間質性肺炎の症状:咳、息切れなど
間質性肺炎は命に関わる病気だからこそ、その症状や対処法に関しては十分に患者さん自身で把握しておきたいものです。ここでは間質性肺炎の症状やその対処法などに関して解説していきます。
1. 間質性肺炎に初期症状はある?
間質性肺炎は肺の間質という部分に
症状ではありませんが、間質性肺炎の患者さんの呼吸の音を
他にも、間質性肺炎が進行して体に酸素が足りない状況が続くと、「
このように、間質性肺炎を症状から早期に疑うことは難しいと言えます。日本では
2. 間質性肺炎ではどんな咳が出る?
間質性肺炎のごく初期には何も症状が無いことが多いですが、ある程度間質性肺炎が進行すると乾いた咳がしつこく出てくるのが特徴的です。ただし間質性肺炎は肺の間質という部分に炎症を起こす様々な病気の総称なので、どのような種類の間質性肺炎かによって当然ながら咳の出方も異なります。例えばタバコに関連した間質性肺炎などでは、そもそも喫煙者は痰が出やすいので痰絡みの咳になることもよくあります。
このように咳の出方だけで特定の病気を疑ったり診断することは不可能です。ただ、数週間以上にわたって咳が続くような場合にはただの風邪ではなく、病院で治療を受けたほうが良い病気もしばしば隠れているので、数週間以上にわたって咳が続くような方は医療機関を受診することをオススメします。
3. 間質性肺炎では息切れ(呼吸困難)は出る?
間質性肺炎がある程度進行すると、動いた時に息が切れる症状、つまり労作時呼吸困難が出てきます。さらに間質性肺炎が進行すると、じっとしている時にも息が切れる症状、つまり安静時呼吸困難が出てきます。間質性肺炎でこのような症状が出る場合、多くは体に酸素が足りていない状況になっています。そのような場合には
医師から見ると同じくらいの症状でも、訴えが多い方もいればとても我慢強い方もいます。「今日はとてもつらいんです」といった説明だと医師の判断がずれてしまうかもしれません。そこで症状を客観的に評価する手段として以下のような尺度が使われます。
息切れの程度を客観的に評価するためによく使われる質問票として修正MRC(mMRC)というものがあります。mMRCとはmodified Medical Research Councilの略です。
グレード0からグレード4まであり、4が最も重症となります。
- グレード0
- 激しい運動をしたときだけ息切れがある。
- グレード1
- 平坦な道を早足で歩くあるいは緩やかな上り坂を歩く時に息切れする。
- グレード2
- 息切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時、息切れのために立ち止まることがある。
- グレード3
- 平坦な道を約100m、あるいは数分歩くと息切れで立ち止まる。
- グレード4
- 息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをする時にも息切れがある。
4. リハビリで間質性肺炎の症状は和らぐのか?
間質性肺炎の患者さんは息切れのためにあまり動かなくなり、それによって身体能力の低下、うつ状態、社会的な孤立、などを招くことがしばしばあります。するとますます呼吸困難感が増していくという悪循環に陥ってしまいます。その対策として呼吸リハビリテーションがあります。
呼吸リハビリというと、呼吸に必要な筋肉のトレーニングをイメージされる方が多いかと思いますが、実際には全身のコンディショニングや、足など全身の筋力トレーニングを行っていきます。また、痰をうまく吐き出す訓練なども行います。最初はクリニックあるいは病院で専門の
在宅酸素療法が必要な重症の患者さんにも呼吸リハビリはもちろん有効ですが、なるべく早く始めるほうがより有効とされています。息切れもありなかなかモチベーションも上がらないかもしれませんが、リハビリを続けることで筋力の増強、運動能力の上昇、呼吸の辛さの緩和、生活の質の向上が得られることが多くのデータで示されており、ぜひ積極的に取り組んでいきたいものです。
参考文献
・Nishiyama O, et al. Effects of pulmonary rehabilitation in patients with idiopathic pulmonary fibrosis. Respirology 2008 ; 13 : 394-399.
・Anne E. Holland, et al. Predictors of benefit following pulmonary rehabilitation for interstitial lung disease. Respir Med 2012 ; 106 : 429-435.
・Dowman L, et al. Pulmonary rehabilitation for interstitial lung disease. Cochrane Database Syst Rev 2014 ; 10 : CD006322.