無呼吸症候群の治療、高齢者にもCPAPの効果はあるか
朝の頭痛や日中の眠気を起こす睡眠時無呼吸症候群の原因のひとつに、肥満などで空気の通り道がふさがってしまうことがあります。そうした閉塞性睡眠時無呼吸の治療として、呼吸を助ける装置の効果を調べる研究が行われました。
◆70歳以上の重症患者が対象
閉塞性睡眠時無呼吸の治療に、持続陽圧呼吸(CPAP)という方法があります。マスクを通じて空気を送る装置により、空気の通り道に圧力をかけ、ふさがるのを防ぐ治療です。効果はよく知られていますが、70歳以上の患者についての情報はわずかでした。
研究班は、重症の閉塞性睡眠時無呼吸がある70歳以上の患者224人を対象として、CPAPの効果を調べる試験を行いました。
対象者はCPAPの治療を受ける群と、CPAPなしで治療される群にランダムに分けられ、それぞれ3か月の治療を受けました。
◆生活の質、症状に改善
次の結果が得られました。
intention-to-treat解析において、CPAP群はすべての
QOL ドメイン(P<0.001、効果量0.41-0.98)、すべての睡眠関連症状 (P<0.001、効果量0.31-0.91)、不安(P=0.016、効果量0.51)、うつ症状(P<0.001、効果量0.28)の指数といくつかの神経認知テスト(digit symbol testでP=0.047、効果量0.20、Trail Making Test AでP=0.029、効果量0.44)により大きい改善を達成した。
CPAPの群で、CPAPなしの群よりも生活の質、睡眠に関係する症状などの改善が見られました。
高齢の人では薬の効き方が違うなど、より若い人と同じ治療で同じ効果があるとは限りません。睡眠時無呼吸症候群に対しても、このような結果があることで、より計画的に治療を行う参考になるかもしれません。
執筆者
Obstructive sleep apnoea in the elderly: role of continuous positive airway pressure treatment.
Eur Respir J. 2015 Jul
[PMID: 26022945]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。