2017.07.25 | ニュース

息ができない「COPD急性増悪」はマスクの人工呼吸で助かる?

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

息ができない「COPD急性増悪」はマスクの人工呼吸で助かる?の写真

COPDはタバコなどが原因で肺の組織が破壊され、呼吸機能が悪化する病気です。急性増悪と呼ばれる状態は命に関わることもあります。人工呼吸器の効果として報告されているデータの調査が行われました。

慢性閉塞性肺疾患COPD)は、長年のうちに肺が障害されて呼吸機能が悪化する病気です。喫煙などが原因になります。肺の細かい構造が破壊される(肺気腫)などの変化が起こります。

肺のダメージは元に戻ることがありません。COPDが進むとしだいに呼吸がしにくくなっていきます。また感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称などをきっかけとして症状が急激に悪化し、追加の治療を必要とする場合があります。これを急性増悪元々病状が悪い状態から、さらに急に症状が悪化すること(きゅうせいぞうあく)と言います。

急性増悪は命にも関わることがあります。

 

オーストラリアとイギリスの研究班が、COPDの急性増悪に対する非侵襲的換気(NIV)についての調査を『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

この調査は、過去の研究結果を集めて統合したものです。

NIVは、マスク型の人工呼吸器を使った治療です。NIVで十分に呼吸を補えない場合、気管に空気を通すチューブを入れて(気管挿管して)人工呼吸を行う方法もあります。

研究班は文献データベースを検索して関係する研究報告を集めました。

COPD急性増悪により血液中の酸素が少なくなるとともに二酸化炭素が溜まった状態になっている患者を対象として、治療法をランダムに分ける方法で、NIVと通常のケアのみの場合を比較した研究を選びました。

 

条件に合う17件の研究が見つかりました。データの解析から次の結果が得られました。

NIVの使用は死亡率を46%減らし(リスク比0.54、95%信頼区間0.38-0.76、12件の研究、NNTB12、95%信頼区間9-23)、気管内挿管が必要になるリスクを65%減らした(リスク比0.36、95%信頼区間0.28-0.46、17件の研究、NNTB5、95%信頼区間5-6)。

NIVを使ったほうが通常のケアのみの場合に比べて死亡率が46%低く、気管挿管が必要になった場合が65%少なくなっていました。

NIVを5人が使うごとに1人の気管挿管を防ぎ、12人が使うごとに1人の死亡を防ぐ程度の効果があると見積もられました。

 

COPDの急性増悪に対してNIVが有効とした報告を紹介しました。

急性増悪は緊急事態です。死亡率の差としてNIVの効果が示されているとおり、治療しなければ命に関わります。NIVや気管挿管による人工呼吸で救命できる見込みがあります。

実際には人工呼吸器を使わないと意志表示している人もいます。ただ前提のひとつとして、どの程度の効果が期待できるかを知っておくことは、判断の助けになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Non-invasive ventilation for the management of acute hypercapnic respiratory failure due to exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 July 13.

[PMID: 28702957] http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD004104.pub4/abstract

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。