2015.06.08 | ニュース

高脂血症の薬で敗血症の死亡率が下がった

ドイツで手術後敗血症患者の観察研究
from BMC medicine
高脂血症の薬で敗血症の死亡率が下がったの写真
(C) Anna - Fotolia.com

高脂血症治療薬のスタチンには、感染症にも効果があるという説があります。ドイツなどの研究班がスタチンに注目し、細菌感染によって急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という、呼吸が十分にできない危険な状態に陥った患者を対象として、スタチン使用が結果に影響するかどうかを調べました。その結果、重症例ではスタチンが生存率を改善していたことが報告されました。

◆ARDS後28日の死亡率を比較

研究班は、手術後の敗血症によるARDSを起こした患者の情報を追跡調査し、ARDS発症後28日までの死亡率などがスタチン使用によって違うかどうかを調べました。

 

◆重症例のみ生存率改善

調査から次の結果が得られました。

敗血症関連ARDSの患者404人がこの調査に登録された。ARDSのうち13%は軽症、59%が中等度、28%が重症だった。スタチン治療は重症ARDS患者に限って、スタチン治療を受けていなかった患者に比べて28日生存率を改善した(88.5%対62.5%、P=0.0193)。

対象となった404人のARDS患者のうち、ARDSが重症だった人にだけ、スタチン使用による違いがあり、スタチンを使っていない人では28日生存率が62.5%だったのに対して、スタチンを使っていた人では28日生存率が88.5%でした

研究班は「この調査は重度の敗血症関連ARDS患者にスタチン治療歴がある場合、スタチン治療を続けることによる良い効果を示唆する」と結論しています。

 

スタチンには血液のコレステロール中性脂肪を減らす以外の影響も指摘されています。この研究で報告されたように、もし重症ARDS患者に良い効果があるなら、ARDSの治療としてスタチンの効果が検討されてよいかもしれません。

なお、MEDLEYニュースでは以前にもスタチンについての研究を紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

高脂血症の薬でインスリンが減る?

http://medley.life/news/item/553a2b1ea263820301d8eb8b

高脂血症の薬が細菌感染に効くかを検証

http://medley.life/news/item/553f35f5f1f509960017350a

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Impact of statin therapy on mortality in patients with sepsis-associated acute respiratory distress syndrome(ARDS) depends on ARDS severity: a prospective observational cohort study.

BMC Med. 2015 Jun 1 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26033076]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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