が起きた状態
17人の医師がチェック 210回の改訂 最終更新: 2018.08.01

間質性肺炎の症状:咳、息切れなど

間質性肺炎は命に関わる病気だからこそ、その症状や対処法に関しては十分に患者さん自身で把握しておきたいものです。ここでは間質性肺炎の症状やその対処法などに関して解説していきます。

1. 間質性肺炎に初期症状はある?

間質性肺炎は肺の間質という部分に炎症を起こす様々な病気の総称です。どのような種類の間質性肺炎かによって病気の進み方や症状の出方は異なります。間質性肺炎では痰(たん)のあまり絡まない咳や、動いた時の息切れが有名な症状ですが、それらの症状が目立つ頃には間質性肺炎はそれなりに進行してしまっていることが多いと言えるでしょう。

症状ではありませんが、間質性肺炎の患者さんの呼吸の音を聴診器で聴いてみると「バチバチ」というような音が聴かれることがよくあります。典型的には、息を吸う時に背中側、肺の下の方で聴こえることが多いです。これを専門的には捻髪音(ねんぱつおん)やベルクロ・ラ音、英語でfine crackles(ファインクラックルズ)と呼び、重要な特徴であると考えられます。間質性肺炎の患者において、咳や息切れが自覚されるよりも早く出てくるサインだとは思われますが、ご自身で気づくのは難しいでしょう。健康診断の聴診で捻髪音を指摘され、それを契機に間質性肺炎と診断されることはあります。

他にも、間質性肺炎が進行して体に酸素が足りない状況が続くと、「ばち指」といって手指で爪の付け根の部分が盛り上がってくることがあります。ばち指はCOPDなど、体が酸素不足になるような他の病気でもしばしば現れる徴候です。ただし、ある程度間質性肺炎が進行しないと出てこない徴候なので、初期に間質性肺炎を見つけるためにはあまり役立たないでしょう。

このように、間質性肺炎を症状から早期に疑うことは難しいと言えます。日本ではCT撮影が非常に広く普及しているので、実際に初期に間質性肺炎が見つかるケースとしては、何らかの理由で胸部CTを撮影した際に間質性肺炎が見つかるというパターンが多いです。

2. 間質性肺炎ではどんな咳が出る?

間質性肺炎のごく初期には何も症状が無いことが多いですが、ある程度間質性肺炎が進行すると乾いた咳がしつこく出てくるのが特徴的です。ただし間質性肺炎は肺の間質という部分に炎症を起こす様々な病気の総称なので、どのような種類の間質性肺炎かによって当然ながら咳の出方も異なります。例えばタバコに関連した間質性肺炎などでは、そもそも喫煙者は痰が出やすいので痰絡みの咳になることもよくあります。

このように咳の出方だけで特定の病気を疑ったり診断することは不可能です。ただ、数週間以上にわたって咳が続くような場合にはただの風邪ではなく、病院で治療を受けたほうが良い病気もしばしば隠れているので、数週間以上にわたって咳が続くような方は医療機関を受診することをオススメします。

3. 間質性肺炎では息切れ(呼吸困難)は出る?

間質性肺炎がある程度進行すると、動いた時に息が切れる症状、つまり労作時呼吸困難が出てきます。さらに間質性肺炎が進行すると、じっとしている時にも息が切れる症状、つまり安静時呼吸困難が出てきます。間質性肺炎でこのような症状が出る場合、多くは体に酸素が足りていない状況になっています。そのような場合には在宅酸素療法のように、酸素の吸入を持続的に行う治療が必要になってくるでしょう。

医師から見ると同じくらいの症状でも、訴えが多い方もいればとても我慢強い方もいます。「今日はとてもつらいんです」といった説明だと医師の判断がずれてしまうかもしれません。そこで症状を客観的に評価する手段として以下のような尺度が使われます。

息切れの程度を客観的に評価するためによく使われる質問票として修正MRC(mMRC)というものがあります。mMRCとはmodified Medical Research Councilの略です。

グレード0からグレード4まであり、4が最も重症となります。

  • グレード0
    • 激しい運動をしたときだけ息切れがある。
  • グレード1
    • 平坦な道を早足で歩くあるいは緩やかな上り坂を歩く時に息切れする。
  • グレード2
    • 息切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時、息切れのために立ち止まることがある。
  • グレード3
    • 平坦な道を約100m、あるいは数分歩くと息切れで立ち止まる。
  • グレード4
    • 息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをする時にも息切れがある。

4. リハビリで間質性肺炎の症状は和らぐのか?

間質性肺炎の患者さんは息切れのためにあまり動かなくなり、それによって身体能力の低下、うつ状態、社会的な孤立、などを招くことがしばしばあります。するとますます呼吸困難感が増していくという悪循環に陥ってしまいます。その対策として呼吸リハビリテーションがあります。

呼吸リハビリというと、呼吸に必要な筋肉のトレーニングをイメージされる方が多いかと思いますが、実際には全身のコンディショニングや、足など全身の筋力トレーニングを行っていきます。また、痰をうまく吐き出す訓練なども行います。最初はクリニックあるいは病院で専門の理学療法士から正しい呼吸リハビリの方法を教えてもらいましょう。動画サイトでリハビリ方法を紹介しているものもあるので、復習として見てみるのも良いでしょう。

在宅酸素療法が必要な重症の患者さんにも呼吸リハビリはもちろん有効ですが、なるべく早く始めるほうがより有効とされています。息切れもありなかなかモチベーションも上がらないかもしれませんが、リハビリを続けることで筋力の増強、運動能力の上昇、呼吸の辛さの緩和、生活の質の向上が得られることが多くのデータで示されており、ぜひ積極的に取り組んでいきたいものです。

参考文献:Respirology 2008 ; 13 : 394-399. Respir Med 2012 ; 106 : 429-435.

Cochrane Database Syst Rev 2014 ; 10 : CD006322.