きかんしかくちょうしょう
気管支拡張症
気管支が破壊されて、内腔が広がってしまう病気。菌が感染しやすく、肺炎や気管支炎を繰り返しやすい
5人の医師がチェック 102回の改訂 最終更新: 2024.03.11

気管支拡張症の基礎知識

POINT 気管支拡張症とは

口と肺をつなげる空気の通り道を気道と言います。気道の一部である気管支が拡張する病気が気管支拡張症です。気管支が拡張すると、細菌が気道に侵入して感染を起こしやすくなります。主な症状は、咳・痰・発熱・だるさ・胸痛・体重減少・呼吸困難などです。副鼻腔炎を合併していることも多く、その場合は鼻汁や頭痛を伴います。 症状や身体所見に加えて、CT検査などの画像検査で診断されます。治療には痰を出しやすくする薬を用いるなどしますが、感染を伴っている人では抗菌薬が使われることもあります。気管支拡張症が心配な人や治療したい人は、呼吸器内科や感染症内科を受診して下さい。

気管支拡張症について

  • 何らかの原因で気管支が拡張していまい、元に戻らない病気
    • 感染しやすく、肺炎気管支炎を繰り返しやすい
    • 拡張した部分の周囲に血管が増えるため、痰や血痰が出やすくなる
  • 主な原因
    • 慢性的な気道の感染(非結核性抗酸菌症など)
    • 気道の詰まり
    • 先天性(気管支の線毛機能異常(カルタゲナ−症候群など))
    • 免疫異常 など
  • 慢性副鼻腔炎合併していることがしばしばある(副鼻腔気管支症候群)
  • 気管支拡張が起きた部位では菌を追い出す力が弱く、感染が起きてさらに気管支拡張が悪化していくパターンが多い

気管支拡張症の症状

  • 主な症状
    • 長引く咳
    • 黄色い痰
    • 血痰
    • 呼吸困難、息切れ
    • 胸痛
    • 38℃以上の発熱
    • だるさ
    • 脱力感
    • 体重減少

気管支拡張症の検査・診断

  • 画像検査:拡張した気管支像を調べる
    • 胸部レントゲンX線)検査:拡張した気管支像の有無を調べる
    • 胸部CT検査:拡張した気管支像の有無とその分布、など程度を調べる
  • 呼吸機能検査:肺機能の異常を調べる
  • 細菌検査:痰を培養して感染症の有無や、治療すべき感染症がないかを検査する

気管支拡張症の治療法

  • 主な治療法
    • 痰を出しやすくする
      • 飲み薬や吸入薬で痰や咳を抑える薬を使う
      • 痰を出しやすい姿勢や体の向きを取る(背中を叩きながら行うと効果的)
    • 感染が起こっていれば抗菌薬を使用する
    • 血痰が止まらなければ止血を行う
      • 内視鏡での止血やカテーテルを用いた気管支動脈塞栓術、手術による肺部分切除術など
  • びまん性汎細気管支炎と同様に、マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシンなど)を少量ずつ長期間使用すると経過が良くなるという意見もある
  • 予防、再発予防方法
    • 化学物質から肺を守るため、汚染された空気を避ける
    • 禁煙をする
    • 感染を繰り返し、気管支壁の破壊を繰り返す悪循環に至らないよう、手洗いとうがいを欠かさないようにする

気管支拡張症に関連する治療薬

鎮咳薬(非麻薬性)

  • 咳を引き起こす咳中枢の抑制作用や気道を広げる作用などにより咳などの呼吸器症状を緩和する薬
    • 咳はウイルスなどの異物や痰を体外へ排出しやすくする生体内防御反応だが、体力の消耗や元々の呼吸器疾患の悪化などを引き起こす場合もある
    • 咳は延髄の咳中枢からの指令によりおこるが、気管支炎症などにより気道が狭くなると咳がおきやすくなる
    • 本剤は咳中枢を抑えたり、気管支を拡張させるなどの作用をあらわす
鎮咳薬(非麻薬性)についてもっと詳しく

鎮咳・去痰薬

  • 咳を抑え、痰を吐き出しやすくするなどにより気管支炎などによる呼吸器症状を和らげる薬
    • 咳はウイルスなどの異物や異物をからめとった痰を体外に排出しやすくなる生体防御反応
    • 咳によって体力の消耗、不眠など体への負担が増す場合もある
    • 本剤は咳を抑える鎮咳作用と痰を排出しやすくする去痰作用をあらわす
鎮咳・去痰薬についてもっと詳しく

気管支拡張症のタグ

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