肥満低換気症候群の呼吸改善には非侵襲的換気療法(NIV)が有効
肥満低換気症候群は肥満にともなって呼吸の状態が悪くなる病気です。持続式陽圧呼吸療法(CPAP)や非侵襲的換気療法(NIV)が治療に用いられますが効果に関する情報は少なく、筆者らは実際の治療で検討しました。
◆2ヶ月間の追跡調査でCPAPとNIVの効果を測定
持続式陽圧呼吸療法(CPAP)とは鼻に装着したマスクから空気を送りこむことで 、ある一定の圧力を気道にかける方法です。また非侵襲的換気療法(NIV)はマスクや体外式呼吸器を用いて、間歇的陽圧換気、陰圧換気などの人工換気を行う療法です。
著者らは、肥満低換気症候群の症状を示し深刻な睡眠時無呼吸がある患者を、CPAPまたはNIVを行う群、生活習慣改善のみの群(対照群)に分け、昼間の
◆NIVのほうが呼吸改善に効果あり
以下の結果を得ました。
合計351人の患者が選ばれ221人が無作為試験を受けた。NIVは昼間の動脈血中二酸化炭素と重炭酸塩の濃度に最も大きな効果をもたらし対照群と
有意 に差があったが、CPAP群と有意差はなかった。CPAP群における昼間の動脈血中二酸化炭素濃度改善は、CPAPをしっかり使ったかどうかの補正をした場合のみ対照群と有意に差を示した。
つまり、NIV処置とCPAP処置の両方が呼吸改善の効果を示しました。著者らは他にも肺活量測定や6分間の歩行距離の結果に関し、NIV処置がCPAP処置よりも改善が見られたことを示しています。また臨床症状や睡眠ポリグラフに関してはNIVとCPAPどちらでも改善を示しました。
著者らは、「NIVとCPAPは生活習慣を変えるよりも臨床症状や睡眠ポリグラフパラメータの改善に優れたが、NIVの方がCPAPより呼吸機能の改善をもたらした。」と結論付けています。また「この機能的改善が
2ヶ月という比較的短期の追跡調査であるので、実際の治療においてどの程度の価値があるかについてはより長期間の調査が必要であると思われますが、肥満低換気症候群の治療確立に向けて希望を感じます。
執筆者
Efficacy of Different Treatment Alternatives for Obesity Hypoventilation Syndrome. Pickwick Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2015 Jul 1
[PMID: 25915102]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。