2015.07.17 | ニュース

急性呼吸不全に入院前からCPAPで結果改善、費用対効果は

10件のネットワークメタアナリシス
from Health technology assessment (Winchester, England)
急性呼吸不全に入院前からCPAPで結果改善、費用対効果はの写真
(C) Amy Walters - Fotolia.com

急性呼吸不全に対する入院前の持続陽圧呼吸(CPAP)の効果を報告したデータを統合したところ、CPAPは気管挿管が必要になることおよび死亡を防ぐ効果が認められるものの、費用対効果で優れているかは確かでないという結果が得られました。

窒息やアレルギーなどさまざまな原因で、肺から十分な酸素が取り込まれなくなる呼吸不全の状態に陥ったときは、酸素補充などの治療が必要になります。CPAPは圧力をかけた空気を吸入することで、肺までの空気の通り道が塞がらないようにする治療法で、肺水腫睡眠時無呼吸症候群の治療にも使われます。この研究では、急性呼吸不全がある救急患者に対して、入院前からCPAPを行うことの効果と、そのために必要な救急設備のコストを検討しています。

 

◆複数の治療法についての比較を統合

研究班は、過去の文献からCPAPの効果をまとめるため、複数の治療法を比較できるネットワークメタアナリシスという手法を使いました。文献検索から、通常のケアに比べてCPAPまたは二相式気道陽圧(BiPAP)という治療の効果を調べたものを集め、ネットワークメタアナリシスの手法で統計解析を行いました。

 

◆死亡率、気管挿管率に改善

解析から次の結果が得られました。

採用基準を満たした10件の研究のうち、8件がランダム化対照試験、2件が準ランダム化試験だった(6件はCPAPについて、4件はBiPAPについて、参加者数は23人から207人)。

集められたデータのネットワークメタアナリシスから、CPAPが死亡率について(確率=0.989)、また気管挿管率について(確率=0.639)最も有効な治療であり、標準的ケアに対して死亡率(オッズ比0.41、95%信用区間0.20-0.77)、気管挿管率(オッズ比0.32、95%信用区間0.17-0.62)ともに減少させることが示唆された。

CPAPまたはBiPAPについて調べた10件の研究が集まり、データを統合した結果、CPAPが死亡率を下げ、気管挿管が必要になる割合を下げる効果が見られました

ただし、生存期間と生活の質(QOL)が改善する効果に対して、予想される費用はあらかじめ決めた水準を上回る確率が50%を超えると見られ、費用対効果が優れているという根拠は得られませんでした

 

効果がある治療法を使いたいとは誰もが思うことですが、有限の医療資源をどこで重点的に使うかという観点も必要です。救急治療でのCPAPがほかの場面のほかの治療よりも優先されるべきかどうかの判断に、こうした研究が活かされていくかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Pre-hospital non-invasive ventilation for acute respiratory failure: a systematic review and cost-effectiveness evaluation.

Health Technol Assess. 2015 Jun

 

[PMID: 26102313]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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