HMG-CoA還元酵素阻害薬[スタチン系脂質異常症(高脂血症)治療薬]
肝臓におけるコレステロール合成を抑え、主に血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロールとも呼ばれる)を低下させ、動脈硬化などを予防する薬
HMG-CoA還元酵素阻害薬[スタチン系脂質異常症(高脂血症)治療薬]の解説
HMG-CoA還元酵素阻害薬[スタチン系脂質異常症(高脂血症)治療薬]の効果と作用機序
HMG-CoA還元酵素阻害薬[スタチン系脂質異常症(高脂血症)治療薬]の薬理作用
脂質異常症(高脂血症)は血液中のコレステロールやトリグリセリド(TG)の数値異常がおこり、動脈硬化を早めるなど様々な病気の温床となる。脂質異常症の中でもLDLコレステロール(悪玉コレステロールとも呼ばれる)の異常は心筋梗塞などの急性冠症候群などを引き起こす因子となる。
体内では主に肝臓においてコレステロール合成が行われており、コレステロールが合成される過程で必要なHMG-CoA還元酵素(3-Hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme-A reductase)という物質がある。肝臓で作られたコレステロールは各組織に移行したり、胆汁酸として排泄される。
本剤は肝臓においてHMG-CoA還元酵素を阻害し、コレステロール合成を抑えることで、血液中のコレステロール(主にLDLコレステロール)を減らす作用をあらわす。LDLコレステロールは、血液中でアテローム(プラーク)の原因となり動脈硬化を早めるため、本剤はLDLコレステロールを低下させる作用などにより動脈硬化に関連する脳梗塞や心筋梗塞などの予防目的としても使用される。
本剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)はその成分名から「スタチン(またはスタチン系薬など)」とも呼ばれ、主にLDLコレステロール低下の度合いによってスタンダードスタチンとストロングスタチンに分けられる。薬剤の効果に関しては用量や個々の体質などによっても異なるがLDLコレステロールの低下度合いにおいて、一般的にスタンダードスタチンでは15%前後下げる効果が期待できるとされ、ストロングスタチンでは30%前後下げる効果が期待できるとされていて、病態などに合わせて適切な薬剤が選択される。
HMG-CoA還元酵素阻害薬[スタチン系脂質異常症(高脂血症)治療薬]の主な副作用や注意点
HMG-CoA還元酵素阻害薬[スタチン系脂質異常症(高脂血症)治療薬]の一般的な商品とその特徴
メバロチン
- スタンダードスタチンに属する薬剤(プラバスタチン製剤)
- 他の薬との相互作用(飲み合わせに注意する薬)が少なく、一般的には副作用も少ないとされている
- 細粒剤もあり、嚥下能力の低下した患者などへのメリットが考えられる
リポバス
- スタンダードスタチンに属する薬剤(シンバスタチン製剤)
- 抗
真菌 薬(薬剤例:イトラコナゾール)などとの飲み合わせに注意する
クレストール
- ストロングスタチンに属する薬剤(ロスバスタチン製剤)
- OD錠(
口腔内崩壊錠 )があり、嚥下機能の低下した患者などへのメリットが考えられる - 他の薬剤成分との配合剤に関して
- 本剤の成分(ロスバスタチン)と小腸
コレステロール トランスポーター阻害薬(エゼチミブ:脂質異常症治療薬)との配合剤(ロスーゼット配合錠)がある
- 本剤の成分(ロスバスタチン)と小腸
リバロ
- ストロングスタチンに属する薬剤(ピタバスタチン製剤)
- OD錠(
口腔内崩壊錠 )があり、嚥下機能の低下した患者などへのメリットが考えられる - 本剤の成分(ピタバスタチン)と小腸
コレステロール トランスポーター阻害薬(エゼチミブ:脂質異常症治療薬)との配合剤(リバゼブ配合錠)がある