2016.04.11 | ニュース

超早産児の気管支肺異形成に低用量ヒドロコルチゾンが効果的か

治療法比較の結果より

from Lancet (London, England)

超早産児の気管支肺異形成に低用量ヒドロコルチゾンが効果的かの写真

気管支肺異形成とは、極端な早産だった場合によく生じる合併症で、治療の方法があまりありません。そこで、低用量ヒドロコルチゾンで、肺の発達への悪影響を防げるかどうかが調べられました。

◆ヒドロコルチゾンとは

ヒドロコルチゾンとはステロイドの一種で、胎児の肺の形成を促すためによく使用される、健康な人の副腎皮質から分泌されるホルモンです。本来、生命維持に必要なホルモンですが、薬として使用すると軽いものから、重いものまでさまざまな副作用が出ることがあります。使用には、生命の維持と副作用が天秤にかけられ、必要な場合には副作用を考慮しながら使用されます。ここでは、肺の形成を促すために、低用量のステロイドが使用されています。

 

◆妊娠28週未満で生まれた赤ちゃんを対象に

この試験では、フランスの21カ所の新生児ICUから、ウェブサイトを通じて妊娠28週未満で生まれた赤ちゃんを集めました。赤ちゃんは、産後10日間、低用量ヒドロコルチゾンを注射するグループまたは偽薬を注射するグループに分けられました。

 

◆低用量ヒドロコルチゾンの効果

523人が試験の対象となり、256人がヒドロコルチゾンを注射するグループ、267人が偽薬を注射するグループに割り当てられました。その結果は次のようになりました。

気管支肺異型性を発症することなく生存したのは、ヒドロコルチゾンに割り付けられた新生児255人のうち153人(60%)、それに比してプラセボに割り付けられた新生児では266人中136人(51%)であった(在胎週数および中間分析で調整したオッズ比1.48、95%信頼区間1.02~2.16、p=0.04)。

ヒドロコルチゾングループのうち153人(60%)で、気管支肺異形成を発症することなく生存しました。一方、偽薬グループは136人(51%)と、ヒドロコルチゾングループのほうが良好な結果を示しました

副作用を含む望まない結果として、ヒドロコルチゾンを使ったグループと使わなかったグループでは、全体的には敗血症が生じる割合に差はありませんでしたが、特に妊娠24~25週に生まれて、ヒドロコルチゾンで治療を受けた新生児では敗血症が多く出ました。また、副作用の可能性があるものに、胃腸に穴が開くことも認められましたが、これはヒドロコルチゾンを使ったグループでも、使わなかったグループでも差はありませんでした。

 

研究班は、次のようにまとめています。

極端に早産だった新生児では、妊娠週数36週に相当する時点で気管支異形成を発症することなく生存した割合は、予防的低用量ヒドロコルチゾン群で有意に大きかった。生理学的根拠に基づくこの手法は、大半の未熟児の管理の有意義な改善につながると思われた。

執筆者

後藤由佳利

参考文献

Effect of early low-dose hydrocortisone on survival without bronchopulmonary dysplasia in extremely preterm infants (PREMILOC): a double-blind, placebo-controlled, multicentre, randomised trial.

Lancet. 2016 Feb 22.

[PMID: 26916176]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る